第17話 腐臭漂う三度目のダンジョン
山に新しくできたダンジョンの前に立ち尽くしながら、俺は盛大にため息をついた。
「……マジでくっせぇ」
鼻を突き刺す腐臭。まるで生ゴミを三日放置して、さらに靴下で煮込んだみたいな悪臭が、風に乗って俺の顔を直撃する。
横でルピナが羽をバサバサさせて涙目になっていた。
「うぇぇ……鼻が曲がっちゃうよぉ! あたし妖精なのに、こんなの耐えられないぃ〜!」
「人間だって耐えられねぇよ! なんだこれ、下水道と焼却炉を混ぜて、さらに犬のうんこをトッピングした匂いだぞ!」
俺たちは思わず顔を覆い、タオルを鼻に巻きつけた。
思い返せば村の畑が害獣に荒らされたのも、こいつが原因らしい。山の動物たちがこんな悪臭に耐えられるはずもなく、逃げ出してきたというわけだ。
「レイカがいなくてよかったね。絶対ブチギレてたよ、これ」
ルピナが口元を押さえながら言う。
「おう。あいつなら“こんなの職務です!”とか言って鼻血出しながら突撃するに決まってる」
想像して俺は苦笑する。が、笑っていられるのもここまでだ。
腐臭は時間が経つほどに濃くなり、脂汗が止まらない。
「……行くぞルピナ。村を守るためだ」
「やだ〜〜! あたしもう羽腐っちゃう〜!」
「あとで甘いもの作ってやるから!」
「……行くっ!」
単純で助かる。いや、むしろ単純でなければ俺の鼻が死ぬ。
こうして俺とルピナは、涙目で鼻を覆いながら、三度目のダンジョン攻略へと足を踏み入れたのだった。
「俺、農家なんですけど〜スコップはダンジョンを制す〜」という作品も連載しています。
よろしくです。
https://ncode.syosetu.com/n0109kx/




