プロローグ
久方ぶりに新作投稿します。
当分の間は毎日投稿、一日千から三千文字の予定です。
こ、今度こそエタらせない…です。
「なんでだよぉ〜?!」
本人の口から出た弱々しい言葉は、目の前に広がる光景に吸い込まれていく。
何処までも青い空、やけに低い位置を這う様に浮かぶ白い雲、そして…
『何故かヒビ割れている足元の大地』
どういう訳か、深いヒビ割れの向こうには、目の前の空同じ『青い空間』が見えている。
そんな不思議空間に垂直に立つ真っ黒い壁。
遠目からは継ぎ目が見えないその壁を彼は知っている。
その壁の中間部分から飛び出している場所。
スプーンの様な形をした場所の上、草花咲き乱れる綺麗な庭園の上。
どう考えても物理法則完全無視した造りで、何の支えも無いスプーンの『柄』の部分のみで『空中に支えられている』丸い庭園。
その庭園の縁から、眼下に広がる景色を見ている自分が居る。
「ははっ…これは夢だ、悪い夢だ…だって俺、ついさっきまでゲームやってたんだ…そう、ゲームやってて…」
「マスター?」
後方から呼び掛けられそっちに視線を送れば、それはそれは美しい女性が微笑んでいた。
自分の妻に似せて創ったキャラソックリの女性。
その背中に白い翼と銀髪でなければ妻だと…ここ最近不仲になってしまった妻だと、疑いなく最愛の人と思っただろう。
「なんでだよぉぉぉぉ〜!!」
矢野ユウキ、二十七歳、最近の悩みは夫婦仲の彼の叫び声は、空に浮かぶ巨大な大陸と、そこにそびえ立つ真っ黒な外壁へと吸い込まれていった。
次話は一時間後になります。