プロローグ
孤独、それは生きとし生けるもの全てにおいて耐え難いものだ、
とある鉄製馬車の牢獄の中で、一人の少年が蹲って孤独に耐えぬいていた、
彼の現在の立ち位置は奴隷、人として生きることを許されぬ存在だ、
奴隷となった人間は絶望と終焉が等しくやってくる、
救いなどなく、常に死に最も近い位置にいる、
彼は膝を抱え今までのことを考えていた、
彼が奴隷となり、人としての生を終わらせた、
あの過去を・・・・・。
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地球と異なる世界と言われて真っ先に思いつくのはどんな世界だ?
私はひとえに≪剣と魔法の世界≫を思いつく、
それは私が俗にいうオタクという存在に近かったからだ、
家の片隅で両親が死に、一人となった家で、PCをいじる、
孤独という言葉すら生ぬるいほど辛かった、
そんな生活を続けるものだから、俺は孤独死をした、薄れていく意識の中、もう、独りは嫌だと心の底から祈った、
そんな彼が剣と魔法の世界に転生をしたのは偶然ではなく必然だったのかもしれない、そう思えるほど強い意志で一人が嫌だと願い続けたのだから。
彼は異世界へ転生をした、
神託歴千百十六年、バルトシフト王国辺境の村、ぺトラ村で一人の赤子が生まれた、容姿は赤子の中でも飛びぬけて見目麗しく、人々から愛されるべき存在だった、事実、彼はたくさんの人から愛された、彼が祈った通り、孤独から解放されたのだと思った、しかし、運命は残酷だった。
飢饉だ、ぺトラ村はそこまで豊かな土地ではなかった、多少の干ばつで村の財政が傾くほどに貧乏だった、
そこで、この辺境の村に偶々立ち寄った奴隷商人に提案をされた、この村で一番の容姿をしたものを寄越せ、そしたら三ヶ月は村の者が食っていける食料をやろう、と、
そこで俺が選ばれた、当時俺は四歳だったが銀髪、銀瞳という珍しい色の上、容姿も子供とは思えず神がかっていた、
村の存続と秤にかければ正しい判断だったのかもしれなかったが俺はまた孤独に戻るのが嫌で泣いた、
村の住人も少し躊躇ったが村の存続という大義名分の元俺を売りに出した、
そして俺は此処に居る。
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俺は空を見上げる、鉄の壁しか見えないが空を見上げた、
『独りは・・嫌だ・・・。』
この呟きが聞こえた人間は同じ奴隷部屋にいた人間以外誰も聞いていない、同じ奴隷でも余裕がないから聞いてはいない、
転生者の、名を名乗ることも許されない少年の頬を伝う涙は鉄の地面に吸い込まれて消えてゆく、
彼のたどる運命の過酷さは誰も知る由もない、それが運命であることを、誰も知る由もない、孤独に突き進むことが、彼の天命だという事を知るものを誰も知らない、
如何にして彼は運命に抗うのか、神ですら知らぬ生き地獄が幕を開けた。
こんな駄文ですが読んでいただきありがとうございます。