表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/738

第百六十四話 マリー・エドワーズと真珠はクレムと西の森に向かう

気がつくと、マリーは教会にいた。真珠も一緒だ。

クレムからのメッセージを待つ間、また『ライト』のレベル上げをしようかと考えていたその時、マリーの隣にプレイヤーが死に戻ってきた。

死に戻ったプレイヤーの邪魔にならないように魔方陣の外に行こうとしたマリーはなんとなくそのプレイヤーに視線を向けて、瞬く。


「あれ? クレム?」


マリーと初めて会った時のように青色のローブを着たクレムはマリーと真珠に気づいた。

そばかすが散ったクレムの顔がくしゃっとした笑顔になり、八重歯がのぞく様は年齢よりも幼く見える。


「おおっ。マリー!! 真珠もいるなっ。なんか久しぶり」


「本当、久しぶりな感じだね。ゲーム内時間はリアルより進むのが早いから、そう感じるのかも」


「わんわんっ」


「クレムのおかげで私の固有クエストを達成できたよ。ありがとう」


もはやマリーの固有クエストというよりクレムの固有クエストといっても過言ではないほどに頑張ってもらったと思う。

マリーは心を込めて、クレムに頭を下げた。真珠もマリーに倣ってクレムに頭を下げる。


「礼とかいいから。死に戻ってすぐに会えたんだし、ガラスの欠片が拾えるっていう場所に連れてってくれよ。マリーからのメッセ見て、慌てて死に戻ってきたんだ」


「慌てさせてごめんね」


「いいよ。実家の自分の部屋にひとりでいただけだから。朝飯の時にオレがいなかったらオヤジは慌てるかもしれないけど、それは別にいいんだ。一応、机に置き手紙してきたし」


「それは、もはや家出では……?」


クレムの父親は、クレムに『仲直りしなかったら家出をする』と脅されてマリーの父親と仲直りしたのではなかったのか。

マリーはそう思ったけれどクレムが全く気にしていないようだったので、クレムの父親のことは考えないことにした。


「とりあえず、教会を出て西の森に行こう。クレムは私と真珠について来てね」


「わんわんっ」


「わかった。マリー。真珠。案内よろしくなっ」


マリーと真珠、クレムは連れ立って教会を出て、西の森に向かって歩き出す。

中央通りを西門に向かって歩いていると、マリーと真珠にプレイヤーたちの視線が向けられた。

馬車に乗って手を振っていたマリーと、マリーと一緒に窓から顔をのぞかせていた真珠を覚えているプレイヤーたちが遠巻きにマリーたちを見ている。

だが、プレイヤーたちはマリーたちに声をかけようとはしなかった。

『アルカディアオンライン』にはプレイヤー善行値が設定されているため、迷惑行為を控える風潮があり、そのためにマリーと真珠は馬車に乗っていたことについて質問攻めにされることを免れていた。

プレイヤーたちの視線に気づいたクレムが口を開く。


「なあ。なんかオレたち、見られてないか?」


「そう?」


「くぅん?」


クレムの問いかけに、マリーと真珠は首を傾げた。

馬車に乗っていた時のパレードでたくさんのプレイヤーとNPCに見られていたので、今のマリーと真珠の感覚は麻痺していた。

複数のプレイヤーからチラ見される程度では、見られているという気がしない。

クレムは、プレイヤーたちの視線を全く気にしていないマリーと真珠を見て、自分も気にしないことにした。



若葉月19日 朝(2時29分)=5月7日 23:29

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ