第25話 聖水まみれの墓地探検
六層目に降りると、視界いっぱいに広がる墓地。
さっきまでの骨だらけフロアと違い、今度はしんと静まり返っている。……嫌な予感しかしない。
「また墓かよ。どうせ骨が……」
と思った矢先、白いもやがふわぁっと浮き出てきた。
「ぎゃっ! で、出たなゴースト!」
慌てて鍬を振り回す俺。しかし――
スカッ。スカッ。
……何度振っても手応えゼロ。
「タクミ、当たり前でしょ。物理効くわけないじゃん」
「言うの遅ぇ!」
仕方なく懐から聖水を取り出し、えいっと投げつける。
シュウウウ……と音を立て、ゴーストは溶けるように消滅した。
「おおっ、やっぱ効く!」
だが感心している場合じゃない。墓のあちこちから次々に出てくるゴースト軍団。
「これ一体ずつ聖水投げるの? めんどくさっ!」
俺は額に手を当てて考え込む。が、数秒後にはひらめいた。
「……そうだ! 某国民的RPGでさ、毒沼を歩く前に聖水浴びると安全ってあったよな!」
「え、なにそのゲーム知識で解決しようとするの……」
ルピナの冷たい視線を無視して、俺は瓶の栓を抜き――ザバァッ!
豪快に自分に聖水をぶっかけた。
「……どうだ!」
身構えて待つと、さっきまでワラワラと寄ってきたゴーストたちが、俺を見てヒュルルと距離を取っていく。
「おおっ! 効果は抜群だ!」
「なんか、タクミから変な匂いするんだけど……」
「気にすんな! これぞ聖水コロン作戦だ!」
墓地ステージは聖水の香り漂う爽やか空間(?)となり、俺は悠々と歩みを進める。
――そしてボス部屋。
目の前に現れたのは、複数のゴーストが渦を巻いて合体したような存在。
「レイス……だってよ。強い怨念の核を中心に、ゴーストを束ねてるらしい」
脅威のビジュアルに一瞬たじろぐも、俺の手にはすでに大量の聖水。
「物理効かない? じゃあ聖水シャワーだ!」
ポイッ、ポイッ、ポイポイポイッ!
俺の両手から聖水の瓶が飛ぶ飛ぶ。レイスは煙のようにしぼんでいき、ついには核ごとシュウッと消滅した。
「……はい、聖水連投で終了っと」
「ほんとタクミ、力技好きだよね」
肩をすくめるルピナをよそに、俺は全身びしょ濡れで勝利のガッツポーズを決めるのであった。
「俺、農家なんですけど〜スコップはダンジョンを制す〜」という作品も連載しています。
よろしくです。
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