第三話 アイテムボックスはチートだと思った?残念!嘘でした〜!
攻撃手段の確認をしていたら丁度良い感じで時間を潰せた。
赤い点がさ迷っているのがマップで確認できるようになるほど接近しているのを見て、魔剣を作成する。最低水準は600だそうだから千程込めて作ってみる。意外とスキルの使用はマップと同じようでスキル名を言って発動するらしく、魔剣作成の場合は発動する際にどれ程魔力を使用するかを頭の中でイメージする感じだった。
黒く禍々しい靄が右手を覆い、少しくすぐったいような何かが蠢いているのを感じながら待つ。数秒経つと靄が風に流されるように消えていった。残ったのは右手に握っている黒く、太陽に光を反射して妙に男の心を揺さぶるような暗黒騎士感が漂う馬鹿かっこいい剣があった。
「すっげぇな、これ……」
視界の端でマップが表示されるのも結構、内心驚いていたのだがそれ以上に自分の力で何かを作ってそれを手にするって言う、男の夢ともとれる体験をし、興奮が隠しきれない水橋だった。
その場で軽く剣を振る。
想像していたような重さは無く、だが、その軽さに合わない空気を斬る音は響いていた。マップなどの他にも剣技やアイテムボックス、隠蔽の文字があったことからその影響なのか、と判断をする。今は考えているときではないのだ。
集中しすぎたのかマップに映る赤い点が目の前にまで移動しているのを完全に見落としていたのだ。その結果、お粗末なブツを晒しているゴブリンと思われる生物に遭遇したのだ。遭遇、とカッコつけていっているのだが実際は完全に自分の見落としなのでカッコよくないのだ。寧ろ恥と言っても良いのだが……正面でフルなチィンを見せつけているゴブリンよりかはましかと思う水橋であった。
濃い緑色の体と妙に伸びた鼻、赤く充血した目に水橋の腰より少し高いほどの身長しかない生物が目の前で剣を向けているのだ。赤く錆び付いた剣なのだが少しでもその剣が当たったら自分が体験した痛みを遥かに凌駕するような痛みが来るだろうな、と冷や汗を流しながらゆっくりと剣を自分の体で隠すように移動させる。
剣を前にやり、何の反応もないことが疑問に思ったのか少し戸惑っていた表情をしていたのだが、問題ないと判断したのかゆっくりと近付いていき、飛び掛かってきた。
「(飛び掛かってくるとか想像してなかったんだけど! って、何故アイツは勃起してんだよ……)」
大雑把な感じだったので避けることに成功したのだがその時にまじまじと目の前で過ぎ去っていた血が溜まって大きくなっている肉棒を見せられ血の気が引いたのだ。
実際、このゴブリンは自分の集落から大きく離れた場所に狩りに出掛けていたため性欲が溜まっていたのだ。それに相まって水橋の顔がカッコいい系ではなく、どちらかと言うとかわいい系に分類されるのが「男? 女? まぁ、穴はあるし良いか」て、考えになった原因になるのだ。
従来のゴブリンは森の奥深くで集落を作り、狩りをして生活しているのだが本能的に性欲が尋常じゃないほど高いのだ。それこそ自分が狩った動物で性処理をする位なのだ。まぁ、性処理が上手く出来ているゴブリンとは結構な友好な関係を築けるのだが……今の状態のゴブリンは誰にも手がつけられないのだ。それこそ殺すかけつを差し出すかしないと死ぬまで追いかけてくるのだ。
それを知らない水橋は覚悟を決めたように剣を強く握り、飛び掛かって地面に激突したゴブリンに向かって剣を振り下ろす。
何度も何度も何度も、自分の服に血が飛び散ってもそれでも止めずにピクピクと痙攣しているー状態でも生きていると考え、首を飛ばし、内蔵をエグりだし……そして我に帰ったときに全身に付いた返り血とエグり取られた内蔵を見て勢いよく吐く。
馴れてはいけないのだが自分のしたことくらいは責任をもってやり遂げたい、と大分落ち着いた水橋はゴブリンを埋めるためにアイテムボックスとやらに入れることを決意したのだ。
《種族名ゴブリン(死体)を収納しました。残りの収納枠は4です》
一つに一枠使うのか。と、想像していたよりも使い勝手が悪そうなアイテムボックスの存在を知り、マップに映る近くの街? へと向かう。
やっと進んでいくかな?...多分