NTRと壊れた心
「どうして、どうしてだよ...」
今、俺こと柳 創英が見ているのは、俺の彼女の黒瀬 紬と俺の親友の足立光輝の情事だ。
今の俺には、かつて輝いて見えていた二人の笑顔の記憶が、ひどく、黒ずみ、気持ち悪く見える。
そう、寝取られたのだ。最愛の彼女を、親友に...
冷静でいられない、脳が破壊されるとはまさにこのことかと思う。
俺は何もできずにその場から立ち去ってしまった...耳に二人の嬌声を残しながら。
きづいたら家で寝ていた。
この部屋の乱雑さから相当参っていたようだ
なんだか頭がスッキリしている。
自分が自分じゃないみたいだ。
自分の記憶と行動・思考を今の自分と照らし合わせた。
「ああ...そうか、俺は壊れたのか。」
ひどく淡白な声色だ。
今はもう、純粋に二人のことは心底どうでもいい気がする。
「そうだ、学校に行かなきゃ...」
もう時刻は10時すぎ、遅刻確定だ。
「…サボるか」
今日はもう、一日好きなことをしようと思う。
そういえば、あいつ、彼女いるっていってたっけな。
二人のことは心底どうでもいいが、浮気されているやつがいるなら話は別だ。
「伝えとくか...」
俺はさっそく光輝の彼女さんの西園寺 市香さんに電話をかけた。
「もしもし、創英くん?どうしたの?今学校じゃないの?」
「はい、今日はサボりました」
「ちゃんと行かないとだめよ?」
「はい、実は市香さんにお伝えしとくべきことがありまして...」
「ん?どうしたの?」
「あなたの彼氏、浮気してます。」
「え?もうっ冗談はよしてよ」
「本当です、昨日この目で情事にふけってるのを見ました。...俺の彼女と」
「そっそんなことあるはずないじゃない!いい加減なこと言わないで!」
市香さんはそれっきり電話を切ってしまった。
まあしょうがないか
翌朝、俺は学校に行くことにした。
いつもの通りに学校へゆく。
教室につくと、早速元親友が話しかけてきた。
「よう!創英!昨日は連絡もなしにサボってどうしたんだ?」
「ああ、別に」
話す気も起きない。
「? どうしたんだ?いつものお前らしくない...」
「そうか」
光輝は怪訝な顔をして自分の席に戻っていった。
授業を受ける。
総じてめんどくさい。
やっと昼休みだ。
俺が弁当を広げ昼食を食べようとしていると
「あー!やっと見つけた!」
声が聞こえた彼女(笑)の紬のお出ましだ。
丁度いいから言うか。
「もうっ昨日はどうしたの!?連絡もしないで休むなんて!」
「そうか」
「なにその返し!もうちょっと真面目に答えてよ!」
何も感じないと思っていたが、こいつに限っては今までと同じ態度で神経が苛立つ...
「いいだろ別に、お前は光輝とでも仲良くしてろよ」
紬の顔に影がさした。
「やっやだな〜私の彼氏は創英くんだけだよ?」
「ふん、一昨日光輝とセックスしてたくせに何を言う」
「なっなんでそれを!?」
「お前は光輝の女だろ?おまえはもう俺の彼女でもなんでもない。」
紬は唖然とした顔で固まっている。
昼休みが終わる5分前のチャイムが鳴る。
そのまま何も言わずに俺はその場を立ち去った。
読んでくれてありがとです