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先生「は~い、それじゃあ皆さん、パーティー組んで~。」  作者: 赤べこフルボッコ
2章覚醒と事件。
15/19

15話力と代償。

・・・俺は・・・死んだのか?


確か俺は皮剥ぎに両手を切られて・・・そこからどうなったんだ?

ここはどこだ?

あの夢の中みたいだ。


『おいおいおいおい、もうこんなところに来ちまったのかぁ!?』


ーーーーお前は。


『お前がつけてくれた名前があるだろう?』


ーーーーあぁ、スキュラだったな。


『あぁ、そうだ。・・・ってそうじゃねぇよ。なんでこんなところに来てんだよ?負けるの早くねぇか?せっかくスキルも手に入れたってのによ』


ーーーーうるせぇな。まだ成長途中だったんだよ。


『そうだ。お前はまだ成長途中だった。なのにS級賞金首に突っ込むような真似しやがって。無茶で無謀だったろ?何でそんなことしたんだ?逃げればよかったじゃないか?』


ーーーーあの状況で逃げれるわけないだろ。


『お前ひとりなら逃げれたはずだ。』


ーーーーみんなを置いていけない。


『死んでしまえばそんなの関係ない』


ーーーー俺はみんなに生きていてほしいんだ。


『そのためにお前が死んだらどうすんだよ?』


ーーーー俺は死なない。死ぬわけにはいかないよ。約束したんだ。先生と、何でも屋のみんなと。


『その自信はどこからくんだよ。ちょっと前まで魔犬に齧られて泣いてたくせに』


ーーーー俺を信じてくれる人がいるからかな。


『くせぇこと言うな、お前』


ーーーー本心だよ。


『ハッ!!主人公かよ。嫌いじゃないぜ?そういうの』


ーーーーで?俺がここに来たからには何か理由があるんだろ?


『そうそう、まぁ、こんなに早く来るとは思わなかったけどな・・・』


ーーーー悪かったって・・・。


『お前はさ、スキルって何だと思う?』


ーーーーそんなの世界の意思から授かるか自分で努力して手に入れるかする特殊な技能じゃないか?


『そう、だけどそれだけじゃないんだな』


ーーーー何?


『中にはその状況で手に入れざるを得ないものもある』


ーーーー例えば?


『薬物投与などによる外的な要因でのスキルの開花だ』


ーーーーは?


『そんなの聞いたことないって顔だな?まぁ当然か。そんなことはめったに起こらない。まぁ、そんなこともあるのさ。まぁ、無理やり開花させるわけだから、それなりの代償が必要だし、覚悟しなけりゃならないんだがな』


ーーーーはぁ、で?


『で、だ。俺はまだお前に死なれちゃ困るわけ』


ーーーー何でお前が?


『まぁ聞け。とにかく、こんなところで死なれちゃ俺も俺達も困るわけ。だからお前の成長をちょっと手助けしてやろうってんだよ』


ーーーーへぁ?・・・それって・・・。


『まぁ、そういうことだから』


ーーーーおい!!待て!!


『頑張れ』



それだけ言うと暗闇の中から数本の腕が伸びてくる。


やめろ、来るな。


しかし、声が出ない。

抵抗空しく伸びてきた腕は俺の頭や腕、体のあちこちを触り、闇に戻っていった。

あ、手振ってやがる。

手が去って行った後、俺は俺の体を見渡す。

触られた箇所に何か埋め込まれている?

金色に光る欠片か?

その直後、激痛が走った。


痛い。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!


全身をゆっくりと裂かれるような鋭さを伴った痛み。

その痛みと同時に欠片がゆっくりと体の中に入っていく。

その時、俺の喉はやっと痛みによる悲鳴を上げられたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


「あらぁん?」


気が付けば絶叫していた。

涙でゆがむ視界の中、俺の後ろに避難民と、目の前に皮剥ぎが見える。


あぁ、そうか、俺は帰って来れたのか。

と、言うより、送り返された、の方が正しいか。


「確実に仕留めたと思ったんだが・・・」


言い返したいが、俺の喉からは呻きかヒューヒューと言う空気が漏れるような音しか出て来ない。


「しぶといわね・・・生存系に特化したスキルの持ち主かしら?」

「あ、がっ!!ぐぅっ!!」


容赦なく蹴り飛ばしやがって!!

こっちは腕がなくて立ち上がるのもやっとだってのに!!

俺は痛みでぐちゃぐちゃになる思考回路を歯を食いしばる事で強引にまとめ上げる。


まだだ。

まだ諦めない。

立ち上がれ。

俺はバランスを崩しながらもどうにか立ち上がる。

腕から滴っていた血はいつの間にか止まっていた。


「アンダーッ!!」


リフィルが俺の名を呼んでいる。

良かった。

治療は無事終わったみたいだ。

今はゲンさんが寝かされている。


「治療術師の仕業か!?」


皮剥ぎはその鍵爪を治療術師の方向へ向けて腰を鎮める。


「ハハッ!!このスキル、便利だなぁ!!食らえ!!『心気斬・遠射』!!」


皮剥ぎの放ったのはゲンさんの心気斬を射出する技だった。

俺の両腕を吹き飛ばしたスキル。

それが、今のあいつらの方向へ向かったら・・・。

死ぬ。

リフィルが。

ゲンさんが。

ロネースルが。

ズリーが。

治療術師が。


「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


必死に無い手を伸ばそうとしたその時、俺の腕に変化が起こった。

先ずは燃えるような熱さと痛み。

遅れてくる吐き気を催す不快感。

そして、驚くべきスピードで肉が盛り上がり、形成されていく腕。

手と言うよりはただの肉の塊のようなそれの先端には穴が開いており、そこから射出された()()が皮剥ぎのスキルを撃ち落とした。


「うっ!!ぐぅっ!!はぁ・・・はぁ・・・は?」


腕のあった位置に生えた肉塊から吐き出されたのは血の塊だった。




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