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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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生態系の覇者 ⑤

「・・・時間が出来たなら、今のうちにやっちゃうかな」

 アスクレーくんたちが去って行った方向に背を向けて死骸の山に向き合う。

 ミセラさんたちが調理して昼食がみんなに行き渡るまで少しの時間は出来た。

 だったら私は進められるだけの処理を進めておくべきだからね。


 エレーナさんとノイエラさんがしていたように、私も小山の周りを見て回って現状の光景を脳裏に刻み込む。

 この工程は2人が土魔法を使う様子を見ていて気付いたことだ。

 画像編集ソフトのように風景画像の階層(レイヤー)を頭の中に構築する、下準備の作業と言って良い。

 護衛を兼ねてか、2人が私の後ろを付いて来てくれる。


「どうされるんです?」

「・・・小屋というか、囲って燃やしちゃおうかな、と」

 わたしと同じように死骸の山を見上げているノイエラさんが、世間話をするように訊いてくる。

 私が土魔法で作ろうとしているのは、焼却炉のようなものだ。


「ご自分でされるんですか?」

「・・・防塁を築く作業の予行演習になるだろうから、挑戦してみるよ」

 予定よりもタイムスケジュールが押している現状、どこかで時間短縮はしておきたい。


 指定されなくても土魔法要員に数えられている2人は、仮設住宅建築のときと同じように材料に使う土の生成をルナリアと私に任せるだけでも構わないと考えているんだろうけど、いつまでも2人に頼りっきりは拙いんだよ。

 姉貴分のエゼリアさんとアンリカさんが嫁入りで抜けるように、エレーナさんだってノイエラさんだって、いつ寿退社するか分からないからね。


「良い心掛けですね」

「難しそうならお手伝いしますから、頑張ってみてください」

「・・・うん。ありがと」

 どう受け取ったのかは分からないけど、2人は目を細めて笑ってくれた。


 魔法術師としても主君の側近としても大先輩で有る2人には、初歩の初歩しか土魔法を使えなかったときから何度もコツを教えて貰った。

 お母様が私のお師匠様であるように、2人も私のお師匠様だからね。

 安心して貰うためにも成功させなきゃ。

 気掛かりが減るほど2人も自由になる。


「・・・ヨシ。いけそう」

 現状の把握は出来た。目を閉じれば瞼の裏に死骸の山を思い浮かべられる。

 取り込んだ画像レイヤーの上に3D(スリーディー)モデルを重ねるように、建てたい工作物のイメージを重ねて魔力で空間に領域を固定する。


 どんな形状の工作物か。

 大きさは? 材質は? 固さは? 質感は? 

 イメージで魔法が実体化するのなら、そのイメージは具体的で有れば有るほど良い。


 試されるのは記憶力と想像力と魔力の制御力だ。

 地面に魔力を浸透させて地面の土を掌握する作業は、意識しなくても呼吸するように出来るようになっている。

 何度も何度も使って使い慣れた作業だし、ここに一手間、二手間―――、いや、三手間を加えるだけで良い。


 1つ目の手間は器となる空間を固定する作業。

 学校の隅っこに有った焼却炉の構造を思い浮かべる。

 焼却炉というものは、ゴミを詰め込む燃焼室の下にもう一つ、灰を落とすための空間が設けられた二重構造―――、いや。二重底になっている。


 二重底と言っても、(ふるい)というか、簀の子(すのこ)状になって細かな灰だけを通すようになってるだけだけどね。

 燃焼させるには空気が必要だから、ゴミを放り込むための開口部は空気の取り入れ口も兼ねている。

 ゴミを燃やした炎は燃焼室の天井に据えられた煙突から熱と共に不燃性ガス―――、二酸化炭素を排出するシンプルな構造となっている。


 焼却炉に煙突が付いている理由は、煙たいからでも火が危ないからでもない。

 ゴミの燃焼によって生じた上昇気流は煙突を通って排出される際に燃焼室内の空気を吸い上げるんだよ。

 自然発生する吸引力で内部の熱が排出される状況を“煙突効果”という。

 私が松の大木で洞の内部を燃やしたときにも起こった効果だね。


 この焼却炉の構造を再現するのに、先ずは平面を組み合わせた6面体をイメージして死骸の山を内部に囲い込む。

 6面体を構築する個々の平面を分厚く太らせれば、建物としての基本的構造体は出来上がる。

 前後左右の4面を地下まで延長して底面をもう1枚追加すれば二重底の出来上がりだ。


 ここで2つ目の手間で土を生成して、3つ目の手間で圧縮して固める必要が有るんだけど、この辺りは仮設住宅のモコモコ作業と“獰猛くん”という予行演習で慣れたもんだよ。

 地下でコピペ生成された土が空間指定された構造体に吸い込まれて、ズゴゴゴゴと地面から建物が生えてくる。

 四辺10メートル、高さ12メートルってところかな。


 ちゃんと内部は空洞になっていて、死骸の山も取り込まれている。

 2つの空間を仕切る二重底には、魔石が落ち込まないように小さな縦穴を無数に開けて貫通させておく。

 簀の子というか、メッシュ状と言った方が正しいかな。


「へぇ」

「これは中々」

 エレーナさんとノイエラさんが感心しているけど、まだまだだ。

 構造体の組成の中から空気を追い出してキッチリ固めないと、焼却時の高熱に晒されれば熱膨張で構造体が破損して崩壊する。

 そう。私が縄文式土器を再現しようとしたときに、焼成の工程で土器が割れまくったようにね。


 鍋に使おうとした縄文式土器が割れたせいで目の前で焚き火が爆発したあのときの恐怖を、私は未だに忘れていない。

 この私が悲鳴を上げたぐらいに、めっちゃビビったんだからね!

 教訓を経てこそ人類は進化の道を辿るのだ!

 ほんの小さな気泡の存在も許さないとばかりに、ギュウギュウに土を詰め込んでガチガチに固める。



生態系の覇者⑤です。


上達した土魔法!

次回、洞窟!?


※ 本日2回目(お昼)の分がエラーで投稿できておりませんでした!

  ついさっき気付いたのですが、投稿が遅くなり申しわけございません!


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― 新着の感想 ―
蜘蛛って体液の水圧で身体動かしてるはずだから大して筋肉ないし必然的に可食部も少ないと思う
クモもカニも大差無いんだから普通に食べられると思うんだよね。実際大きなクモ食べてるところもあるみたいだし、燃やしちゃうのはなんかもったいない気がする。
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