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2番地 異世界魔法使いの生活力

意外とズボラだった魔法使い。

今回は二人の「役割分担」が決まるお話です。

 朝の家事を一通り済ませた後、クロエ側の部屋を調べることにした。一応言っておくが本人の了解は得ている。

 …………見れば見るほど散らかっている。

 床には本や紙、謎の瓶や草が散乱している。俺の部屋と繋がっている以上、このままだと俺側まで侵食してくる可能性は高い。


「……一応この部屋は俺の部屋と一体化しているんだ。お前の側で留まっているうちに片付けろ」

「必要?」

「必要だ!」

「研究できれば問題ない」

「このレベルは研究に支障出るだろ!」


 片付けがてら、クロエの研究について詳しく聞くことにした。

 クロエは研究机へ向かうと、赤い液体が入った瓶を手に取った。


「これは回復薬」

「ゲームみたいだな」

「飲む?」

「やめとく」

 体力的にはさほど疲れてはいないというのもあるが、シンプルに不安だ。

「安全に問題はない………………多分」

「人に飲ませる薬で多分はダメだろ」


 なんやかんやしているうちに、そろそろ昼飯の時間になった。話が逸れに逸れまくったせいで片付けが進まなかった……


 とりあえず比較的サッとできそうなものにするか、と俺側のキッチンに向かう。

 ……クロエもついてきた。あちこち見回している。見たことのないものも沢山あるだろうから何もおかしくはないが。

 

「アキヒサ、この箱は?」

「電子レンジ。食べ物を温める機械だな」

「火魔法?」

「違う」

「こっちの箱は?」

「冷蔵庫。食べ物を冷やす」

「氷魔法?」

「だから違う」

 冷蔵庫を開ける。今あるものだと……これにするか。

「ところで昼は何作る?」

「チャーハン……ざっくり言えば玉子と炒めた米。危ないからあんま近づくな」

「子供扱いは遺憾。それはそれとして楽しみ」


 数分程度で完成。心なしかクロエの目が輝いているような気がする。


「……火魔法で乾燥させたみたいにパラパラ。ニッポンの料理すごい」

 どっちかというと中国だが。まあ異世界人からすれば些事か。


「アキヒサはなんでこんなに料理できる?料理人?」

「両親とも仕事で海外飛び回っててなぁ……大体のことは自分でやってたらこうなった」

「寂しい?」

「……別に。そういうクロエは?」

「一人。師匠と住んでたけど死んだ。この家は元々研究所……研究は一人の方が楽」

「……そうか」


 食べ終わったところで、これだけは言っておかねばなるまいと思っていたことを口にする。

 

「とりあえず……寝室は散らかすな」

「研究ある。そこまで手が回らない」

「じゃあ飯は自分で用意しろ」

「じゃ掃除する」


 自分で言うのもなんだけど、出会って1日も経たずに胃袋掴まれるコイツチョロすぎないか?

 宣言通り寝室が片付いた(俺も手伝ったが)ところで、この同居生活における分担を決める。

 

 俺……家事担当

 クロエ……研究担当


 ……うん、まあ思うところがないではない。ただ俺は魔法関連はからっきしなので任せざるを得ないから受け入れた。一応、クロエも皿洗いとかは協力することになったしイーブンだと思う。

 とまあ、こんな感じで奇妙な同居生活が始まったのである。


 なおその日の午後、クロエが実験に失敗して小さな爆発を起こして俺が頭を抱えるハメになったのは想像に難くない……

クロエは天才肌ですが、生活能力は壊滅的です。

チャーハン一つで胃袋を掴まれるチョロさ……もとい、素直さも彼女の魅力(?)かもしれません。

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