17.「飛翔 ――誘いの森の業者救出⑥――」
土曜日くらい、一挙二話掲載とかしてもいいんじゃないかなぁ(独り言)
銃声と同時に近くで上がった、人間の悲鳴。
そして森の木々の隙間で動く人影の端をミズハは見落とさなかった。
「俺はハンターだ! あんた達を助けに来た」
安心させるための叫び。
しかしその人影は逆に森の奥深くに引き返していくではないか。
ミズハは追いかける。
今の人影が救助すべき業者、あるいは連絡が途絶えているハンターの内の誰かであるという確証を抱いて。
もう片方の拳銃にも指を掛けて全力で追いすがる。
遠巻きに眺めていた小動物たちはクモの子を散らしたように逃げていく。
その最中、一匹のオオカミが進路に立ちはだかる。
「ジャマだ!」
拳銃に人差し指をかけたままの両手を、再び腰の位置に戻す。
ピストルホルダーの前隣りに突出した引き金を薬指で引いた瞬間、勢い良くワイヤーが飛び出す。
先端についた鉤爪が前方十メートル先にある木の幹に引っかかるのを確認後、先ほどの薬指がもう一度引き金を引く。
急速に巻き取られるチェーンワイヤー。
地面を蹴り上げる威力とあわさって、六十キロ以上あるミズハの体は鳥のように空を舞った。