↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/738

第十八話 高橋悠里はマリー・エドワーズとして目覚める

ゲーム開始です!

目を開けると、知らない女性が顔をのぞきこんでいた。

悠里は少し混乱する。


「マリー。目が覚めたのね……!!」


女性はそう言って涙ぐむ。

悠里は自分がマリー・エドワーズとして目覚めたと自覚した。

頭の中に、ゆっくりとマリーの記憶が流れ込んでくる。


「おかあさん……」


マリーの声は子ども特有の、高くて甘い声だった。

ボイス確認をしなかったけれど、可愛い声でよかった、と悠里は思う。


「よかった。ありがとうございます。これも、司教様のおかげです……!!」


司教?

悠里は心の中で首を傾げた。

マリーが目覚めたのは悠里が憑依したからなのに、なぜか『司教様のおかげ』ということになっているようだ。


状況がつかめない悠里は、とりあえず黙って話を聞くことにした。


「『リザレクション』の効果があったようです。ご息女は恩寵を得て目覚められました。おめでとうございます。お喜び申し上げます」


「恩寵というのは……?」


母親の隣に立っている大柄な男性が、司教に尋ねた。

この男性は、マリーのお父さんだ。


「恩寵とは、神々の慈悲。死ぬほどの傷を受けても教会で復活し、水や食物を得なくても長く眠り続けられる聖人になると言われています」


「まさか……!! そんなことはありえないでしょう」


母親が目を見開いて、言う。


「なにかの間違いじゃないんですか?」


父親の言葉に、神父は微笑んで布団の上に出ているマリーの左手を取った。


「ご息女の左腕には銀色の美しい腕輪が嵌まっています。これは、恩寵を受けた者と高位聖職者だけが視認できる『不滅の腕輪』です」


不滅の腕輪!!

ユニークスキル『不滅の恩寵』の説明欄に書いてあったような気がする。


「俺には何も見えないが……」


父親の困惑した声に、マリーは口を開いた。


「私には見えるよ。綺麗な腕輪」


マリーがプレイヤーキャラになったことを理解してもらいたかった悠里は両親に腕輪の存在を信じてもらえるように、そう言った。


「マリー。本当に見えるの?」


母親に問い掛けられて、マリーは肯く。


「ご息女は完全に『離魂病』を克服されました。おめでとうございます。あなた方ご家族に、さらなる幸福が訪れますように……」


「ありがとうございます。司教様」


「ありがとうございます」


両親は困惑しながらも、司教に頭を下げる。

司教が『恩寵』について説明してくれたことは助かったし、『不滅の腕輪』に気づいてくれたこともよかったけれど、でも、マリーが治ったのは悠里の功績なのに……。


「救いを求める者に手を差し伸べるのは、聖職者のつとめ。多額の喜捨もいただきましたし転移魔方陣で送迎していただけたので、日々のつとめも滞りなく行うことが出来ます。温かいお心遣い、こちらこそ感謝いたします」


今、なんて言った!?

マリーは目を剥いた。


ぼったくり聖職者!!

司教の足元まであるたっぷりとしたローブは光沢のある高そうな生地で金糸銀糸の華麗な縫い取りがある。


どう考えてもお金を持っていそうなのに、庶民から多額のお金をむしり取るなんてひどい……!!


「司教様。私、自分で目覚めました。司教様のおかげじゃないです」


マリーは必死に訴える。

ぼったくりを許してはいけない……!!


「マリー。司教様に失礼だぞ」


「そうよ。司教様。すみません」


「お気になさらず。それでは、私はこれで失礼します」


司教はマリーを咎めることなく、穏やかに微笑んで部屋を出て行った。

お金、返してもらえなかった……。

マリーは悔しくて、唇を噛み締めた。


『アルカディアオンライン』のプレイヤーの感覚設定は以下の通りである。


視覚設定 100パーセント

聴覚設定 100パーセント

痛覚設定  0パーセント

味覚設定 100パーセント

触覚設定 100パーセント


セーフディガードがONの場合は運営が不快と判断したものに対する嗅覚設定が10パーセント。それ以外は100パーセントとなる。


セーフディガードをOFFにした場合は嗅覚設定が100パーセントになり不快な匂いを回避できなくなる。


セーフディガードをONにした場合でも、プレイヤーの安全を担保するため痛覚設定の変更はできない。


感覚設定はすべてのプレイヤーに適用される。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。