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第七十話 マリー・エドワーズは錬金術師ギルドマスターを暗殺することを思いつく

「現在、港町アヴィラで回復薬を販売しているのは主に薬師ギルドと錬金術師ギルドの二つです。薬師ギルドが潰れたら、錬金術師ギルドだけが回復薬を販売することになるでしょう。その場合、薬の価格はどうなると思いますか?」


「高くなる……!!」


「わううわう……!!」


レーン卿の問いかけに、マリーと真珠がそれぞれに答える。


「その通りです。今は薬師ギルドが安値で一定の品質の回復薬を販売しているので、回復薬を高値で販売することはできない。ですが、薬師ギルドがなくなったら回復薬を高値で販売することが可能になります」


レーン卿の言葉を聞いたマリーは首を傾げた。


「でも、薬師ギルドがなくなっても回復薬を作れる人はいますよね。私のお祖母ちゃんとか。だったら、そういう人が回復薬を作って売れば、高い回復薬は売れなくなると思います」


「マリーちゃん。薬を作るには道具と作業場が必要なのよ」


マリーの疑問にヤナが答える。


「薬づくりは加熱器や冷却器がいるわ。加熱器がある家は多いけれど高価な冷却器を用意するのは難しいでしょうね」


「港町アヴィラの薬師ギルドが閉鎖された場合は、加熱器や冷却器等の魔道具は王都や他の街の薬師ギルドに送られることになるでしょう」


「港町アヴィラ以外にも薬師ギルドがあるのなら、そっちで安い薬を買えばいいから、高い薬は売れないと思います」


「マリーちゃん。薬には有効期限があるのよ。日にちが経つと効果がなくなってしまうの」


有効期限!! 容量無制限、時間経過無しという仕様のアイテムボックスを持つプレイヤーにはほぼ関係ないことがNPCには切実な問題になるとマリーは思い至った。


「薬師ギルドを存続させるには薬師ギルドの名声値を回復させる必要がありますね」


レーン卿の言葉を聞いたマリーは手をあげて、口を開く。


「レーン卿。質問してもいいですか?」


「はい。どうぞ」


「えっと、名声値ってどうやったらわかるんですか?」


「薬師ギルドの名声値は、薬師ギルドの看板を鑑定すればわかります」


看板を調べると名声値とか評判の数値が書いてあるゲームはよくあるけれど、まさか『アルカディアオンライン』が看板を調べると名声値がわかる設定だとは思わなかった。


「名声値の他に建物の耐久値もわかります。定期的な看板の鑑定は必須ですね」


レーン卿は麗しい微笑みを浮かべて言う。


「『鑑定モノクル』でも名声値や耐久値がわかるんですか?」


「試しに『鑑定モノクル』で看板を見てみたのですが、どちらも見られませんでした」


「名声値の鑑定ってお金はどれくらいかかるんですか?」


「鑑定師のランクによって価格が変わります」


美容室で美容師さんによって価格が変わるというのと似た感じだろうか。

『銀のうさぎ亭』の今の名声値がどのくらいなのか興味があるけれど、借金を背負っているマリーが頼める気がしないので、深く追求するのはやめておく。


「とにかく、薬師ギルドの窮状をどうにかして名声値を上げなくちゃいけないわ。来月の月末には薬師ギルド本部の査察官が来るのよ」


ヤナが表情を曇らせて、ため息を吐いた。


「どうやったら名声値を上げることができるんですか?」


「薬師ギルドのクエストをこなすことでしょうか。薬師ギルドの評判を下落させている元凶をなんとかできれば、短期間で名声値が上昇するかもしれません」


「それって、錬金術師ギルドマスターを暗殺すればいいのかもっ!!」


「わうーっ!?」


ゲーム的なイベント発生にわくわくして言ったマリーをびっくりした顔で見る真珠。

ヤナは明るい笑顔になり、レーン卿は苦笑した。

若葉月5日 昼(3時50分)=5月4日 11:50


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