5.「一流のハンター ――海竜退治④――」
乗客と積荷を載せた船に動揺が走る。
何艘もの船を沈めてきた海竜が嵐を引き連れてこの船に向かって進撃を続けている。
米粒ほどの大きさで視認出来ていた海竜。
ハンターミズハが準備を終えて甲板に戻ってきた頃には大福ほどのサイズになるまで迫ってきていた。
「どうしたんだその武器は」
ゴーガが驚く。
ミズハが船倉から抱えて出てきたのは、自分の身長ほどもある大きなライフル銃。
「これを組み立てていたんだ。そのまま持ち歩いてたら物騒だからな」
「そうじゃねぇよ。お腰につけた二丁拳銃は使わないんかいー!」
つっこみ気味にゴーガが指摘する。
するとあくまで冷静にミズハが語る。
「これは俺の最も使い慣れたメイン武器だが、今回は相手が悪い。射程の長いこの銃で接近させずに仕留める」
海竜は嵐を連れてきている。
ただでさえ船の上での射撃は難易度が高いうえに、これ以上波が高くなったら討伐がより困難になる。
それになにより、周囲の被害を最小限に抑えること。
それこそが一流のハンターに求められる条件なのだ。
この小説を書く動機となった立体起動装置的な物は、第二章の終盤あたりまで出番は無いと思われます。