18.「邂逅 ――誘いの森の業者救出⑦――」
腰に取り付けたチェーンワイヤーが、森のオオカミを置き去りにする。
空高く飛び上がり太い木の枝に着地したミズハは上空から追いかけるべき人影を再確認する。
依然として二丁拳銃に人差し指をかけたまま。
薬指と小指そして小指側の手の腹を使ってワイヤーを再射出するためのコイルを巻く。
再びワイヤーによる機動力を用いなければ追いつけないほどに目標は遠くに逃げている。
「足速っ。もしかして他にもハンターが来てるのか?」
コイルを巻き終えたミズハは、早速薬指でワイヤーを再発射。
前方のより太い木の幹に鉤爪が命中したのを確認後、木の枝から飛び降りる。
チェーンに引っ張られながら円を描いて降下しつつ、薬指でワイヤーの長さを調節してゆるやかに降下していく。
地面に着地する直前に余った小指が隣りにある引き金を引くことで鉤爪が飛び出し、木の幹からワイヤーとともにミズハの腰に戻ってくる。
そして三度目の使用のためにコイルを巻きながらもミズハは速度を緩めることなく人影を追う。
やがて大きくそり立つ絶壁が見えてきた。
脇道には遠回りではあるが安全に壁を越えるための坂道が。
その坂道をややペースダウンして登っていく人影を発見。
「いやがったな。もうにがさねぇぞ」
今度は対象に気づかれないよう小声で意気込む。
チンタラ坂道を登っていてはまた見失ってしまう。
崖の上方にわずかながら突き出した岩を見つけるとミズハはワイヤーを射出、そして急上昇。
見る見るうちに崖を駆け上るミズハ。
ワイヤーが巻き取り終わる直前に小指の引き金を引くことで鉤爪が飛び出すも、勢いのついた彼の体はそのまま崖の上まで運ばれていく。
静かな夜だった。
その場所は木々もまばらで、宙を舞いながらミズハは背中に月の光を感じた。
そして目の前に現れた人影もまた月の光に照らされ、その正体が明らかになる。
白い毛皮をまとったその少女は、鋭い眼差しと牙を見せてそこにいた。
小説を書くときなんとなく、30分枠でアニメ化したときの構成とか考えて書いちゃいます(笑)
それを踏まえて大体この辺で第一話終わりの来週につづく感じです。