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108.登りの街
「よっ」
ミズハを取り囲む見知らぬ顔の男たち。
その中で一際輝きを放つ、崖で出会った髪の無い男がいる。
目の前には天井が広がる。
そこにある蛍光灯の明かりがツルツルの頭に反射してまぶしい。
「ここはどこだ?」
寝そべったまま右手で顔を隠しつつ尋ねる。
「ここはマインのギルドの仮眠室だ」
禿げていない男が答える。
別の男が続けて話しかけてくる。
「キズがまだひどいからしばらく休んでいけよ」
「いざないの森の入り口でぶっ倒れてたのをノースが運んだんだよ」
また別の男が言った。
今は何日か?
ドナを見ていないか?
確認したいことがいくつかあるが、上手く口が動かない。
目がかすかに開くミズハの顔を、さっきから視界から外れないピカピカ頭がのぞき込んできて話しかけてきた。
「俺がお前を運んでやったファイガ=ノース様だ。そしてようこそ、登りの街マインへ」