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第二話 大変だとわかっていてもお金は欲しい

本日もお気楽課はのほほんとした1日を過ごしていた。


しかし、ナナが見つけた一つの新聞から事態はとんでもない方向へと動いていったのである。










「た、大変です!皆さーーん!!」



大きな足音を響かせてナナは走ってくる。



「おー、ナナどうした?そんなに急いで」


「そんなに急ぎますと転びま―――」



「あっ」




ガッ!ゴロゴロゴロゴロドガーーーーン!!




「―――すわよ、って見事に転びましたわね」


「まあ、見事にフラグ立ってましたからね」




「・・・、誰か私の心配をしてくれても良いじゃないですか~・・・」



頭をさするナナは恨みがましそうにお気楽課の面々を見る。



「大丈夫だと信じていたんですわ」


『あなたの頑丈さは常人の比ではないですからね』


「なんか馬鹿にされているような・・・」


「それで話って何でしょうか?」


「あ、そうでした」



そう簡単に話をすり替えられるから馬鹿扱いされるんじゃないのだろうか・・・?



「これ!これを見てください!!」



なぜか興奮しているナナが取り出すのは一つの新聞。



「これが一体どうし・・・」


「どうしたんです・・・の・・・」



ナナが持っている新聞を見た瞬間に時が止まる二人。



「あら、これって」


『どうみてもミリーさんですね』



そう。新聞に貼ってある写真に写っていたのはどう見てもミリーであった。しかし・・・。



「でもこの記事が書かれた年が今から30年前になってますよね?」


「そうなんですよ!そこが不思議なんですよ!」


「でもどうして30年前の新聞なんか持っているんですの?」


「ああ、それはですね。これに載っている4コマ漫画の奇想天外かきくけこっぽーちゃんがどこから掲載されているのかが急に気になっちゃいまして、古本屋で立ち読みしていたんです」


「なんだそのさっぱり中身がわからない題名は・・・」


「・・・時間になってもここに来ないと思っていましたら、そんな所へ行っていたんですか」



ニコニコと笑顔で喋るナナに変なやつを見る目で見つめるリリスと呆れるエル。



「しかしこれがいったいどうしたって言うんですか?」


「え?だって気になるじゃありませんか。どうしてここまでミリーさんにそっくりな人が新聞に載っているのか」


『確かに気にはなりますが・・・、別にどうしても気になるというわけでは』


「えー?気になりますよ、絶対!」



興奮して新聞を握り締めるナナ。


力を込めすぎて新聞が少し破れかかっている。




「皆さーん。おはようございまーす」



と、そんな時ミリーがお気楽課にやって来た。



「あれー?皆さん一体どうしたんですか?一箇所に集まって」


「あ、ミリー。ちょっとこれを見てよ!」


「これ?」



ミリーに新聞を突きつけるナナ。



「これって・・・」


「ね?ミリーにそっくりで―――」


「お母・・・さん・・・」


「―――え?」


「お母・・・」


『さん・・・ですか?』


「・・・はい」



顔からキラリと光るものが落ちる。



「もう、他に写真なんて残っていないと思ったのに・・・」


「そう、なんですの?」


「はい。私の母は私が3歳のときに死んだんです。その後親戚の人の養子になったんですけどそのときにいろいろあって母の写真が私が肌身離さず身につけている一枚以外なくなってしまったとばかりに・・・」



新聞を抱きしめるミリー。




「え、なに?この意外と重い過去」


「とゆーかこれはまだ2話目なのにいいのだろうか?」


『ギャグ小説ですから問題無しです』


「ぶっちゃけましたね、セリエスさん」


「・・・、シリアスが台無しですわ」



・・・あんまりメタなことを喋らないでほしいんだが。




「そしてこれが母の形見なんです」



ミリーが制服の内側のポケットから取り出したのは小さなロケット。



「これが、ですか?」


「はい。ほら、中に・・・」



ミリーがロケットをずらすと中にはミリーの面影がある女性と小さな赤ん坊が写った写真があった。



「この人がそうなんですか?」


「はい、そうです」


「綺麗な人ですわね」


「そうですね」



ロケットの中身を見て口々に感想を言うお気楽課の面々。



「あれ?」


「どうしたんですか?リリスさん」


「いやほら、ここなんだけどさ。なんかずれるようになっている気がするんだが・・・」


「え?」



リリスが指差したところ、ロケットの裏をよく見てみるミリー。



「ほ、本当です。ここ、なんかずらせます」


「何か入ってないの!?」



何か興奮した様子でミリーに尋ねるナナ。



「えーとですね。あ、なにかのチップが入ってます」



そう言ってロケットの裏からなにかのチップを取り出す。



「これは・・・、一昔前の記録媒体ですね」


『ミリーさん。再生いたしますか?』


「・・・。お願いします」











「これは・・・、地図ですわね?」



ロケットの中のチップに入っていたデータはどこかの星の地図であった。



「なんでしょうかね、これ?」


『私が判断します限りこれは宝の地図だと思われます』




・・・・。




「「「「「た、宝の地図ぅー!?」」」」」




セリエスの言葉により、一気にざわめき立つお気楽課の人々。



「な、なんで宝の地図だと・・・?」


『これを見てみてください』



セリエスが取り出したのは先ほどの新聞紙。



「これがどうかしたんですの?」


『この記事を見てください』


「ん?」


「何々?〝またもや大発見!?トレジャーハンターのアーリエス・白河さんがまたもや新しい遺跡を〟って、何だと!?」


「ミリーのお母さんはトレジャーハンターだったの!?」


「し、知らなかったです」



新聞に書かれている記事に目を見開くミリー達。



「ですがこれと、その地図が宝の地図だという関連性はないのでは?」


『いえ、これを見てください』



セリエスは地図に描いてある×印の場所に指を置く。



『明らかに何かがあるという証拠です。そしてミリーさんの母親がトレジャーハンターだったということならば・・・』


「そこには何か宝があるのはある意味当然、ということか」


『その通りです』



その話を聞いてお気楽課の面々(ミリーを抜く)は想像する。


そんなお宝があるのなら取ってこよう、と。


トレジャーハンターが残した地図ならばきっと莫大な金銀財宝がありそうだ。


しかしそれはある意味ミリーの母親が残した形見みたいなものである。


だとしたら・・・。




「「「「『・・・・』」」」」




がしっ



お気楽課(ミリーを抜く)の心が1つになった瞬間である。




(お宝はちゃんと6等分だぞ!)


(当たり前ですよ~。抜け駆けなんてとてもとても)


(ですがその前にミリーさんを説得しなければなりませんわ)


(・・・、私がやってみます)


《大丈夫なのですか?》


(任せて)




皆の視線を背中に受けて、エルは一人地図を見つめているミリーに近づく。



「ミリーさん」


「ふぇ?」


「お母様の形見。取りに行くんですよね?」


「!?な、なんでわかるんですか!?」




((((《いや、まるわかりだから》))))




あまりにもわかり易すぎるミリーの心に対しての総突っ込みである。




「・・・そうです。明日にでも一人で取りに行ってこようと思っています」



ミリーはどこか遠くを見つめながらエルにそう告げる。



「ミリーさん。一人で行くなんて言わないで下さい」


「え?」


「だって私達、仲間じゃないですか」


「!!」



エルの言葉に目を見開き薄らと涙を浮かべるミリー。


そしてエルはミリーの後ろ―――要するにお気楽課の面々―――を見る。



(援護を求む)


(((《ラジャー!》)))



エルのアイコンタクトを受けた皆はミリーに止めを刺すべく一気に攻める。




「そうだ、ミリー。私達は仲間じゃないか」


「・・・リリスさん」


「困ってるんなら協力するよ!」


「・・・ナナさん」


「あなたがお母様の形見を手に入れたいのなら一緒に困難に立ち向かいますわ」


「・・・キリカさん」


『私も及ばずながらお手伝いさせて頂きたいと思っております』


「・・・セリエス」


「(ここが決め所!)ほら、皆あなたのことをこんなにも考えているのよ?だから私達もあなたのお母様の形見を探すのに協力させていただけませんか?」


「・・・エルさん。みなさぁん、ありがと、う、ううぇええええん!」



皆の心からの言葉(金がほしい)によって涙腺が完全に崩壊してしまうミリー。



「ということでミリーさん。ついでになにかお金になりそうなものがあったら貰ってもよろしいですか?」


「ふぇ?ま、まあ形見以外でしたら別にいいですけど・・・」





「「「「『よっしゃああああああ!!』」」」」




「・・・よっしゃあ??」



ついつい喜びの声をもらしてしまった皆。



「おほほほほ!なんでもありませんわ!」


「そうそう!そうと決まったら早速出発しよう!」


「え?でも今日はまだ仕事・・・」


「気にしない気にしない」


『安心してください。今日の仕事はもうありません』


「ということなのでさっさと行きましょう」



皆にせっつかれてお気楽課を去るミリー。



「い、いいのかなぁ?」











皆が出て行った少し後、一人の女性がお気楽課の部屋に入ってくる。



「お気楽課、仕事だ・・・ぞ・・・?」



口にくわえていたタバコをぽろっと落としてしまう。



「だれもいないだと?・・・ん?」



ふと、セリエスの机に置いてあった1枚の紙が目に入る。



「なになに?〝宝探しに行って来ます。帰りはウハウハの予定なのでしばらく帰ってこないと思います。ヒャッホー!!〟だとぉ・・・!!」



女性の頭に多数の血管が浮かび上がる。





「あ、あいつらぁーーーーーー!!!」











『書置きをちゃんと読んで下さいましたでしょうか・・・』



ちなみにセリエスがあの書置きを置いたのは純粋に心配をかけさせまいと思ってのことである。



「ところでこの地図の場所はわかっているんですの?」


「ええ。場所はガグリダス星系第5惑星の衛星の1つ、ケルムクです」


「ケ、ケルムクだとぉ!?」



エルの告げた場所を聞いた瞬間リリスが怯えた声をだし、体を震わせる。



「その星がどうかしたんですか?リリスさん」


「昔聞いた話なんだが、ケルムクという星は特殊な気候をしているらしい。しかもその所為で星の周囲の磁場が狂っているので精密機器が尽く壊れ、そこに行ってものは帰った者はいないらしい」



リリスが真剣な表情で語ったことはあまりに恐ろしいことであった。



「でもミリーの母さんは行って帰ってきてるじゃん」


「うっ、まあそうなんだが。なにぶん聞いた事があるだけだからな・・・」



容赦なくナナに突っ込まれて少しひるむリリス。



『しかしあそこの周辺では精密機器は特殊なコーティングをしていなければ例外なく壊れてしまうそうです。もちろん宇宙船のも』


「え、この船は大丈夫なの?」


『それについては安心してください。仮にもこの船は遺失物捜索のための船ですから、そういう特殊な状況下でも大丈夫のように整備されています』



自信満々に胸を張って言うセリエス。



「でも前回は堕ちましたよね」


『うぐっ。あ、あれはその~、旅行用にしたために快適度が上がった代わりに船の力が下がってしまっただけですよ・・・』


「まあ、確かに今回よりは前回のほうが圧倒的にサービスが充実していたわね」


「といってもそれじゃあ本末転倒なわけなのだが」


『うぐぐぅ』



褒められたと思った瞬間に、どん底まで落とされたセリエスである。



「あ、見えました!見えてきました!」


「え、マジ?・・・あ、本当だ」


「意外と綺麗な星ですね」


「なんだと!?」


「私も見たいですわ!」


『・・・・』



星が見えた瞬間に放置されたセリエスは少し寂しそうな顔をしている。



『・・・では着陸しますがしっかりと座っていてくださいね。磁場の影響で結構揺れると思われますので』


「はーい」



返事をしたのはミリーだけで、他の面々はすでにしっかりと席に座っていた。



『・・・皆さん早いですね』











「で、ここがそうなのか」


「・・・寂しいところですわね」



星に着いた一行の目の前に広がるのは―――



「岩しかないっすね」


『文字通り断崖絶壁というやつでしょうか?』


「違います」



周りにあるのは、岩。砂。土。


草木など一片も生えていない不毛の大地であった。



「確かにこんなところならなにかを隠してあったとしても、取りに来ようとする気すら起こらないな」


「で、でも私は行きますよ!絶対にお母さんの残したものを手に入れるものまでは!」



星の状況に少し怯んだミリーではあるが、勇気を込める意味も含めて改めて宣言する。



「そうだ!私たちも一緒になってお前の母の形見(私のお金)を手に入れるために協力するからな!」


「そう!あなたのお母様の形見(私の金銀財宝)を手に入れるためにですわ!!」


「皆さん・・・、はい!」



明らかに欲望を隠しきれていない二人の言葉に感動するミリー。


・・・人がよすぎるぞミリー。



「それでは行きましょうか」











「ほ、本当にここがその、ミリーさんのお母さんが示した場所なんですかぁ・・・?」


「地図によれば確かに」



ナナが指差すその先にあるのはまさに地獄への入り口のような洞窟。


入った瞬間に呪われそうなほどの不気味さに溢れている。



『とりあえずさっさと行きましょうか』


「そうですね!」



すたすたと洞窟の中に迷い無く入っていくセリエスとミリー。



「そうよね金銀財宝だもんね!」


「セリエスなんぞに独り占めなどさせんわ!」


「前進あるのみですわ!」


「出発です!」



そして四人はミリーたちを追いかけようと洞窟の中に足を踏み入れ―――





どがんっ!!





入り口に仕掛けてあった罠にはまり、見事大岩の下敷きに。



「こ、こんな所にあるなんて・・・!」


「なぜあの二人は無事だったのでしょうか・・・?」



そのころ先に進んだ二人はというと・・・。



「?何か後ろで大きな音が・・・?」


『気のせいですよ』


「・・・そうですよね!」



何事も無く洞窟の奥へと進んでいた。



《しかしやっぱりミリーさんの運は果てしなくついていますね。まさか私のようにセンサーで罠を発見して避けているわけではなく、ひたすらに運だけで罠を回避していますね》


「お、っと」




ガコンッ




『て、ガコンってまさか』




パカッ




『な、なんでこうもピンポイントに私のしたの床がぁぁあああああ!!?』



ミリーが踏んでしまった罠のせいで、憐れセリエスは地中へと消えていってしまうのであった。



「あ、あれ?セリエスさん?どこに行ったんですか・・・?」



急に消えてしまったセリエスを心配するミリー。


あんたのせいでセリエスは消えたんだよ。



「そういえば他の人も・・・」



今更になって他の人がいなかったことに気づくミリー。



「まあ、いいか」



が、そんなことを気にするミリーではなく、とっとと先に進むのであった。











そして、のっけから罠にはまった四人は、奥に入るたびにどんどん激しくなる罠を何とか切り抜けながら、洞窟内を進んでいた。



「岩に矢、水と続いて・・・」


「さらには落とし穴はもちろん火炎放射などがありましたわ・・・」


「なんだかわからない牛の大群やら雷なんかもあったよね・・・」


「まさに罠のオンパレードですね・・・」



まさしくぼろぼろという言葉が相応しいくらいにぼろぼろになりながら。


傷らしい傷は全くといっていいほど無いのだが・・・。




がた、がたがたがたっ




急に目の前の床が音を立ててきしみだす。



「ま、またなにかの罠ですの!?」


「こ、今回はなにも弄っていないはずだぞ!?」


「もういやです~!!」



怯える皆の目の前でついに床がせりあがる・・・!!



『あー、死ぬかと思いました。ガイノイドですけど』


「「「はい?」」」


「これは驚きの展開ですね」



床の下から上がってきたのはさきほどミリーに落とされたはずのセリエスであった。



『まさか落ちた先が魔界に通じているなんて思いもしませんでしたよ・・・』


「セリエスさん」


『はい?あ、皆様ここまで来れたんですね。かなりぼろぼろみたいですけど』


「あんたも人のこと言えないほど、ぼろぼろだろうが・・・」



セリエスの体も他の四人に負けないほどぼろぼろであった。


しかしやはり傷らしい傷が無いのが不思議である。



「セリエスが床から出てきたのは置いといて、ミリーはどこに行ったの?まさかもう先に・・・?」


『多分その通りだと思われます。私がここに落ちてからすでに10分は経っていますので』


「くっ、やっぱりそうか!こうしちゃ居れん、私たちもミリーを追うぞ!!」


「「「『ラジャー!!』」」」



ミリーに追いつくべく走り出す五人。



『あ、そういえば・・・』


「ん?どうした、セリエス」



走り出してすぐに止まるセリエスに走りながら尋ねるリリス。



『いえ、安易に走り出したらすぐ罠にはまるかと―――』




かちっ




「そういうことは早く言ってほしかぐらばぉ!!?」



セリフを言いかけている途中で横から飛び出してきた大きな円柱型の岩に押しつぶされるリリス。


他の三人も言わずもなが。



『さて私は先に行きますか』



「「「「助けてよっ!!?」」」」











現在ミリーは大きな石の扉の前にいた。


いかにも何かがありそうな扉である。



「ここですね!」



ミリーは躊躇無く扉を開けてる



「ええっ!?」



そして目の前に大きな影が―――











―――きゃぁああああ!!?



「ミリーの悲鳴!?」


「いったいなにが!?」


「早く行かないと!!」



洞窟の奥から響き渡る悲鳴に、ナナは一気に奥へ行こうと足を前に―――




ぐらっ




「うわぁあ!?ナナ!急に動くな!!落ちるだろうが!?」



何がどうなってこうなったのかはわからないが、現在5人がいるのは断崖絶壁に掛けられた橋の上のちょうど中間くらい。


明らかに不安定な上になぜだがとても長い。


少しでも誰かが焦れば、瞬く間に橋は崩れて崖下に落ちることは必須である。



「お、落ち着いて。焦ってもいいことなんて何もありませんわ!」


「冷静沈着ですよ、冷静沈着」


「でも・・・」



ミリーを心配しているナナ。・・・今更感がかなりするが。



『まあ、その時にはミリーさんはこの世にはいないかもしれませんが』



空気を読まないセリエス。



「ミ、ミリィー!?」


「わ、バカ!暴れるな!?」


「セリエスも何変なことを言いだすんですの!?」


『・・・てへりんこ♪』




「「「「うざい!」」」」


『ひどっ』




ぶちっ




「「「「『・・・ぶちっ?』」」」」




振り返ると、橋の最初の方の縄が千切れている。



「うわぁあおおおお!?」


「今回はこんなのばっかですわぁあああ!?」


「お、落ちるぅうううう!?」


「いつになったら最奥まで行けるんでしょうかねぇ?」


『無理な気がしてきました・・・』




ひゅうううううううぅぅ・・・











「そうなんですか~、ここでもうずっとお宝を守っていたんですかぁ」



がうっ!



あわやミリー危うしと思ったが、ミリーは普通に無事だった。


今はここの宝を守っていた番犬のペスこと、地獄の門番ケルベロスとお茶を飲みながら話し合っている。



「あれ?でもここって私のお母さんが何かを隠した場所なんじゃないですか?」



がうがうっ



「え?ここは千年以上も昔からここにあったある王様の隠し財宝の隠し場所なんですか?」



がう、がうがう。



「私のお母さんから預かったものが奥にあるので、取りに行くなら取ってきてもいいが他の物には手をつけないように?そんなこと心配しなくても私はお母さんの隠した何か以外は入りませんよ」



がう、がうがう、がうがっ。



「え、非常出入り口が奥にあるので帰るのなら其処から出た方がいい、ですか?ありがとうございます。これからも頑張ってお宝を守ってくださいね」



がうっ!




なぜ会話が通じるかはさっぱりわからないが、ミリーとペスの会話は終始穏やかであったようだ。


こうしてミリーは母の形見を手に洞窟を出て行ったのであった。











高い高いがけを登る五人。



「はあ、はあ。後もう少しだ」


「後もう少しで上に上がれますわ・・・!」


「ミリィ~・・・」


「はぁ、はぁ、はぁ」


『後もう少しですよ、・・・ん?』



崖を軽々と登っていたセリエスが急に片手を耳に当てる。



「ど、どうしたんだ?セリエス」


『いえ、ミリーさんがどうやら宇宙船に戻ったようなので』


「「「「なにーーーー!!?」」」」




がらっ




「あ」



叫んだせいか掴んでいた岩が崩れ、落ちていくリリス。


リリスは一番上にいたので当然皆を巻き込みながら。



「いやぁああああ!?」


「またですかぁあああ!?」


「これが本当の振り出しに戻る」


『というか崖下に落ちるですけどね』




ひゅぅうううううぅぅ・・・







彼女たちが果たして無事帰れたのかを知る者はいない・・・。

「ふふふ」



今ミリーの手の中には星の形をした髪飾りがあった。



「・・・お母さん、ありがとうね」

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