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元死神のお嫁さんと行く異世界、流れに任せて生きていく   作者: ぽむぽむ
第1章 異世界転移初日の長い1日?
8/25

ささやかな温もり




女の子の土葬を無言で終え現在、俺達は宝探しをしていた。

まあただの物色なんですけどね。


「お?これなんてどうだ」


そう言いながらきらびやかな装飾が施された豪華な金のネックレスをルターナに見せる。


「悪くないじゃない」

「だろー?俺の目利きも捨てたもんじゃないわな」


キラキラ光って宝石っぽいのついてる奴適当にあげてるだけなんだけどな。


「でも、ダメね」


ルターナがうんざりした様子で言う。

これの何がダメって?

それは硬貨じゃないところだ。

確かにこれ単体でもそこそこの値段になるだろうし、町に入るだけなら問題ない。

しかし、これが貴族とかからの盗品なら話は一気にめんどくさくなる。

遺品などでもアウトくさい。

温厚な貴族の方がまれなのだから。

貴族をおちょくってみるのはやってみたいが、そう言ったトラブルに自ら首を突っ込む元気は今はないので、今度元気な時にやるとしよう。


そんな余談は置いといてだ。

硬貨がない。

無いと言うよりは見つからないんだが、隠し場所が分からんのよ。

もっとパパッと終えるつもりだったんだが、結構見つからないもんだね。

俺の魂魄強奪みたいな絶対探知機があれば楽なんだが、無い物ねだりしても仕方ない。


「ルターナそっちはどうだ?」

「あなたと同じで成果なしよ」


これであったら俺が役立たず過ぎて泣けるわ。

見つけられることが第一だが、プライド?があるんです。

さて、一通り探してみたが見つからなかった。

と言うことは普通に探しても見付からないであろう場所に隠したか、無い。

しかし、一通り探したことで無いと言う線は消えた。

なんせ硬貨が1枚もなかったのだ。

当然盗賊の衣服は探した、それでも無かった。

盗賊になるだけあってやっぱバカだな。

それじゃ隠してるよって言ってるようなもんだ。

しかし、洞窟の中にはなかった。

その近くにも隠せるような場所はない。

なら、たぶんここの近くに埋めてるんだろう。

そう思って洞窟の周囲の土をよく見ると、何度も掘り返されたのか、土がむき出しのところがあった。


「ビンゴだ」


隠し場所を見つけたのでルターナを呼ぶ。

近くにいたらしくすぐきたのだが、なんと農具を持っていた。


「あら、一足遅かったようね」


あ、あぶねぇ。

たぶんあの農具は盗賊ので、洞窟内で見つけて外だとあたりをつけ、堀に来るところだったんだろう。

あと少し遅かったらとられてた。


その後ルターナから農具を貰い、地面をほりほりしたら高さ50㎝くらいの坪?が出て来て、中身は硬貨がぎっしりだった。



俺はちょっとしたお宝を前に、困っていた。


盗賊共の溜め込んでいた財は


高価っぽい装飾品計26個

鉄の剣28本

鉄の槍23本

普通の弓18張

普通の弓矢53本

鉄の短剣12本

鉄の戦斧16本

小さい木の盾8個

鉄貨349

銅貨168

銀貨28

金貨19


ちなみに硬貨の価値はルターナも分からなかったので俺もわからない。


「なあルターナ、これどやって運ぶ?」

「力仕事は男の見せ所でしょ?頑張んなさい」


丸投げである。

まあ、小柄なルターナにはステータス的にはともかく、絵面的にあれだしな。

特に反対意見はないが、さすがの俺もこれを持つのは無理がある。

見つからないように携帯するなら尚更だ。

しかし、俺には含蓄ある言葉をくれた親友(笑)がいる。

向こうではただの無駄知識だったが…

海斗いわく


──転移転生にチートはお約束だが、チート無しもいいと思わないか?逆境をはねのけ自分だけで──


ああ、違う、これじゃない。


──海斗、異世界ではな生き残るためのチートの他にも便利な能力があってな?──


──それはアイテムボックスだ!これがあるかないかでは大きく違う。ただ物を仕舞えるだけー、だなんてとんでもないぞ!アイテムボックスがあれば、まず盗難の心配は無いし、様々なアイテムを携帯した上で身軽な状態を維持できる。その上時間が止まっているから劣化の心配もない──


──捕捉だが、もしアイテムボックスがないなら空間魔法を鍛えろ。アイテムボックスに似たことが出来るし、アイテムボックスより応用力の面で強い。そして、何よりかっこいい!!だってなあ、分かるだろ?テレポートとかを無詠唱で使って敵の背後をとり「どこを見ている?」とかやってみたくないか!?──


少し話がそれたな…

と言うより、思い返してもよくあいつあれでモテてたな。

イケメンでもキツくないか?

まあいいや。


「ステータスオープン」



──────────────────────────────

天堂 蓮


種族:死神

年齢:──

職業:強奪者

性別:男

配偶者:ルターナ


LV1

体力:error

魔力:error

物攻:error

魔攻:error

敏捷:error

物防:error

魔防:error


固有スキル

【魂魄強奪LV9】

〈霊力99999999+〉

〈取得可能スキル999+〉


【空気圧縮LV─】


【鉄砲水LV─】


スキル

〈霊体化LV7〉〈暗視LV6〉〈危機察知LV7〉

〈再生LV9〉〈気配察知LV3〉〈気配遮断LV3〉〈身体強化LV8〉〈根性LV3〉〈風魔法LV6〉〈雷魔法LV6〉〈飛行LV8〉〈索敵LV6〉〈魔力操作LV8〉〈魔力感知LV8〉〈水魔法LV7〉〈氷魔法LV6〉〈水棲LV6〉

──────────────────────────────



アホみたいにある取得可能スキルからアイテムボックスと空間魔法を探す。

多すぎて見つけんのもめんどくせぇ。

検索機能とか無いのかよ。



探したが残念なことにアイテムボックスは無かった。

かわりに空間魔法はあったのでそれを、スキルLV6で取得する。

レベルMaxにしないのは、なんとなくやめた方がいい気がしたのだ。

こればっかに頼ってると決定的なものを失いそうだし…

今更と言えばそうなんだが。

そんなこと考えてても仕方ないのでとりあえず仕舞おう。


空間魔法でお宝が入るくらいの亜空間を作り、そこに穴を開けお宝を放り込んでいく。


「あら?蓮ってば空間魔法も使えるの?見た目によらず多才ね」

「さっき取得してな、つーか見た目はお互い様だろう?ルターナも、もう詐欺の域じゃねぇか」


実際の年齢知らないけど。


「…そう、さっき取得ね」

「ん?どうした、現実を受け止められなかったのか?」

「あなたも鏡を見た方がいいわよ」


そんな事を話してる間にお宝を亜空間に入れおえたので、亜空間に繋がる穴を閉じる。


「じゃあ、片付けして町に行くか」

「そうね」




片付けと言ってもやることは簡単だ、盗賊の死体を集めて焼いて埋めるだけ。

言葉だけ聞くとおまわりさんが飛んできそうだな。


体を焼くのはルターナいわく、アンデット化防止のためだそうだ。

まとめてポイするとヤバいと言っていた。


盗賊の死体は全部で28体、埋めるとなるとそこそこの穴が必要になる。

残念ながら掘る道具も無いのに短時間では無理だ。

なので、掘るんじゃなく土そのものを空間魔法で亜空間に飛ばす。

あ、亜空間は新しく作ってだぞ?。

そんでそうするとぽっかり穴が開くので、そこに死体を全部放り込み、先程収得した火魔法で焼いていく。

豪快な焼き肉みたいな気分だな。

そうそう、血の臭いとかは染み着いたら嫌なので風魔法で上に飛ばしている。

骨と灰のみになったら作業をやめ、上からさっき亜空間に飛ばした土を被せ完成。


(完成、じゃねぇよなぁ。こんなことしてんのになんとも思わないとか)


死神だしこんなもんなんだろうか?

知らないうちに変わってしまった感性。

いつか、変わったとも思えない時が来るのだろうか?

……くだらねぇ、んなこと気にしてらんねぇよ。


「片付けも終わったし町に行くか、ルターナ!町に行くぞー」


洞窟中の点検をしていたルターナを呼び、町に行こうとしたがルターナが動かない。


「蓮」

「んー?」


立ち止まったまま話しかけてきた。

まーた面倒なことだろうか。


「私、疲れたわ」

「…はぁ?」


流石に言いたいことが分からず、戸惑う。


「だ、だから!背負って、頂戴…」


「……」


ルターナはこちらに顔を向けずにそんな事を言いやがった。

……はぁ、気を使うにしても、もっとやりようがあるだろうに、不器用な奴。

つーかあれだな、こいつに気を使われる程顔に出してたのかよ情けねぇ。


「はっ、早く背を向けて、しゃがんで欲しいのだけれど」


近づいてみると、そむけたルターナの顔がほのかに赤いのが分かる。

恥ずかしいならやんなよ。

俺は深くため息を吐く。


「はいはい」


そう言いながら背を向け俺はしゃがんだ。


「ん、助かるわ」

「全くもって世話が焼けるな」

「本当にね」


ルターナはクスクス笑いながら、おずおずと首に手を回してくる。

じれったかったので、俺は強引にルターナの太ももを持ち、立ち上がる。


「ひゃっ」


怖かったのか、はじめとは違いルターナは強く抱きついてきた。

強すぎて首がしまるくらいだ。

なのに力はどんどん強くなり─


「くっ、苦しいわ!ぼけ!」

「当然の報いよ!ビックリしたじゃない!」


更に力が強くなる。

もうこれ普通に首絞めてるよ!


「ぐっ、ぐぐぐぐ」

「うぬぬぬ」


ああっ!もう、全然疲れてないじゃないか…


「ぐっ、くっ、くっはは」


バカらしい。


「ぬぬぬ、ぬ?」

「くっくっく、くははははははっ」


ほんと、バッカバッカしいな。


「れ、蓮?」


それがなんだか可笑しくて、懐かしくて、俺は笑った。

なんだかすごく久しぶりな気がする。ああ、いい気分だ。

心があたためられているようだ。

こう言うのを、癒されたって言うのか?


悪くはないな…



「楽しそうね」


俺の肩に頭をのせながらルターナが言う。


「ああ、楽しいよ」

「そろそろ行きましょう」

「そうだな」


そう言って俺は町へ歩き出した。





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