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第1話 帰還と大騒ぎ

拓海とルピナが不死王ネクロスとの死闘を終えて帰還したのは、山奥のダンジョンゲート。

 拓海の傷はすでに癒えており、本人としては「少し疲れただけ」という感覚だった。


「ふぅ……やっと終わったな」

「ほんと、長かったねー」


 二人は特に気にすることもなく、山道を下って村へ帰っていった。


 だが――。


「ぎゃああああっ!? 血塗れの亡霊が帰ってきたー!」

「いや待て、俺は生きてる! 幽霊じゃない!」

「服がズタズタじゃないか! 血塗れだし! 今にも倒れそうだぞ!」

「内臓とか落っことしてないか!? 探せ、誰か探せー!」

「どんな想像してんだお前ら!」


 そう、拓海は「怪我が治った」ことにばかり意識がいって、自分の服が血に染まりボロボロになっていることに気付いていなかったのだ。

 村人たちから見れば、完全に重症患者の帰還にしか見えない。


 その騒ぎをかき分けるように、怒気をまとった足音が近づいてきた。


「……拓海」

「げっ」


 低い声とともに現れたのはレイカだった。


「アンタ、ダンジョンに勝手に入ったでしょ」

「ち、違っ……いや、違わないけど! でもほら、無傷だし!」

「どこが無傷よ! その服! 血と泥とボロ布じゃない!」

「……あ」


 拓海、ようやく自分の格好がホラー映画のゾンビ並みであることに気づいた。


「もし本当に死んでたらどうすんの! 私は警察官よ、市民を守るのが仕事なの! 幼馴染みがこんな無茶してるなんて、放っておけるわけないでしょ!」


 矢継ぎ早に飛んでくる叱責に、拓海は「はい……すみません……」と蚊の鳴くような声で答えるしかない。

 肩に乗ったルピナが小声で「うん、これは怒られて当然だね」と相槌を打ってくるのも妙に痛い。


「次からは絶対に私も一緒に行くわ。いいわね?」

「……はい」

「返事は!」

「はいっ!」


 こうして、レイカを「強制同行メンバー」として連れていくことが決定してしまった。


 ***


 数日後。

 拓海は新しい作業着に身を包み、いつものように畑を耕していた。

 服はボロボロすぎるので、泣く泣く処分したのだ。

 ルピナは収穫前のトマトをつまみ食いしながら「やっぱ畑が一番だねー」とご機嫌である。


「はぁ……平和が戻ったな」

「でも次からはレイカも来るんだし、もう無茶はできないねー」


 そう話していると、ポケットのスマホがブルッと震えた。


『通知:ダンジョンライセンス制度施行のお知らせ』

『攻略者は必ずライセンスを取得してください』

『対象者:高山拓海』


「……は?」

 拓海が固まったところで、スマホが鳴る。相手は案の定、レイカだった。


『もしもし? 通知届いたわよね。あんたもライセンスを取るの。拒否権はなし』

「いや、俺は農民で――」

『農民でも何でも、もうダンジョン攻略者よ。観念しなさい』


 ガチャリ。

 一方的に通話を切られる。


「……やれやれ、ようやく平和に戻ったと思ったのに、今度は試験かよ」

「ふふっ、またフラグ立ったんじゃない?」

「やめろ、その言葉……!」


 こうして、拓海の新たな試練が幕を開けるのだった。


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