ジャンケンとかってやたら強い奴いるよね
とある私立高校の屋上。
今ここに数十人の男子生徒が輪を作っている。そして、その輪の中心に一人の男子生徒。
そう、桐生京介である。
「…囲まれたか…」
追っ手に追われていた京介は、必死に逃げていた。
だがついに屋上まで追い詰められてしまい、現在の状況に至る。
…俺はナレーションの佐藤だ。久しぶりだな。
「フッフッフ、追い詰めたぜ桐生!」
そう言いながら一歩前に進み出たのは秋山。京介の友人だ。
「はぁ…分かったよ。話せばいいんだろ?」
京介は渋々ながら昨日あった事を話そうとした…が
「まぁ待て。お前に最後のチャンスをやろう」
と、勝ちを確信し調子に乗っている秋山がこんな事を言いだした。
「この俺とジャンケンをして勝てたら言わなくてもいいぜ」
「お前と…ジャンケンだと…!」
実は秋山はジャンケンがやたら強い事で有名だ。取り柄がそれしかないってだけだったりもする。
「フフ…覚悟はいいか、桐生?」
「…望むところだ!」
ここでジャンケンのルールを説明しよう。
ジャンケンとは、グー、チョキ、パーの三つを…あ、そういうのはいい?そうでしたか、すいません。
今回のは三回勝負、心理戦ありの決戦仕様だ。
「秋山、俺はパーを出す」
「そうか…なら俺はチョキを出さないぜ」
「(チョキを出さないだと?…いや嘘に決まってる…だがもしかしたら…)」
「(ククク…悩め悩め…)」
京介が手を決めかねていると
「桐生!さっさと決めろよな!」
と、急かしてきた。
「分かったよ!…よし、ジャンケン!」
「「ポン!」」
京介は悩んだ挙句チョキを出した。そして秋山は…
「フッ…まずは俺の勝ちだな、桐生」
「くっ…」
秋山はグーを出していた。これで京介はかなり不利な状態になってしまった。
しかし第二回戦。
「何だと!」
「おっしゃあ!これでイーブンだな!」
京介が意地の勝利を見せ、残すは最後の一戦になった。
「これで決まるな…桐生、悪いが勝たせてもらうぜ!」
「それはこっちの台詞だよ!」
そして
「「ジャンケン!」」
「「ポン!」」
「………俺の…勝ちだ!」
「馬鹿な…この俺がジャンケンで負けるだと!」
激戦を制したのは京介。秋山は自分が負けた事が信じられないようだ。
…まぁそれが唯一の取り柄だったから仕方ない。
この結果に他の生徒達は呆れて皆教室に帰ってしまった。
「…さて、俺が勝った訳だしもう帰っていいよな?」
「く…いいだろう」
「…ていうか秋山、そろそろ休み時間終わるぞ」
「え、マジか。次の授業って何だ?」
「えーと……!!マズい!早く行くぞ!」
「ど、どうした?」
「次は『鬼の岩熊』の数学なんだよ!!」
鬼の岩熊とは、この高校一であろう鬼教師の事である。彼の授業に遅刻した者には恐ろしい罰が待っているらしい。
「やべぇじゃねーか!!走るぞ桐生!」
「あぁ!」
そう言うと桐生と秋山は走りだした。
果たして二人は授業に間に合い、岩熊の罰を逃れることが出来るのか!?
後半へ続く
次回予告
「勇者よ、次回予告だ」
「色々と言いたい事があるが、とりあえずこれだけ言わせてもらう…ジャンケンしかしてねーじゃん!」
「そうなのだよ。私も出ていない」
「あ、そういえば出てないな。ところでこれって後半に分ける意味…」
「…む、そろそろ時間のようだな。では次回『正義の名の元に』お楽しみに」
「くっ…いつものパターンとはいえ…」
「あ、一つ伝え忘れていた。佐藤はもう出ないらしいぞ。」
「佐藤おおぉーっ!」
「では、またな」