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5話 『変わりゆく日常』

「おい、起きろボロ雑巾」


「お兄ちゃん起きてー!」


「ぐふっ!」


俺の名は金剛晟。

どこにでもいるような高校生な俺だが、唐突にクラスメイトに謎の忠告をされ、世界の闇に片足を突っ込んだと思ったら、居候が2人増えるという「どこの漫画の話ですか?」と言わんばかりの出来事を一日で味わった。

ちなみに今どうなってるのかと言うと……、赤髪イケメンこと紅玉 焔に足蹴りされ、その妹である黒髪美幼女こと紅玉 翡翠に腹にダイブされてるところだ。

休日に子供に腹ダイブされて起こされる父親の気分をこの歳で味わうなんて想像してもなかったが……。


「あのさぁ! もうちょっと優しく起こしてくんない!? あと焔は俺の事ボロ雑巾って呼ぶのやめよ!?」


「朝っぱらからうるせぇよ。発情期の猿か?」


「お前ほんっと嫌い!!!」


「晟お兄ちゃんおはよ〜!」


「ん〜〜〜!!! おはよう翡翠ちゃん! お兄さんと違ってほんとに君は可愛いね〜!! 可愛いけど人のお腹にダイブするのはやめようか」


「?はーい!」


「分かってないんだろうけどいい返事!」


「俺の妹に色目使ってんじゃねぇよ殺すぞ」


「ちょっと黙ってろシスコン!!!」


そんなこんなで、いつもよりも騒がしい朝を迎えた俺は、げっそりしながら母さんがいるリビングへと足を向けた。

朝から疲れがぐっと溜まった気がする。

これから胃に穴が開かないか、本気で不安になってきた……。


「あら、おはようアキちゃん。随分と賑やかだったわね」


「おはよう……。あれを賑やかで片付けられる母さんはすげぇよ……」


「はよ、おばさん」


「はよー!」


「あらあら。おはよう焔くんに翡翠ちゃん。さ、3人ともご飯できてるわよ」


俺たちはそれぞれ席につき、おれはもっそもっそとトーストを食べた。

一方昨日急いで用意された椅子に座り、目の前で仲睦まじく食事をしている焔と翡翠ちゃん。

翡翠ちゃんの子供用座椅子はたまたま俺、が子供の頃使ってた物がそのまま残っていたた、めそれを使っている。

……しかし翡翠ちゃんの頬についた食べカスを拭っている焔の姿を見ると、シスコンでありながらちゃんと兄なんだなぁと思う。

俺への態度が酷すぎてそんなこと一度も思わなかったから。

まぁこれを本人に言ったら確実に殺されるが。


「ごちそうさま。じゃあ俺学校行ってくるから」


「晟お兄ちゃん行ってらっしゃーい!」


「アキちゃん気をつけて行ってくるのよ?」


「……」


「せめてこっちに目を向けるぐらいしろよ!!!」


母さんは昨日のことがあったからか、今日は学校行かなくていいと言ってくれたが、俺には確かめなきゃいけないことがあるから。

食べカス大量についてるけど笑顔で行ってらっしゃい、と言ってくれる翡翠ちゃんに癒されながらも、その食べカスを拭ってこちらに目を向けさえしない焔に呆れ返る。


「はぁ……。じゃあいってきます」


「行ってらっしゃい。アキちゃん。はい、お弁当」


「ん、ありがとう」


弁当を受け取り、俺は学校へと向かう。


『帰りは気をつけてね』


……俺は、瑠璃に聞かなきゃいけないことがある。

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