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第五話 ☆正月スペシャル☆ 終 ~これが私の全力全開の思い!!~

この小説は第四話を見てから見ると幸せになれます。

前回のあらすじ


女「給料ドロボーはこんな日でも仕事なんだ」


皆「給料ドロボーはよくないよね、ホント」











「うわ~、本当に真っ暗ですね~」


「一応まだ昼を少し過ぎたくらいなのだがな」



問題の惑星に着いたお気楽課は、本当に暗かったんだと分かり、驚いてた。



「でもこれでは町を少し離れたら、明かりがなくなって大変そうですわね」



この惑星は所謂発展途上惑星というもので、まだ完全には開発されきっていない未開の土地もある惑星なのである。


だから明かりなどのものはまだ町のほうにしか無く、ロストテクノロジー反応が在ったという所は町から大分離れたところにあるらしいので、まさに一寸先は闇状態なのだ。



「あれ?でもそれだったらどうやってロストテクノロジーだって分かったんですか?」


『宇宙船に乗って調べていたら偶然反応が出たらしいです。そのせいでこれ幸いと私たちに押し付けられたわけなんですが』


「全く。一体何を思ってロストテクノロジー反応を調べようと思ったんでしょうかね」


「………一応こういった不可解なものは、まずロストテクノロジー反応を探してから捜査するのが基本ですよ」


「あれ?そうだったけ?」


「はい」



基本的なことも忘れていたナナ。本当に大丈夫なのだろうか?



「それならそれで始めから私たちに任せてくれればよかったのだがな。正直いきなり言われてもやる気が出ん」


「まぁ、大体の場所が分かっているだけでもいいじゃないですか」


「………それもそうだな!」



ミリーの言葉に一応納得するリリス。



「それで、どうしてそこにまっすぐ下りなかったんですの?二度手間だと思いますわ」


「反応があったところは山岳地帯らしいので、万が一ということもありましたからここにしました」


「確かに山に下りるのは大変だからなー」


《これは私のことを貶されているのでしょうか。それともただ単に安全を考えた上でのことなのでしょうか………》



一人不安に思うセリエスの肩にぽんと手を乗せてミリーが一言。





「ぶっちゃけ不安だったです」





セリエスは涙に沈んだ。




「とりあえずさっさと行きましょうか。では皆さん、これに乗ってください」


「これって、車じゃないですか。何時の間に用意したんですか?」


「ご都合主義をふんだんに使って用意しました」


「………何でもそれで解決できると思ったら大間違いですわよ?」


「じゃあ行きましょうか」


「早いですわよ!?―――って、いつの間に皆さんが乗っているんですの!?あ、ちょっと、お、置いて行かないでくださいですわーーー!」











「で、ここがロストテクノロジー反応があった場所です」



時間は飛んでついに目的地付近までやってきたお気楽課。



「というか明らかに怪しいこの掘っ立て小屋はなんだ」


「この中にロストテクノロジーがあるじゃないんですかねー?」



目前にあるのはみすぼらしい掘っ立て小屋が一つ。


明らかに怪しい。


そこに息を切らせてふらふらになりながら走ってくる一人女性がやってきた。



「はぁ、はぁ、はぁ………!み、皆さん。置いていくなんて、ひどすぎますわ………!!」


「おお、よく走って追いついてこれたな。すごいじゃないか」


「ええ、尊敬します」


「尊敬よりも優しさがほしいですわ!!」



叫ぶキリカ。しかしそれは当たり前のようにスルーされた。



「何はともあれ取り合えず入ってみませんか?」


「ミリーの言うとおりだな。とりあえず入って中を確かめんことにはどうにもならん」


『そうですね』


「無視!?無視ですの!?アウトオブ眼中ですの!?」


「「「「『うるさい』」」」」


「うるさいって、うるさいってなんですの!?私がここに来るまでにどれだけ苦労しだらずっ!?」



ぱんぱんと手を払うリリス。手に赤いものがついているのはご愛嬌。



「全く、中に人がいてそいつがロストテクノロジーを持っていたらどうするんだ」


「正直それに関しては手遅れですね」


「なに?」



エルに言われて小屋の方を見ると、中から男が出てきた。



「だ、だだだ、だ誰だ、き、ききき貴様らわぁあああ!?」



出てきたと同時に全身を震わせながら指をお気楽課に向けて指して叫ぶ男。


どう見てもなんかイっちゃってる人である。



「何こいつ?バグってんじゃないの?」


『いえ、心拍は尋常じゃないほど速いですがそれ以外の異常はないので、おそらく究極的に怖がりなのでしょう』



話している内もずっとがくがくと足を震わせ、口から泡も出し始めた男。


やっぱりどう見ても危ないクスリに手を出しすぎた人である。



「ならどうして人前に出ているんでしょうか?」


「そんなことよりも男の左手を見てください。あれ、ロストテクノロジーです」


「えぇ!?」



その言葉にバッと男の左手の方を見る面々。


男はビクゥッと振るえ、先ほどよりもさらに震えだす。それこそ一人で地震を起こそうとしているんじゃないかと思えるほど。



「あの腕輪がそうなの?」


「はい。あの腕輪からロストテクノロジー反応がビンビンと出ています」


「ビンビンってどうよ………」


「何かいいましたか?ナナさん」


「んーん、何にも言ってないよ゛!?」


「ならいいんです」



足を蹴られて痛がるナナを横目に、エルたちは男に向き直る。



「すまないがその腕輪を渡してはくれまいか?それはとても危険なのだ」



「だだ、だだだ誰が、わ、わた、渡すももももんかか、か!」



「直球勝負は駄目だと思います」


『というか少しは考えて喋りましょうよ』


「うるさいな!これが私の精一杯の交渉なんだ!」


「それじゃあ~、駄目駄目じゃないですか」



地面にのの字を書いて落ち込むリリス。



「なかなかに強力な敵ですね。まさか既に三人もやられるなんて」


「完全に同士討ちですけど………」


『それは言わないお約束ですよ』



「お、おおお、お前らぁあ!?ぼ、ぼぼぼぼ僕を、むむ、むしすす、すするじゃにゅあああああいぃい!?」



「出来れば理解可能な言語でお願いします」


『ガイノイドでも解析不可能な言葉ですね』


「くすっ」



もはや言いたい放題な三人。エルがボケに回った今、この三人を止められるものなどあんまりいない。



「おお、おおおお怒ったたた、たたた、たぞぞぉおおおおっ!?」



男はそう言うと震える左手を高く上げた。


それに会わせるかのようにピカーンと腕輪が光りだす。



『! いけません。あの男、ロストテクノロジーを使おうとしています』


「―――なに!?止めなければ!!」


「あ、リリスさん!?」



セリエスの言葉に復活したリリスは、男に向かって走り出す。



「ま、ままま、ま饅頭にににな、ななななれぇえええええ!?」



男が叫んだその瞬間。腕輪から発せられた光によって視界が白く染まる。



「うわっ、まぶしいですわ!?」


「光になるぅうううう!?」


「バカなこと言ってないで目を開けてください。光がなくなってきました」



次第に薄まっていく光。そして光がだんだんと薄まってきたときに目を開けたお気楽課は驚いた。



「あれ?リリスさんがいないようだけど?」


「あ、見てください!あれを!」


「ん?ってあれは!?」



その場にはなぜかリリスがいなく、ミリーが指差した方にあったのは。



「饅頭、ですわね」


「饅頭ですね」


『どこからどう見ても何の変哲も無い普通の饅頭ですね』


「違いますよ!ほら、よく見てください!」



ミリーが持った饅頭をよく見てみると、確かに違うところがあった。



「赤い饅頭ですわね」


「なんというか中には唐辛子しか入ってなさそうな饅頭ですね」


『あとひらがなで〝りりす〟と書いてありますね』


「まあかろうじて読めるというくらい歪な字ですけど」


「でしょう?これ絶対リリスさんですよ」


「「「『それはおかしい』」」」


「え~?」



ねじが外れまくったことを言うミリーに全員でツッコミをいれる。



「でもでも、現にリリスさんはどこにもいませんし、あの男の人は〝饅頭になれ〟って叫んでましたよ」


「だからってそんな安着に決め付けるのは………」



「ぐ、ぐふふふふ、ふふ。そ、そその通りだ、だだだぁ!」



今まで空気だった男が叫ぶ。



「こ、ここここのうう、う腕輪わにわわわ、わなぁあ!が、ががが願望をげげ、現実にすすす、するちち、力ががが、あ、あるんだよぉおおおお!?」



怖ろしいことを叫ぶ男に、お気楽課の面々は。



「え?冗談?」


「いくらなんでもそれは無いでしょう」


『冗談は存在だけにしてください』


「欠伸が出るほどくだらない話ですわね」


「し、信じてあげましょうよ~」



ミリー以外ひどく冷たかった。


まあそんなことを言われてすぐに信じる方もどうかと思うが、これは酷すぎる。



「き、ききききしゃああらぁ!?しししんじにゃああなぁあ!?こここ、このわ、わ惑星ををを、くくく、くりぁああくし、ししし、したたのも!!ぼぼぼぼぼきゅぅのし、し仕業なんだだだぞぉおおぅ!?」



「………何て?」


『恐らく〝この惑星を暗くしたのはこの僕の仕業なんだぞ〟と言っているのかと』


「え?じゃああいつが犯人?」


「ということはこの饅頭は本当に………」



そう言って饅頭をじっと見つめるエル。



「ほら、やっぱりこれがリリスさんなんですよ」


「とりあえず一口食べてみましょうか」


「あ」



ぱくっと一口かじるエル。


固まった空気の中、ひとりもぐもぐと食べる。



「………こしあんですね」


「こ、〝こしあんですね〟じゃないですよー!?何で食べちゃったんですか!?リリスさん死んじゃいましたよ!?」



残った饅頭を急いで取り返すミリーは、口についたあんこを手で拭き取るエルに向かって叫ぶ。


こんなことでメンバーが欠けてしまうとは、いろいろな意味で予想外である。



「なんちゃって、本物はこちらです。今食べたのはたまたま持っていた似た色をした饅頭だったんです」


「へ?」



そう言って懐から赤い饅頭を取り出すエル。


なんで持っていたのかは分からないが、驚かせてくれるものである。



「よ、よかった~」


『………これ、確かに赤いですけど、文字が書いてませんよ』


「え?」



エルの持っている饅頭を見る。


どこにも〝りりす〟と書かれていませんでした。



「……………」



今度は食べかけの饅頭を見てみる。


少し欠けているが、明らかに〝り〟の右半分と〝す〟の文字が書かれていた。





「……………」





沈黙。実際に饅頭にした男ですら呆然としている。




「……………間違えちゃった、てへ♪」




「間違えちゃったじゃないですよ!?そんな初めて見るとても可愛い笑顔で言われても誤魔化せませんからね!?」


「惜しい、とても惜しいライバルを亡くしましたわ」


「感傷に浸らないでくださいよー!」


「本当にろくでもない人だったけど、亡くして初めて分かりましたよ。頼りにしていたんだって」


「良い話にしようとしないでください!」



言いたい放題の皆に呆れてしまうミリー。



『………なんでも願いが叶うのならそれで生き返らせてもらえばいいのでは』



「「「「それだ!!」」」」



ぼそっと呟くセリエスの言葉にそれだと思うお気楽課。



「はぅいぃ?」



いままで蚊帳の外だったのにいきなり話題の中心に引っ張り込まれてしまう男。


じりじりと近づいていくお気楽課の面々。



「ひ、ひひひひ、ひひいいいいいいぃぃぃ!!?」











「全く、死ぬかと思ったぞ」


「むしろ本当に生き返ってびっくりです」


「それは私に死ねといっているのか!?」



なんだかんだでリリスを戻すことに成功。


腕輪型のロストテクノロジーも手に入れることが出来、一件落着である。



「でもどうしてこいつ何の抵抗もしなかったんでしょうね?」


「さあ?分かりませんわ」


『皆さんが怖ろしかったからでしょうね』


「ですよね~」



現在腕輪を持っているのはミリー。


男が嵌めていた腕輪を右手に嵌めている。



「じゃあとりあえずこの暗いのを何とかしませんこと?」


「あ、それもそうですね」



キリカの言葉にミリーは左手を腕輪に当ててむむむと唸る。





「太陽さーん!どうか戻ってきてくださーーい!!」





両手を頭上に上げて叫ぶミリー。


その瞬間、腕輪が眩い光を放つ。



「またですの!?」


「目がぁあ、目がぁああああ!?」


『何だかんだ余裕ありまくりですよね皆さん』



次第に光が晴れてくる。そして丁度そのとき。



「あ、見てください!」


「ん?………あれってまさか」



暗かった世界を徐々に明るい世界にしていく太陽の光。


それが図ったように山から徐々に姿を現してくる。


光に照らされて草木がきらきらと光り、皆を照らしていく。




「わぁああ。綺麗ですぅ」


「本当、ですわね………」


「心が洗われるようですね」


「なんか、圧倒されちゃいますね………」


「ああ、全くだな………」


『これが、初日の出ですか………』



今の時刻は5時少し前。


ちょうど初日の出が出てくる時間であった。


奇跡が起こったみたいにぴったりとした時間で出てきた太陽に、五人と一体は心のそこから感動していた。



「………まあ、こんなものを見れるのなら、この任務についてよかったと本当に思うなぁ」


「そうですわねぇ。めんどくさいとは思いましたけど、パーティーに行っていたらこんなに素晴らしいものは見れなかったですものね」


「今年の私は大きくなれそうな気がしますよー、本当に」


「それは万に一つも無いでしょうですけど「ちょっと!」本当に幻想的な光景ですね」


『というかもう新年を迎えていたんですね』


「そんなに時間が経っていない様で結構経っていたんですね~」



太陽を眺めながらぼ~っとする四人と一体。






―――ん?()()




「あれ?ミリーはどこに行ったのかな?」


「ん?おい、あれを見ろ!」



リリスが指差すのは山の上の方。


そこを目を凝らしてみると、そこにいるのは両手を頭上に上げているミリーの姿があった。



「ま、まさかあいつ………!」


「しくじりましたわ。腕輪の存在をすっかり忘れていましたわ………!」


「ミリー!!何も言うなよー!?ぜっったいに何も言うなよー!!」


『ちょ、それは―――』




「わかりましたーー!!何か言って願いをかなえろって事ですねーーー!!」




「完全なフリですね。本当にありがとうございました」


「あ、あるぇー?」


「フリじゃなーーい!!フリじゃないぞミリーーーーっ!!」




「腕輪よーー!私の願いを叶えたまへ―――ッ!!」





ピカ―――――ッ!!





腕輪が光を放つ。


願いを叶えた証拠だ。



「これがミリーフラッシュの力か………!!」


「今までの比じゃないくらいの輝きですわ!」


『何を願ったのでしょうか………』




そして光が収まる。


しかしこれといって変化が無かった。



「………不発、なのか?」


「いえ、違います。耳をすませてみて下さい」


「耳を?」



耳に手を当て、音を拾おうする皆。





ゴゴゴゴゴ………





「………何か響いてきますわね」


「しかもどんどんと近づいてきましたよ!?」


「ミリー!一体何を願ったんだ!?」



リリスはミリーに向かって叫ぶ。




「えへへ、それはですね―――」




ゴゴゴゴゴ………ドッパァアアアアアアンンッッ!!





「「「「『んなぁあああああッ!?』」」」」



ミリーの背後から流れ出すのは白くて長い何か!


しかもそれが後から後から湧いてくる。


それはミリーを流しながらこちらの方までどんどんとやってきて、逃げる間などあるはずも無く、お気楽課は白い何かに飲まれてゆく。




「うわぁああああ!?―――ってこれ蕎麦じゃん!?蕎麦臭がすごいんだけど!?」


「………蕎麦だと?」



そのとき、リリスにミリーが言ったある言葉が思い出された。



「ミリー!お前まさか………!!」


「はい!これぞまさに蕎麦による蕎麦のための蕎麦にしか出来ない蕎麦の天罰です!!」


「あ、あほかぁーーーー!!」



リリスはミリーの脅威の実行力に度肝を抜かされた。



「もぐもぐ。これ意外とおいしいですよ」


『こんなときでも食べるあなたがチャンピオンですよ………』


「むしろこんなにあると逆に吐き気しか湧きませんわ………」



こんな時でも食べるエルに、キリカは吐き気を隠せない。



「でもとりあえず皆さんに言っておくことがあります。」


「今度は何だミリー………?」



いい加減うんざりした様子で聞くリリス。



「決まってます。新年なんだからあれを言うに決まっています」


「バカかお前は!?こんなときに新年の挨拶など出来るか!!」


「それでは皆さんご一緒に!」











「「「「『あけましておめでとうございます!!』」」」」











「なんで揃って言えるんだぷっ」



急に蕎麦に襲われて埋もれてしまうリリス。


そんな中、リリスは心の底からこう思った。







(本当に散々な年初め。本当にあけましておめでとうだよバカヤロ――――ッ!!)

「あれ?あの腕輪失くしちゃったみたいです」


「え、まじで?」


『………あんな物はどこにも無い方がいいと私は思います。かえってこれでよかったのでは?』


「まあそうかもしれないけどさ。少しくらい何か叶えて貰いたかったなぁーと思って」


「今更言っても詮無きことです」


「それもそうだな」



アハハハハハハ



「あれ?あの男は?」


「「「「『………すっかり忘れてた』」」」」




男は後でスタッフ(宇宙局)がちゃんと回収しました。

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