第5話 秋吉台ダンジョン
すいません、予約投稿失敗してました( ̄▽ ̄;)
「……ルピナ、本当に畑は大丈夫なんだろうな?」
高速道路を降り、秋吉台の広がる山口県某所へと向かう車中。助手席に座る高山拓海は、しきりに心配そうな顔で隣の小さな妖精に問いかけていた。
「心配性ねぇ〜」
ルピナは後部座席で、袋から取り出したクッキーをムシャムシャしながら言った。
「このアタシが大丈夫って言ってるんだから大丈夫に決まってるでしょ。このクッキーかけてもいいわよ」
「……お前、そのクッキーかけられても信用できる気がしねぇんだけど」
拓海はため息をつく。
「何よー! クッキーってすっごく大事なのよ? 甘い幸せの象徴なんだから!」
ルピナはぷくっと頬を膨らませ、もう一枚クッキーをぱくり。
「その軽さが心配なんだよなぁ……」
拓海は頭をかく。畑は命そのものだ。水やりを一日でも怠れば、野菜たちはたちまち元気を失ってしまう。
彼にとってダンジョンよりも畑の方が重要課題なのだ。
すると、ハンドルを握る古城レイカが、バックミラー越しに笑った。
「まぁまぁ、心配しすぎ。ルピナだってちゃんとやるわよ。ね?」
「うん、妖精魔法で雨降らせてるからバッチリ!」
「……それ、逆に降らせすぎたりしないだろうな」
「えへへ、ま、細かいことは気にしない気にしない〜♪」
「気にしろ!!」
拓海のツッコミが車内に響いた。
「ほらほら、もうすぐ到着だし、そんなに畑畑って言わないの」
レイカは楽しそうに言う。
「今回は国からの正式なお仕事なんだから、さっさと終わらせて、さっさと帰りましょ」
「お前は気楽でいいよなぁ……」
拓海はぼやきながら、窓の外を見た。
そこには一面に広がるカルスト台地、秋吉台の壮大な風景が広がっていた。石灰岩の白い岩肌がゴツゴツと露出し、まるで地球とは思えない異世界のような光景だ。
「うわぁ……なんかファンタジーの世界みたい!」
ルピナは目を輝かせ、口の端にまだクッキーの欠片をつけたまま窓にへばりついた。
「お菓子落とすなよ……」
「むぐぐ、ばれた……」
そして目的地、秋芳洞の入口に到着した。観光客の姿はほとんどなく、代わりに警察や自衛隊の関係車両がずらりと並んでいる。通常の観光用鍾乳洞とは違い、今はダンジョンとして完全に封鎖されているのだ。
「ここが……日本屈指の鍾乳洞か……」
拓海は思わず息をのむ。石灰岩の巨大なアーチが口を開け、その奥からは冷たい空気が流れてくる。どこか異様で、神秘的で、それでいて不気味な気配を漂わせていた。
「すごーい! 神秘的だね! ねぇねぇ、鍾乳石って食べられるのかな?」
「やめろ。絶対やめろ。カルシウムの塊だぞ」
「拓海ってほんと夢がないよねー」
「夢じゃ腹は膨れねぇんだよ」
そんな掛け合いをしていると、レイカがきりっとした顔で振り返った。
「はいはい、そろそろ真面目モードに入るわよ。秋吉台の鍾乳洞は観光ならロマンチックだけど、今回は完全にダンジョンだから。気を引き締めて」
拓海とルピナは顔を見合わせ、そして同時にため息をついた。
「やれやれ……」「ふぅ〜……」
こうして、一行は期待と不安を胸に、秋吉台ダンジョンの奥へと足を踏み入れていったのだった。




