第13話 農民、最下層でも畑を耕す
九層を突破した俺たちは、いよいよ最下層――十層へと足を踏み入れた。
そこは砂漠とは真逆の、青々とした草原。緑の絨毯が広がり、花まで咲いている。
「うわ、爽やか……。今までの苦労は何だったのよ」
「農作業するには最高だな」
「ちょっと! いきなり畑をイメージしないで!」
のんびり景色を楽しむ暇もなく、最下層に降りると体育館ほどの広間へ。
通路はなく、直感的に分かった。ここがボス部屋だ。
ゴゴゴゴゴ……!
床の中央が盛り上がり、地面を割って出てきたのは――巨木の怪物、トレント。
枝はムチのようにしなり、幹には恐ろしい顔が浮かんでいる。
「でっか……! あれ、どう攻める?」
「考えるより行動!」
レイカが叫び、木刀……ではなく強化された剣で突撃。
ズバァン!と幹に大きな傷を刻むが、みるみるうちに再生していった。
「えぇ……せっかくのナイス斬撃が台無しじゃん」
「やっぱり火で燃やすしかないな」
俺はガソリンのポリタンクを見やり、即座に作戦を練る。
「よし、俺が幹に穴を開ける。そこにレイカがガソリンを流し込む。で、火をつけて、ルピナが酸素を送り込む! これなら再生も追いつかん!」
「おおー、意外と頭使うのね!」
「たまには褒めろ!」
作戦は決まった。
トレントが枝をしならせ、ムチのように振り下ろしてくる。
それを俺は鍬でなぎ払い、真正面から突進する。
「いっけぇぇぇぇぇ!!」
鍬を振り下ろすと――
ドガァァァン!!
穴を開けるどころか、幹ごとバラッバラに砕け散った。
巨木のモンスターは断末魔をあげる暇もなく、枝葉ごと地面に沈み、消滅。
……静寂。
「……」
「…………」
レイカとルピナがそろって俺を睨む。
「何の作戦だったのよ!」
「タクミが本気出したら全部いらなかったじゃん!」
俺は鍬を肩に担ぎ、ちょっと気まずそうに笑った。
「いや、まあ……段取りって大事だから」
そしてポリタンクを置いて、にやりと一言。
「――よし、焼き芋しようぜ」
「「そこかよ!!」」
ふたりの声が広間に響き渡り、こうして俺たちの十層攻略は幕を閉じたのだった。
「俺、農家なんですけど〜スコップはダンジョンを制す〜」という作品も連載しています。
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