兄が恋しい妹
私は天堂 咲です。
勇者だそうです。
今いる場所は地球があった世界とは違う異世界。
そして、私はこの異世界についさっき勇者として召喚されました。
ちなみに海斗さんも同じく勇者として召喚されています。
でも勇者なんて名ばかりで、大量虐殺の兵器として期待されているそうです。
人間に敵対する他種族と、自国に敵対する人間を殺すために召喚したんじゃないかと海斗さんが言ってました。
当然反対です。
ふざけんなコノヤローって感じですよ。
そんな私達は現在牢獄の中にいます。
独房のような部屋で鉄格子のようなものはなく、冷たい石の床と壁しかないので、とても殺風景です。
あ、ですが鉄製の分厚い扉の上の方に、ちょこんと中を覗くための覗き穴があります。
なぜこんなところにいるのかと言うと、隷属魔法と言う人を無理やり奴隷にする魔法が、海斗さんにも私にも効かなかったからです。
そのため危険と判断され、召喚されると共に放り込まれてしまいました。
勿論抵抗しようとしたんですが、側にいた海斗さんに止められました。
何も知らない今、むやみに抵抗するのは得策ではないと、正論です。
そんな海斗さんはこんな状況なのにとても楽しそうです。
「俺の時代が来たぁぁぁー!!!」
「素晴らしいよ!!異世界!!」
「俺のチーレムの始まりだぜ!!」
さっきまで、ずっとこんな感じでした。たまに海斗さんは頭がおかしい人なんじゃないかと思います。
あっそうです。
海斗さんは何故かこの世界のことに詳しく、ステータス?と言うものを教えてくれました。
そして、これが私と海斗さんのステータスです。
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天堂 咲
種族:人族
年齢:14
職業:◯◯の勇者
性別:女
LV1
体力:1500/1500
魔力:1500/1500
物攻:1500
魔攻:1500
敏捷:1500
物防:1500
魔防:1500
固有スキル
【勇者LV─】
スキル
〈危機察知LV4〉〈気配察知LV4〉〈気配遮断LV3〉〈魔力操作LV4〉〈魔力感知LV5〉〈剣術LV4〉〈光魔法LV4〉
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固有スキル
【勇者LV─】
職業:勇者の者に与えられるスキル。
成長速度、ステータス上昇率、スキル習得速度に補正が掛かり聖剣が召喚できるようになる。
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九条 海斗
種族:人族
年齢:18
職業:◯◯の守護者
性別:男
LV1
体力:2000/2000
魔力:1000/1000
物攻:1200
魔攻:1000
敏捷:1000
物防:1500
魔防:1500
固有スキル
【守護者LV─】
スキル
〈危機察知LV4〉〈気配察知LV3〉〈気配遮断LV2〉〈索敵LV2〉〈魔力操作LV4〉〈魔力感知LV4〉〈盾術LV4〉〈結界魔法LV4〉
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──────────────────────────────
固有スキル
【守護者LV─】
職業:守護者の者に与えられるスキル。
成長速度、ステータス上昇率、スキル習得速度に補正が掛かり聖鎧と聖盾が召喚できるようになる。
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海斗さんはステータスを口頭で説明すると、それがどういうものなのか1から説明してくれました。
そして最後に
『初期値が高く、延び知ろもあるだろうし、スキルも強い、中でも固有スキルが強力だ。まあ、総合的にチートだな。だから心配することはない、多分もうそこらの奴より強くなってる。実感はないだろうけどな。俺も強くなってるから、いざと言う時には蓮の変わりに俺が守る。こんなとこさっさと出て咲ちゃんは蓮に会いに行きたいだろうしな。俺も会いたいよ──
だから、待ってろよ!ケモ耳ッ子達よ!!エルフ達よ!!必ず会いに行くから!!』
ちょっとだけ見直して、かなりガッカリしました。
最後のが無ければ素直に感謝したのですが…
最後は兄さんの話ですね。
海斗さんの話でも出ましたが……兄さんは、いません。
召喚される時には側にいましたが、召喚先ではいませんでした。
多分あのまま、地球のあった世界にいるんだと思います。
でも、目の前から私がいきなりいなくなったら兄さんはどうするんでしょう?
私を探してくれるのでしょうか。
学校が違うのに登下校にもついてくる兄です、きっと今頃は血眼になって探してると私は思います。
そんな風に兄さんの事を思い出すと恋しくなってきてしまいました。
(ねぇ、兄さん。私は兄さんみたいに強くないの)
(お母さんが死んじゃったときはね、兄さんがいてくれたから大丈夫だったの)
(兄さんがいてくれなきゃ、私1人じゃ、怖くてなんにも出来ないよ)
(もし兄さんが見つかっても、死んじゃってたら…私、耐えられないよ)
(ねぇ兄さん、どこにいるの?
兄さん……いつもみたいに声を聞かせてよ。
私に笑いかけてよ。兄さん──)
現実逃避気味に兄さんとの思い出に浸っていると、今までブツブツと端の方で何かしていた海斗さんが、話しかけて来ました。
「咲ちゃん。召喚された時、他の騎士とは違う、真っ白な鎧の騎士達を見たろ?」
言われて思い出すと確かにいました。
真っ白な鎧といっても、何だか不気味な人達でした。
「ええ、見ました、たしか5人でしたよね」
それを聞くと海斗さんは満足げに頷き。
「いいか、咲ちゃん。そいつらが多分一番強い。だから、会わないように逃げるぞ」
「逃げる?」
「当たり前だろ?こんなとこ、いつまでもいられる訳じゃないんだからさ」
「でも、どうやって?」
鉄製の扉を見ます、とても人の力で壊せるとは思えません。
「まあ、見てな」
そう言って海斗さんは扉に近づいて扉に手のひらを向け──
「消滅結界」
海斗さんがそういうと、扉は元々無かったように音もなく切り取られてしまいました。
さっきまでブツブツと端の方で何かしていましたが、これの練習でしょうか?
「……これは?」
「結界魔法の応用だよ。じゃあ、手を出して」
「………」
………手を繋ぐの?
兄さん以外の男の人とは、海人さんも含めて初めてなんですが……
「咲ちゃん、やっぱり蓮に似てブラコンだねー」
海斗さんはそう言って困ったような顔をします。
「そんな事ありません」
そう言って手を繋ぐと海斗さんはニヤニヤしていました。
………身の危険を感じます。
「そうやって平静を保ってるように見せるとこなんかそっくりだよ。隠匿結界」
今度は何だかフワッと何かが体に触れたのが分かりました。
これが魔力というやつでしょうか?
「これで雑魚には見つかんない。じゃあ逃げるよ」




