102.主人公復活のお知らせ
死んでもいいと思っていた。
ハンターとして。
それ以前にも冒険家として、彼は精一杯生きようとあがき続けて多くの功績を残してきた。
願い続けていた再会も果たせた事だ。
このような幻想的な場所で最期を迎えるのも悪くは無いだろう。
「お兄ちゃん」
聞き親しんだ懐かしい声が、彼の安寧を妨害する。
「先輩」
聞こえない振りをしてもすぐに違う声が降ってくる。
「ミズハ!」
彼の名を呼ぶたくさんの声が耳にではなく頭に直接話しかけてくる。
多くの声が徐々にはっきりと聞こえるようになってきて、気付いたらミズハは森の真っ只中で寝ていた。
日が落ちて辺りはすっかり暗いが、ポツポツと明かりが灯る植物のおかげで視界は良好。
そこは湖に囲まれた岸辺。
そして傍らにはキレイな顔をして横たわっている少女。
うずくまるようにして眠っている少女の懐からは大量の出血の痕。
「そうだ。俺はここに落ちてきて、やっとこの子を見つけたんだ」
気を失う前のことが少しずつ思い出されてきた。
「なぜ貴様が生きている!」
荒々しいその声が聞こえるまでそいつらの存在に気付かなかった。
湖をはさんだ対岸に、三体の獣人が迫ってきていたことを。
昨日のエピソードについてはまぁ、その…、あれっすよ。伏線ってやつっすよタブン。