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5番地 陽キャと異世界の部屋

秘密を共有した友人、牛込がいよいよアパートに襲来。

「境界線」のある不思議な部屋を、陽キャはどう見るのか……?

 夕方。講義が終わり、俺はクロエと一緒にアパートへ戻ってきた。

 クロエは帰ってきて早々、机に向かっている。

 研究モードへの切り替えが速い。

 気持ちを落ち着けようと俺が台所で水を飲んでいると、インターホンが鳴った。

 

 ピンポーン。


 ……嫌な予感しかしないが、約束してしまっている以上はドアを開けないわけにもいくまい。

 案の定、そこには牛込が立っていた。

 

「よう、さっきぶり」

「……早いな」

「あれから気になりすぎて講義全然頭入んなかったわ〜」


 それで単位落としても責任取れないぞお前。

 牛込は玄関から部屋を覗き込む。


「そういやお前んち来るのも久しぶりだな」

「ああ」


 牛込は以前にも何回かここに来ている。

 つまり、寝室が“普通だった頃”を知っている。

 だから今日見せるものが、いかに普通じゃないかもよく知ることになるだろう。


「……こっちだ」

「マジか」


 牛込の目がちょっと輝く。ちょっと腹立つぐらいにテンションが高い。


「前来たとき普通の部屋だったよな」

「だったな」

「これが写真で見たようなアレに?」

「見れば分かる」


 そう言って俺は寝室のドアを開ける。

 牛込は中を見て、止まった。

 

 部屋の半分は、見慣れた俺の寝室。

 ベッド、本棚、机。


 そしてもう半分。

 石造りの壁と床、見慣れないものばかり並んだ棚、やけにカラフルな薬品、魔法道具のような何か。

 そして机に突っ伏している青髪。人来るって分かってるんだからせめて起きてろ。


「……いらっしゃい」


 クロエが顔を上げ、牛込を見る。

 数秒の沈黙。


「……マジで異世界じゃん」

「だから言ったろ」 


 牛込は部屋の境界に近づき、床を見る。

 フローリングと石床が途中でグラデーションのように切り替わっている。


「境界線あるのか」

「一応ある」


 しゃがみ込み、石の床を軽く叩く。


「マジで石だ」

「そりゃな」


 牛込は再び立ち上がり、石床の上に一歩踏み出す。

 見るだけならともかく踏み出すのは俺でも躊躇したぞ。


「オレ今、異世界にいる?」

「……ニッポン人(そっち)から見ればそう」

「すげえ」


 牛込は改めて部屋を見回す。


「まるで研究室みたいだな」

「みたい、というか実際研究室でもある」

「ほえー」


 牛込は置かれていた瓶の一つを手に取ろうとする。

 ……ん?あの瓶は確か……


「その瓶は触るな!」

「下手すると爆発する」

「そんなものそこら辺に置いといちゃダメでしょ!?」


 牛込(コイツ)から正論が出るとは。

 牛込は再びクロエの方を向く。


「そういえば、自己紹介してなかったな。オレ牛込達也、小鹿(コイツ)のダチやってます」

「私はクロエ・フェアネン。魔法使いで薬の研究してる」


「やっぱめちゃくちゃ面白いじゃんこれ!」

「だから面白くないって」

「これさ、人生変わるイベントだろ」

「……だろうな」


 クロエは机に戻り、また薬を混ぜている。

 

「異世界の薬をこっちで売ったら大儲けできんじゃね!?」

 と別の瓶を手に、鼻息を荒くする牛込。 


「それは筋力強化の薬……でも副作用で毛が抜けるかも」

「薬機法でググってからもう一度大儲けとか言ってみろ」


 やっぱりこの男をここに入れたのは間違いだったかもしれない。

境界線のフローリングと石畳がグラデーションになっている描写はちょっとだけこだわりました。

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