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第二百五十七話 高橋悠里は寝不足を隠して登校し、寄贈されたノートパソコンを起動する

……アラームの音がうるさい。


「んん……」


悠里はアラームの音から逃れようとしたが、寝る前に絶対に寝坊しないためにアラームをセットしたことを思い出して重い瞼を持ち上げ、目を開けた。

スマホのアラームを止め、時間を見る。AM6:45の表示がAM6:46に変わった。


「起きよう……」


悠里は二度寝の誘惑を振り切り、頑張って起き上がる。

昨夜、ゲームで遊んで夜更かしをしたことは絶対に、絶対に家族に知られてはいけない。

最悪、母親にゲームを没収されてしまうかもしれない……っ。


悠里はベッドを下りて伸びをする。

とりあえず、トイレに行って顔を洗おう。

悠里はパジャマを着たまま一階へと向かった。


一階に到着した悠里はトイレに入って、その後、洗面所で顔を洗う。

……まだ眠い。だが眠そうな顔はできない。あくびもダメだ。


悠里は自室に戻って制服に着替え、家族の前で元気に朝食を食べてから歯を磨き、髪をポニーテールに結い上げて学校に行く支度を整え、家を出た。

……家族には寝不足だとバレてはいないはず。たぶん。


悠里は幼なじみの晴菜と学校に登校し、いつも通りに教室に向かう。


1年5組の教室に入ると、教室内はざわついていた。


「机の上にあるのってノートパソコン……?」


教室を見回して晴菜が呟く。


「全員の席に置いてあるみたい。私たちの机の上にもある」


悠里は窓際の前から三番目の自分の席のフックに通学鞄を掛けて座り、晴菜は悠里の後ろの席に座った。


「このノートパソコンって何なんだろう……?」


悠里は閉じた状態で置いてあったノートパソコンを開いた。


「わっ。電源を入れてないのに起動した……っ」


「『高橋悠里』様の音声を確認しました。ノートパソコンの使用を許可します」


「えっ!? サポートAIさん!? なんでノートパソコンからサポートAIさんの声がするの!?」


「声紋照合……。照合完了。プレイヤーNO178549。高橋悠里様。こちらでは初めまして」


「やっぱりサポートAIさん!? なんで!?」


「このノートパソコンは『星ヶ浦アルカディアオンライン銀行』になることを記念して『アルカディアオンライン・プロジェクト』が星ヶ浦市内にある小学校・中学校・高校の全生徒と全教員に寄贈したものです」


「えっ。すごい……っ。でもなんでノートパソコンをプレゼントしまくってくれたの?」


「新型コロナが蔓延した場合、リモート授業が行われることが予想されます。このノートパソコンはリモート授業に対応できます」


「リモート授業……」


リモート授業。嫌な言葉だ。

悠里は学校に行きたいし、授業は……そんなに好きじゃないけれど、でも部活はやりたい。

家にいながら授業が受けられるリモート授業は便利かもしれないけれど全然嬉しくない。


「ノートパソコンに対応しているACアダプターは各生徒の住居に郵送済みです」


「そうなんだ……」


「このノートパソコンはリモート授業と自主学習、担任教師・教科担当教師・校長・養護教諭とのメッセージ等のやり取りができますが、友人同士のメッセージのやり取りやリモート授業以外の用途でのインターネットの接続はできません」


「そうなの!? ずいぶん不便なんだね……」


「このノートパソコンは星ヶ浦市立星ヶ浦中学校を卒業するまでご利用いただけます。このノートパソコンの中には一年生から三年生までのすべての教科書のデータがダウンロードされています。『アルカディアオンライン・プロジェクト』が『九星堂書店』に依頼して選書してもらった各教科に対応する参考書のデータもダウンロードされています」


「えっ!? じゃあ、もう私は教科書を買わなくてもいいの……っ!?」


「今後はノートの購入も不要です。ですが、学んだ内容を手元に残しておきたい場合はお手持ちのスマホ等での写真撮影やノートへの転記が必要です」


「このノートパソコンのデータを自分のノートパソコンに移すことはできないの?」


「USBメモリーの使用は不可で、インターネット接続が制限されているので不可能です」


「やっぱりちょっと不便っぽい……」


悠里がそう零した直後、担任教師が教室に入ってきた。


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