第6話 拓海のやらかしショートカット
秋吉台ダンジョン――そこは今まで潜った洞窟とはまるで雰囲気が違っていた。
ゴツゴツとした岩場ではなく、つるんと磨かれたような岩肌が広がり、光を受けて淡く輝いている。
「おぉ……鍾乳洞ってやっぱり綺麗だなぁ。観光に来たみたいだ」
拓海はすっかり観光気分で天井を見上げる。
「ほんと、不思議な場所ね。ダンジョンっていろいろあるんだ」
ルピナは目を輝かせながらキョロキョロ。
しかし――「ギャウッ!」
突然、通路の奥から狐モンスターが飛びかかってきた。
「うわっ!」
のんびりしていた拓海は慌てて後ずさる。
「油断しすぎ!」
すかさずレイカが飛び込み、愛用の警棒で狐を一閃。たちまち片付けてしまった。
「ふふん♪ やっぱり私がいないとダメなんだから」
胸を張って得意顔のレイカ。
「ぐっ……」
拓海は歯ぎしりしながら悔しそうに唇を噛む。
そこへ再び別のモンスターが出現。
「今度は俺に任せろ!」
拓海は勢いよく前に飛び出した。
「待ちなさい拓海! また勢いだけで――」
レイカの制止もむなしく――
ドゴォォォォンッ!!!
拓海の鍬がモンスターごと床を粉砕。
「うわぁぁぁぁぁっ!!?」
三人と一匹はそろって奈落の底へ落下していった。
……ズシィィィンッ!!
落ちた先は、なんと二層のボス部屋。そこには巨大な化け熊が仁王立ちしていた。
「な、なんでいきなりボス部屋に直行なのよっ!?」
ルピナが悲鳴をあげる。
「……っていうか、足元が……」
レイカが視線を落とすと――
ドゴゴゴゴッ……!!
さっき拓海がぶち抜いた床の残骸が、真上からドサァァァァッと降り注いだ。
化け熊「…………」
そのまま岩の山に押し潰され、ボスは断末魔を上げる暇もなくあっさり昇天。
「……え、倒した?」
拓海が呆然と呟く。
「……うそでしょ。まさか床の残骸で即退場とか……」
レイカは額に手を当てて絶句する。
「やったー! ボス部屋ショートカット大成功ね♪」
ルピナは無邪気に喜んでいる。
こうして、偶然にも「化け熊撃破」という快挙を果たしてしまった拓海たち。
手に入ったのは、次の階層に役立つ報酬アイテム――甘い香り漂う「はちみつの瓶詰め」であった。
「……結果オーライってやつだな!」
「……力加減って言葉、知ってる?」
「し、知ってるよ……たぶん」
ため息混じりのレイカと、ケロリとした拓海。
一行はそのまま三層へと足を進めるのであった。




