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リアルと夢は紙一重

…魔王。それは魔物達の王とか、ゲームのラスボスとか、そんな偉そうなイメージが多いだろう。




「………」




だが、少なくとも今俺の目の前でFPSをしている奴には当てはまらないだろうな。




「おい勇者よ、コントローラの感度を変えるにはどうすれば良いのだ?」




「オプションの…いや、そんなことよりアンタ誰だよ?」




「魔王だ」




「…またそれか」



さっきからずっとこんな調子だ。魔王って…つくにしてももっとマシな嘘があるだろ。

…まぁ確かに見た目は綺麗だし似てるけどな。




「そんなに言うなら、魔王だって証拠でも見せてみろよ」



と、俺は冗談で言ったのだが



「ふむ、いいだろう」




そう言うと、そいつは窓を開けて山を指差し俺に向かってこう言った。




「今からあの山を吹き飛ばしてやろう」




「はぁ?んな事できる訳…」


無いだろ、と言おうとしたのだが俺の声は凄まじい轟音にかき消されてしまった。


何だ…?今何が起こったんだ?





「うおっ!?」




…窓の外にいつもあるはずの山がそこには無かった。俺はこう思ったね。


…とんでもねぇ奴と関わってしまったと。




「信じる気になったか?勇者よ」




「あぁ…」




半分くらいはな






「ところで、アンタが魔王だとして…何で俺の部屋にいんの?」




「契約をしたからだ。忘れたのか?」




「契約…?」





契約と言われてもそんな記憶はない。心当たりがあるとすれば昨日の夢くらいで…あ。




「もしかして昨日の夢か?」



「そうだ。私がお前の夢に入り込んで、台詞をそのまま言ったらお前が仕えると言ったのでな。」








なるほど、それは俺がそう言ったんだから仕方ない。しかし





「なんで俺なんだ?」





自慢じゃないが、俺は特筆するような特技は無いぜ。勉強は出来ねぇし、運動も得意って訳じゃねー。

だとしたら、何か重大な訳があるのか?




俺の問いに対し、魔王はこう言った。










「なんとなく、だ!」




「おいコラ」




ちょっと待て。なんとなくで俺の平和な日曜の午後が潰されているのか。





「その通りだな」



「勝手に心を読むな!」



「ならば許可を取ればいいのか」



「そういう事じゃ…はぁ、まいいや」








これ以上続けてもキリがなさそうだ。

まぁ俺が選ばれた理由は不本意ながら分かったしな。





「…ところでアンタ、そろそろゲームに戻らないのか?」




「私は戻りかたを知らんのだ」




「え…それって事は、つまり…」




そいつ…いや魔王はこちらを向くと満面の笑みでこう言ってきた。








「よろしく頼むぞ、勇者よ」






「…マジかよ」









…そんなこんなで、俺の平和な日常はおかしくなってしまった。


因みに、魔王の笑顔がちょっと可愛いとか思ったのは秘密だ。










とんでもない厄介事を抱えてしまった俺は、これからどうするかを考えていた。


家族に言うにしてもどう言えばいいんだ?

ゲームから出てきて戻り方が分からないらしいんで居候させて下さーい、とでも言うのか?


…まぁ無理だろうな。




……?というか、魔王の奴はどこに行ったんだ?






と思っていると、部屋の扉が開き魔王が入ってきた。




「どこに行ってたんだ?」




俺としては、うろちょろされて見つかるのはかなり迷惑だ。




「ちょっとお前の家族に買い物を頼まれてだな」



「あぁ、なるほ…ど?」



「近くのスーパーまで行ってきたぞ」







もう見つかっちまったよ!


ていうか会って早々に買い物頼むとか、うちの家族はどんだけフランクなんだよ!


…もう駄目だな、平穏な日々は諦めるしかない。




「ところで勇者よ」




「なんだ?」






「今日の夕食にはスライムの素焼きは出るのか?」







…スライムの素焼きねぇ。まぁ可能性はあるかもしれないな。だが、言わせてもらうぞ。










「んな物出るかぁぁっ!!」









…で、夕食の時に散々言われたぜ。

飛鳥からは、アンタに彼女とか明日地球滅びるんじゃない?とか


母さんにいたっては、京介に彼女がいるなんて知らなかったわ〜。で、もうヤったの?

とか言うしよ。




あ、父さんは単身赴任で今うちには居ない。










そんで、寝ようと思いベッドに向かったんだが…



「………」




「すぅ…すぅ…」







魔王が寝てました。俺のベッドで。


俺に床で寝ろと?俺の部屋なのに?









俺は仕方なく、本当に仕方なく床に毛布を敷いて寝る事にした。









「…今日の出来事が夢でありますように…」



俺はそう強く願い、眠りについた…











そして




新しい1週間の初日は最悪な目覚めで始まった。









『殺してやるうぅううぅーっ!!』





「うわあああぁぁーっ!!」





ごめんなさいぃ!もうしません!許してくだ…さ?




「ふわぁ……朝か…む、勇者よ。今日は起きるのが早いな」




……どうやらさっきのおぞましい声?は魔王の目覚ましの音のようだ。


…というか、やっぱり夢じゃなかったのか。





でもまぁ

非日常も面白いかも…




「勇者よ…時間は大丈夫なのか?」





え?


魔王に言われ、俺は自分の時計を見た。








8時55分…。朝のホームルームが始まる時間が9時からだから…うん、なるほど。





「遅刻だあああぁぁーっ!!」



完全に遅刻だ!…いや、走れば間に合うかもしれねぇ!



「ふむ、学校か…私も行ってみるか…」




魔王が何か言ったような気もしたが、構ってられるほどの余裕はない。


俺は家を出ると学校に向かってダッシュした。














…今日も魔王日和だな。




次回予告


「というわけで、次回予告だ。勇者よ、何か話せ」



「小説で次回予告っているのか?」



「作者がどうしてもと言うから仕方なくな」



「まぁいいけど…何言えばいいんだ?」



「最近の政治について話したまえ」



「え?次回予告は?」



「いいから話したまえ」



「…えっと、やっぱり最近の」



「む、そろそろ時間だな。では次回『ゲームの職業ってよく考えなくてもニートじゃね?』お楽しみに」



「……ひどい」



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