第10話 農民、ゾンビを肥料にしようとして怒られる
七層の階段前。
恒例の宝箱チェックをすると、中から出てきたのは――
「……消臭剤?」
「ダンジョンの宝箱から出てくるもんじゃないでしょこれ」
レイカが怪訝な顔をする。
だが次の八層はゾンビステージ。俺はまったく気づいてなかったが、どう考えても必須アイテムだったのだ。
そして八層。
現れたのは腐りかけの狼系ゾンビたち。
「お、やりやすそうだな!」
俺は鍬を一振り。
ドゴォォン!!
目の前のゾンビどころか、通路一帯のゾンビがまとめてミンチに。
さらに一歩、もう一振り。
ドガガガガガッ!!
……あっという間にゾンビは片付いた。
「おぉー、これならいい肥料になりそうだ」
「待って、拓海、その発想怖いんだけど!?」
呆れるレイカをよそに、俺は耕された通路を眺めて満足していた。
だが次の瞬間――
「……くっさあぁぁぁぁぁ!!!」
鼻を突き破る悪臭。
ゾンビを粉砕したせいで、腐臭が見渡す限りに充満したのだ。
慌てて消臭剤を使うが、ミストの霧は全然追いつかない。
「ほら見なさいよ! 考えなしなんだから!」
「く、くっそ……俺の畑が……鼻に直撃……!」
その時だった。
――私に任せて!
ルピナが手をかざし、妖精魔法を発動。
ふわぁっと風が巻き起こり、通路を埋め尽くす腐臭を吹き飛ばしていく。
「おぉ! さすがルピナ!」
「風が心地いい……天使……!」
俺とレイカが感激していると、ルピナは胸を張って「えっへん!」とドヤ顔していた。
そして最奥。
待ち受けていたのは、巨大な狼のゾンビ。
毛は抜け落ち、骨が覗き、ヨダレまで腐っている凶悪な見た目――だったが。
「セイヤァァァッ!!」
拓海の鍬が一閃。あっという間に討伐完了。
あまりにいつも通りで感動がない。
「よし、じゃあルピナ、風で匂い飛ばしてくれ」
「……えへへ、それがね……お腹すいちゃったからもう魔法打てないの」
「……は?」
「さっき風いっぱい出したから、もうエネルギー切れなの。だから美味しいものちょうだい!」
結局、鼻をつまみながら俺たちは足早に九層へ向かったのだった。
「俺、農家なんですけど〜スコップはダンジョンを制す〜」という作品も連載しています。
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