3.「情報収集 ――海竜退治②――」
この物語の主人公、名前はミズハ。
日々ハンター稼業に励む彼の元に、ある依頼が舞い込もうとしていた。
船で知り合った屈強な男ことゴーガが言う。
「退治して欲しい奴ってのは他でもない。最近この近海で暴れてるっていう海竜のことだ。話は聞いたことあるかい?」
海竜。
その言葉はミズハの頭にも入っていた。
「あぁ。ギルドでも噂が立ってたな。キレイな水色の鱗をまとった大きな海蛇」
「キレイだって? とんでもない。一度遠目で見させてもらったがありゃドブ川色って呼んだほうが近いぜ」
ゴーガが声を荒げる。
「そうなのか」
「そうだ。知り合いの船もあいつにやられたんだ」
彼が声を上げたのはその為だった。
仲間想いのゴーガは握り拳を作ってみせた。
「そうか。実際に見たあんたがそう言うんならそっちの色を信じるよ」
そしてミズハはもう一言付け加えた。
「無神経なことを口走ってすまない」
頭を下げるミズハ。
それを見てゴーガもハッと我に返ったように謝った。
「いやいやこっちこそだ! わるかったな」
再び海竜の話に戻る。
「やつは嵐を引き連れてくる。同業者が何度も被害を受けているし、このまま野放しにしてたら俺達も安心して航海ができねぇ。そこでだ。そいつが現れたらあんちゃんになんとかしてほしいんだ。出来るか?」
ゴーガの最後の一言に、ミズハは言い返す。
「出来るかじゃない。出来ないことでもやってみせるのが一流のハンターだ」
その目には一分の迷いもなかった。
「よっしゃ! これで依頼は成立だな」
またしてもゴーガの一言にミズハが言い返す。
「残念ながらまだ不成立だ。ハンターへの依頼はギルド、つまり斡旋所を介して行う必要がある」
「おいおい船の中にギルドはねぇぞ。依頼したことないけどそんな面倒なのかよ」
焦るゴーガ。
するとミズハが説明を始める。
「依頼を受けないとは言ってないだろ。ギルドを通さない場合、悪徳なハンターが法外な金をふっかけてきたりして危ないんだよ。だが俺なら格安で引き受けるぜ。突発分の料金は体で払ってもらうがな」
今度はミズハの最後の一言にゴーガが言い返す。
「なっ! あんちゃんそんな趣味があるのかよ?」
「ふざけんな馬鹿! 仕事を手伝ってもらうって意味だよ!」
ミズハ、顔面を赤くして誤解を解く。