↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/25

咲の聖剣②








──ギィィン─ガキン─ギィィン──




1人目の白騎士が振り下ろした上段からの剣を聖剣で右に反らし、左から突進するように突きを放ってきた二人目の白騎士の剣を屈んで避け、仕返しとばかりにカウンター気味に聖剣で鎧の隙間を突くが、咄嗟に体を捻られ浅く切りつけるだけにおわってしまう。


むしろ、その隙をつかれ三人目の白騎士に反撃されてしまった。


それを不安定な体勢のまま転がるように避けると、四人目の白騎士による追撃が既に目の前まで迫って来ていたので、慌てて更にのけ反るようにかわす。


そしてその勢いを殺さないように、低い姿勢で転がり距離をとった。




しかし、最後の五人目の白騎士が既に間を詰めており、四人目の白騎士と同じく剣を振り上げていた。




(───息つく暇もないですね!!)




必死で後ろに飛びギリギリ直撃は避けたが、額を浅く切られた。







追撃は────来(・)な(・)い(・)。




「はぁっ、はぁっ、はぁっ」




………厄介です。





この白騎士達は5人で足並みを揃えるまで攻撃してこないのです。個々の技量なら正直私の方が強いですが、一対一に持ち込ませず常に複数で戦われると、純粋な身体能力の差がモロに出てしまい押しきれません。



白騎士達は私が剣を1回振る間に2~3回は振れるでしょう。

私より手数が多ければ威力も高いとか、本当にふざけてますよ。


それが5人も……まさに絶対絶命。


今の今まで防げていたのは白騎士達が魔法を使ってこなかったのが大きな理由です。

ですので、もし見たこともない魔法を使われたら手が付けられなくなるでしょう。

何故剣に固執するのかは知りませんが、正直ありがたいことでした。




白騎士達は横1列に並ぶと、各々が剣をきつく握りしめ、異様な威圧感を放ち始めます。



……


……



─────来る!!



瞬間、白騎士達の姿がかき消え。



白騎士達の剣が咲を切り裂く──



──刹那、暗く黒く鈍い光が咲と白騎士達のいた通路を飲み込んだ。






▽▽▽






───真っ暗なそこに───



───光はなく───


───音もなく───


───孤独が心にこびりつく───




───飲み込まれ───



───視覚を失い───


───聴覚を失い───


───触覚も失い───


───嗅覚も失い───


───味覚も失い───


───境界線が曖昧になっていく───




───刺激のない空間が時間を奪い───



───時間を失った心は───


───永久の孤独に───


───怒りを奪われ───


───悲しみを奪われ───


───喜びを奪われ───



───そして───



───動く自由を奪われ───



──あぁ─心が─止まった──



──もウ──なニ─モ──感ジな──イ──



────────死。





そんな暗闇の中に声が響く。



「我ながら、恐ろしい武器ですね」



それは天堂 咲の声。




そう、これは天堂 咲が持つ聖剣の効果。


規格外で、死神を降ろす武器にふさわしい異能。



【黒色の半身】



効果は先程のように周囲を闇で包み、中にいる生ある物に死を与えると言うもの。





▽▽▽





「あっ」



グワンと視界が揺れ、思わず地面に手をついてしまいました。



「こんなに……消耗するなんて…」



準備に時間がかかり、準備中は魔法が使えない。

その上ここまで反動が強いなんて、ちょっと予想外です。しかし、これで──



───カタ───



「……マジ…ですか」


音のした方を見ると5人全員の体がピクピクと動いている。しかも2人は既に手足を動かし、立とうともがいていた。


当たれば絶対に死ぬ、まさしく必殺の攻撃だったのに……

どうやって生き延びたんでしょうか?

避けられたとは考えにくいです。

現に白騎士達に異変が起きています。

なら、はじめから死んでいたとしか考えられません。

……あり得ないと否定は出来ませんね、私にもあり得ないはずの事が起きてますし。


笑う膝に力を込め、視界が揺れるなか聖剣を杖代わりにフラフラと立ち上がる。




「…全く…しつ…こい…ですよ…」




その時、ふと視界に入った聖剣に異様な変化がありました。


あれほど透き通っていた刀身が真っ黒に変色していたのです。

いえ……黒く変色したと言うよりは、不純物が混ざり濁ったような印象を受けます。


そうこうしている間に刀身の色が柄の方に移動していき、瞬く間に色が抜け落ち再び刀身は透明になりました。


(………は?)


そして刀身が透明になった途端、それまで鉛のように重かった体が嘘のように軽くなりました。


自分の聖剣ですが……少し気味が悪いです。


体が軽くなると同時に今度は勝手にステータスが開きました。もう無茶苦茶です。





──────────────────────────────

天堂 咲


種族:人族

年齢:14

職業:◯◯の勇者

性別:女


LV1

体力:8900/8900(6800/6800)

魔力:8900/8900(6800/6800)

物攻:8900(6800)

魔攻:8900(6800)

敏捷:8900(6800)

物防:8900(6800)

魔防:8900(6800)



固有スキル

【勇者LV─】


【死者への冒涜】※付与


【神降ろし】※付与


スキル

〈危機察知LV4〉〈気配察知LV4〉〈気配遮断LV3〉〈魔力操作LV4〉〈魔力感知LV5〉〈剣術LV4〉〈光魔法LV4〉


──────────────────────────────




ステータスの変化も衝撃的ですが、それよりも気になる変化がありました。


「死者への………冒涜?」




──────────────────────────────


固有スキル

【死者への冒涜】※付与


聖剣����を使用している間のみ付与される固有スキル。聖剣����の【黒色の半身】により死亡した者の魂魄へ干渉することが出来る。



──────────────────────────────



なんて言うか……また物騒なスキルですね。

少し前まで無かったスキルです。

何かしらのアクションが条件で付与されるんでしょう。

そしてそれは、おそらく【黒色の半身】による殺害。


しかし、元々ゾンビ的な感じだったんじゃないんでしょうか?

もう死んでいるなら殺すもなにもないですし、【黒色の半身】の発動が条件だったんでしょうか?



「ァ……ァ……ァ……ゥ…ァァ……ゥ…」



呻き声を上げながらもがく白騎士に近づきます。



「……ァ…ェ…ァァ……ァ…ェ…ァ……」



そして─そっと─呻く白騎士の──



──ヘルメットを取った──



「────」



その騎士の顔は……文字通り腐っていました。


皮膚はグジュグジュに溶け、髪もごっそりと抜け落ち、目玉はなく、唇もない。

むき出しになった歯茎はどす黒くて、黄ばんだ歯は何本か抜けています。


とても生きているようには見えません。

なら、やはり元々死んでいた?


なんとも言えない気持ちが、心を苛みます。


少しの間、放心していると、突然その騎士の顔がドロドロと溶け始めました。

皮膚が溶け、肉が腐り落ち、瞬く間に骨のみに…

異様なその光景に自然と後ずさりしてしまいました。


「…………」


骨のみになった白騎士がゆっくりと立ち上がります。



──ポタ─ポタ──



腐肉が液状になり鎧の隙間から漏れ、ツッーっと地面に液が広がっていきます。


むわっと息も出来ないような異臭が鼻を刺しました。


「これは……」


……どういうことでしょう。

まぁ、生きてはいませんね……それは絶対に。

周りを見ると他の騎士も起き上がり、腐肉を撒き散らしています。


………………くさいです。


臭いがキツすぎてちょっと涙が出てきました。

と言うか、襲ってきませんね。

正直ネクロマンサー的な敵が操っているのかと思いましたが……

訳がわかりません。

とりあえず、どうしましょうか…この人達──



「粛清(パージ)」


「ッツ!!?」


そう聞こえた瞬間、白騎士達がその鎧を残して白い砂となった。

周りに撒き散らされていた腐肉も同じく白い砂となっていた。



「不自然な死に方だと思い来てみれば…」


ヤバいです。


気配をまるで感じませんでした。


やって来たのは二人。

1人は今しがた白騎士達を白い砂に変えた壮年の男。

もう1人は私がさっきまで戦っていた白騎士より二回りは大きい白騎士。



「実に興味深い物を見せてもらったぞ、勇者よ」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。