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第四話 ☆大晦日スペシャル☆ 始 ~蕎麦は健康にいいんです!!~

今日は今年最後の日ということでスペシャル。


まだ全部で四話しか投稿していないけどスペシャルなんだ。


今年最後にこれを見て笑ってくれたら幸いだ。


今年いっぱいありがとうだ!

今日は大晦日。だからというわけではないが、のんびりとした日を送ろうしていたお気楽課。


だがしかし、そんな日に限って依頼が来るのがお気楽課なのだ。











ずずーっと何かをすすっている音が響く。


がやがやとバラエティ番組を映すテレビを眺めながら、お気楽課の面々はこたつの中で年越し蕎麦を食べていた。


一応言っておくと、まだ勤務時間である。



「やっぱり、ずずー、大晦日の日に、ずずー、はお蕎麦に限ります、ずずー、よね~、ずずー」


『ミリーさんは本当に幸せそうに食べますね』


「だってセリエ、ずずー、スが作ったお蕎麦がおいし、ずずー、んだもの、ずずー」


『ミリーさん………』



会話しながらも食べることをやめないミリー。


ニコニコと微笑んで幸せそうに食べる姿に癒されているものが若干一名いる中で、キリカが蕎麦の入った器をこたつに置いて、文句を言う。



「………ずーずーずーずーと音を立てて、はしたないですわよ」


「えへへ~。お蕎麦だからいいんですよ~」


「そんなわけが―――」


「ありますよ」


「へ?」



キリカの言葉を遮って言うのは、すでに蕎麦を食べ終わってじ~っとテレビを見ていたエルだった。



「もともと蕎麦というのは地球に在ったニホンという国が発祥で、アズチモモヤマ時代という頃から在ったという物なんです」


「あ。私のご先祖様がそこの出身ですよ~」



箸を口にくわえて手を上げるミリー。



「確かにミリーさんにはニホン人の血が入っていますね。名字も白河ですし」


「名字が白河だとそうなの?」



今の今までテレビを見て爆笑していたナナが疑問を持ったのか尋ねてくる。



「そうですね。漢字を名字に使っていた国は他にもありますが、白河という名字は間違いなく日本独自の使い方です」


「へー、そうなんだ」


「………それよりも蕎麦のことについて教えてくれませんの?」



ずれた話を元に戻そうとキリカが話しかける。



「そうでしたね。蕎麦というものは噛まないで食べたほうがいい食べ物らしいです。何故かというと、噛んで食べると縁起が悪い食べ物らしいからですね」


「っ!?」



エルの言葉に、口に含んでいた蕎麦を思わず噴き出してしまいそうになるリリス。


しかしぎりぎりのところで防ぐことに成功する。



「それは違うよ~」


「?違ったのでしょうか?」


(なんだ、ちがうのか………ふう、噴き出さずにすんでよかった)



危ないところにいたリリスはミリーの言ったことを聞いて、安心してまた蕎麦を口の中に入れて、もぐもぐと口を動かす。が、



「縁起が悪いのは年越し蕎麦だけですよ」


「ぶーっ!!」



ミリーの不意打ちによって噴き出してしまうリリス。そのせいで前にいたセリエスに食べていた蕎麦が全てかかってしまう。



『………』ガタッ


「す、すまん。思いっきり何回も噛んで食べていたので今の事を聞いて驚いてしまって噴いてしまったのだ。決して悪気があったわけでは―――」



弁解するリリスの肩を微笑みながらガシッとつかんで一言。



『ちょっと表に出ようか』




ずるっずるっ………




「ちょ、ま、本当にわざとなんかではないんだ!ひ、引きずるな!ま、まっ―――」






バタン!! ソ、ソレハデンセツノエクスカリア――――ッッ!?






「………それで話の続きですけど」


「………そうですわね。私たちは何も聞かなかった、それで良いんですわ」


「………今年一番の怖さだった気がするのは気のせいだったんですよ」


「ちなみに何で縁起が悪いかというと、年越し蕎麦には〝細く長く達者に暮らせることを願う〟という願掛けみたいなところが含まれているかららしいんですけど………聞いてます?」



全く空気を読んでいないミリーに、こういうところは本当に羨ましいと思う三人だった。



「とりあえず縁起などは別として」


「無視しないでくださいよ~」


「別として。どうして噛まないで食べるかというとですね、どうやら喉越しを楽しむらしいんですよ」


「喉越し、ですの?」


「はい、喉越しです。それもあって蕎麦を食べるときにはズズッと音が立ってしまうのは仕方のないこと、宗教でも蕎麦を食べるときには音を立てて食べるのが当たり前らしかったんです。だからミリーさんが音を出して食べても、はしたなくもなんともないんですよ」


「へ~。………あれ?でもそれじゃあ消化に悪いんじゃないの?」


「大丈夫です。蕎麦は消化に関してかなり優れているので問題は全くありません」


「ならいっか。ずずーっ、とね」



エルの説明を聞いて安心したのか、蕎麦を啜り出す。



「納得は出来ませんけど、理解はしましたわ。まあ一年の終わりですものね。少しくらいならいいでしょう」


「その通りです。ミリーさん、御代わりをください」


「はーい」



そう言ってミリーに器を渡しておかわりを頼むエル。


どことなく満足げな雰囲気が感じられたキリカは思った。



「もしかして、あなたが音を出して食べたかっただけなのでは………」


「………そんなことはないすです」


「〝ないすです〟ってなんなんですの………?」



キリカはなぜか今までエルが言っていたことが全て自己弁論なんじゃないかと思った。



「はい、おまたせで~す。今度はお揚げもサービスでつけちゃいますよ~」


「きつね蕎麦ですね………!」



戦慄してそういうエルは、全身から喜びのオーラが漂っている気がした。


そこにがちゃっとドアを開いてセリエスが入ってくる。服に赤いものがついているのは気のせいであろう。



『ふぅ~。いい汗をかきましたよ』


「そんな笑顔で言わないでほしいよ………」



顔が引きつってしまうナナ。自分が座っているところから、角度的に扉の外が少し見えてしまったのだが、赤い物体が転がっていたのは気のせいであろう。いや、絶対。



「セリエスも食べませんか~?」


『いえ、私はそれほどお腹が空いていないので大丈夫です。それよりもミリーさんに食べていただけたほうが私は嬉しいです』


「えへへ、そう言われたら逆に食べづらくなっちゃいますよ」


「じゃあ私が全部食べちゃいますねー」


「だ、だめですよ!もっと食べるんですから!」


「御代わりです」


「速すぎませんの!?」




こうして賑やかな時が過ぎていくお気楽課の面々(-1)。しかしそこに一人の女性が入ってきたことにより、それは終わりを告げた。











ガチャッと音を立てて扉が開く。


中に入ってきたのは一人の女性―――――と手に持った何か赤黒い物体だった。



「お前ら、扉の前にごみを放置すんじゃない。他の局員が怖がって誰も近寄ろうとしなかったぞ」



そう言って女性は持っていたそれを床に放る。床に当たったときに痛っと言ったような気がするが、それは気のせいである。



『そうですね、ゴミはちゃんとゴミ箱に入れないといけませんでしたよね』


「それが当たり前のエチケットというやつだ」


『なるほど。配慮が足りていませんでした』



アハハと笑いながら話し合う二人。



「お、恐ろしい二人だなー………」


「………私は無視を決め込んだお前らも恐ろしいよ」


「あれ?生きてたんですか?」



いつの間にか復活してこたつの中にもぐりこんでいたリリス。


さっきまでの傷やらなんやらは綺麗さっぱり消えている。



「まあギャグだしな。早々死ぬわけでもあるまい」


「いえ、死にネタというものもありますから、安易に死なないと思ってますと簡単に殺されますよ?」


「誰にだ?セリエスは本当にぎりぎりのところまでは殺るが、死にはしないぞ?………死にたくはなるが」


「リリスさんを殺せる人物なんて決まっているじゃないですか。それは―――」


「エルさーん、おかわり持ってきましたよ~」


「ありがとうございます」



エルが誰かの名前を言おうとした瞬間、計ったようなタイミングでミリーが蕎麦を持ってくる。



「だ、誰なんだ?私を殺せる人物は一体誰なんだ?蕎麦なんぞすすってないで早く教えでぶぉ!?」


「なんてことを言うんですか!?蕎麦を蔑ろにすると天罰が下りますよ?蕎麦の川に流されるみたいな感じの天罰が!」


「私にはためらいなく鳩尾を殴ったミリーそのものが天罰に見えますわ」



リリスがミリーの攻撃によって三途の川に旅行に行ったそのとき、ようやく話が終わったのかセリエスたちがこちらにやってくる。



「ほら、起きろ」


「グフッ!?―――はっ!なんか今良い所にいたような………?」


「何を言ってんだお前?」



あれー?と首を傾げるリリスを置いといて、女性は話を始める。



「さて、私がここにきたのは苦情を言いにきたわけでも世間話をしにきたわけでもない」


「え゛、じゃあまさか………」


「そう、仕事だ」


「マジですかー………」



女性の言葉を聞いてこたつの上に顎を乗せてだらんとするナナ。



「こんな日に仕事はついていませんね」


「とりあえずお前は手に持ったミカンを置け」



女性の言葉でしぶしぶ持っていたミカンをかごに戻すエル。



「でも今日は私たちにこれといった仕事なんてなかったんじゃないんですか~?」


『―――はい。記録には確かに今日の仕事は簡単な書類整理だけです。すでにミリーさん、エルさん、そして私は本日の仕事は既に終わっています』


「あら?ミリー、あなた終わってたんですの?」


「え?だってパーっとやってガガーってやればすぐ終わる量じゃないですか」


「………ちょっとした塔が出来てたはずなんだけどねー」



意外にもミリーは書類仕事が出来るということが判明したが、それは今は全然関係ないので仕事について話し始める女性。



「で、本題に戻すんだが、今回の仕事はある惑星に朝を取り戻すことだ」


「朝、ですか?朝昼晩の朝のことですか?」


「その朝だ。どうやらその惑星には3日前から朝が訪れず、ずっと暗い夜のままらしい。だから宇宙局に依頼が来たというわけだな」


「ですが、それでどうして私たちにその依頼が回ってきたんですの?まったくロストテクノロジーに関係なんてありそうにもない話ですのに」



キリカの言葉に少し言葉に詰る女性。


少し苛立った様子で頭をかきながら質問に答える。



「そのことなんだがな、まず第一にこことその惑星が結構近いんだ。だからこの支局に任された」


「そうなのか?」


「そうなんだ。そして第二にどうしてこの特別遺失物捜索課なのかというと、どうやらこの仕事にはロストテクノロジーが関わっている事が判明したからだ」


「確かにここはそれ専用とも言っていいところですが、それならば今まで調査をしていたところが引き続きやった方が早いのでは?―――もしや………」


「そうだ。ようは体よく押し付けられたということだな。どいつもこいつも正月だからといって浮かれてからに………」



ぶつぶつと愚痴をたれる女性。


なんかちょっとした私情も混じっているのかもしれない。



「却下却下ーっ!それなら私たちだってこんな日に働きたくありませーん」


「そうだそうだ。第一に私には今日一日はこたつの中でテレビを見て過ごすという遂行な目的があるのだ」


「そうですわ。私には今日の夜にちょっとしたパーティーに行かなければなりませんのに」



口々に文句を言うナナたち。



「それこそ却下だ」


「えー?なんでなんですかー………?」


「お前らは日ごろの仕事の量が少なすぎる上に問題も起こしまくっているからだ」



「「「「『うっ』」」」」



「リリス。お前はこの前テロリスト共を殲滅するとか言って倉庫に保管されていたあの剣を持ち出したらしいな。しかもそれで街ごと殲滅して」


「うぐっ」


「ナナミア。お前は仕事中に仕事を放って買い物に勤しんだらしいな。しかも全て宇宙局につけて」


「あう」


「キリカ。お前はこの前の護衛任務でVIPの顔が気に入らないとかでぶん殴ってから逃げたらしいな。いまだにそこからの電話が絶えんぞ」


「うぅ」


「エル。お前は宇宙本局のコンピュータに無断アクセスして局の屑どもを一掃してくれたな。それで済めば何も言わないが、何故全て私の犯行になっているんだろうな?」


「一番身近で偉かったので、つい」


「給料1年間没収」


「………はい」


「セリエス。お前はまた無断で改造を施したらしいな。この局がなんと言われているか分かるか?びっくり箱の地方局だぞ?―――後で直しておけ」


『………わかりました』


「で、ミリエーヌ。お前は………」


「わくわく」



なぜかわくわくしているミリーを見て言葉に詰る女性。



「お前には………特にこれといって言うことはないな」


「えぇ~?なんでですか~?」



その言葉を聞いて頭痛がするのか頭を抑える女性。



「お前は逆にいろいろありすぎて選ぶ手間すら煩わしい。何だこの被害報告は。1週間で32件とはふざけているのか?何をどうしたらこんなペースで被害を起こせるんだ。人間台風かお前は」


「えへへ、褒められちゃいました」


「………褒めてなどいない」



頭を抑えて痛む頭を抑える女性。


ミリー以外の面々は、自分のことを棚に上げて、ミリーに振り回されてかわいそうにと思った。



「まあそんなことはどうでもいい。とにかく、何でお前らが行くことになったかは分かったか?」


「まあ、一応は分かりましたけど」


「ならとっとと行って、今年最後の仕事をやり遂げて来い。特別遺失物捜索課、さっさと出動せよ」


「「「「「『了解!』」」」」」




こうして、お気楽課は任務につくのでした。


しかしこのときは誰も想像していなかった。まさかあんなに怖ろしいことになるなんて………。










続いちゃうの

「え?これって続くの?」


続きます。


「冗談じゃなくて?」


本当に続きます。

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