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第二百六十二話 高橋悠里は幼なじみの彼女と話した後、憧れの先輩と音楽準備室を出る

悠里が要と一緒に音楽準備室に入ると、晴菜が他のフルートパートのメンバーと話しながらフルートを棚にしまっていた。

もしかしたら、晴菜はまだ悠里がさっき送ったメッセージに気づいていないのかもしれない。

晴菜が事情を理解していないのなら、説明しないといけない。

そう思った悠里は要に視線を向けて口を開く。


「藤ヶ谷先輩。私、はるちゃんに一緒に帰れないって話してきますね」


「じゃあ、高橋さんの分の楽器も俺が片づけておくよ。その代わり、俺の鞄を持ってもらっていい?」


「はいっ。わかりました」


悠里は持っていたサックスケースを床に置き、要から彼の通学鞄を受け取る。

要は自分と悠里のサックスケースを持って、楽器をしまう棚に向かった。

悠里と要のやり取りを見ていた晴菜が悠里に歩み寄り、口を開く。


「なになに? なんで悠里が藤ヶ谷先輩の鞄を持ってるの?」


楽しげに問いかける晴菜に、悠里は事情を説明するために口を開いた。


「えっと、私ね、藤ヶ谷先輩と寄り道をすることになってね」


「寄り道? どこに行くの?」


「……決めてない」


寄り道をするというのは颯太と晴菜を二人きりにするための悠里の嘘なので、寄り道をする場所のことはまったく考えていなかった。

考え込んでしまった悠里をフォローするべく、晴菜は悠里の肩を軽く叩いた。


「まあ、どこに行くかとか先輩と二人で決めるのも楽しそうだよね。頑張ってね、悠里。あたしは一人で帰るから」


「はるちゃんのことは相原くんが送ってくれることになったから。詳しくはメッセージを見てね」


「なによ。それ」


「相原くんは面白いし話しやすいし、私はいいと思うよ。じゃあ、そういうことで」


悠里は晴菜にそう言って、楽器をしまい終えた要と合流し、要に彼の鞄を渡す。


「高橋さん。じゃあ、行こうか」


「はいっ」


悠里は颯太の恋のアシストをやり遂げた達成感を胸に、要と共に音楽準備室を出た。

悠里はまだ、自分が今、要と放課後デート状態になっていることに気づいていなかった……。


少し先を歩く要の背中を見つめながら、悠里は気づいた。

自分が、要と、放課後に、二人きりで!!

出かけることになっている……!!


え。嘘。待って。ちょっと待って。

口から出まかせの『寄り道』ってどこに行けばいいの!?

目的地が無いとか今さら言えないんですけど……!!


悠里は混乱しながら要の後に続いて階段を下りる。

……先を行く要が足を止めた。

要が足を止めたことに気づいた悠里も立ち止まる。

要の視線の先には、鞄を持って階段を上がってくる美羽の姿があった。



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