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61.「勘違い ――暴走ハンターを取り押さえよ①――」
例によって土日は二話ずつ載せます。
ファルをおんぶしながら、ミズハはチェーンワイヤーでマンションの屋上から飛び降りた。
背中に温もりを感じながら、地上にいるみんなが温かい拍手で迎えてくれる。
よいしょと彼女が離れると同時に、人混みをかき分けて向かってくるソラの姿が見えた。
「みんな無事?」
ミズハが答える。
「心配をおかけしてすみませんソラさん。でも原因は判明してるんで、後のことはこっちでなんとかしてみます」
背後にはすっかり巨大な本と化したマンションが佇んでいる。
このままでは彼を含む入居者達が生活できないが、辞典の力による変化なら同じく辞典の力で元に戻すことが出来るとミズハは考える。
「そっか。それじゃ立て続けで悪いんだけど、今度はこっちの依頼を聞いてくれないかな?」
今、こっちは見るからに忙しいというのが分かる状況なのに。
にも関わらず、それを後回しにしろとでも言わんが言葉にミズハも思わず固まってしまった。
「ごめん! 今それどころじゃないってわかってる。でも君じゃなきゃダメなの」
「俺達の心配して来てくれたんじゃないの?」
ミズハが今一度確認してみるも現実は非情である。
ソラは首を横に振って言った。
「ううん。別件で来たらマンションが本になってて驚いたわー。とにかくギルドまで来て!」




