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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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生態系の覇者 ②

「・・・一気にって、全部? そんなこと出来るの?」

「やってみてダメなら別の方法を考えれば良かろう」

「・・・そうだね」

 ダメなら、と言いつつも、お母様が無理だと考えていないことは何となく分かる。

 周囲の警戒に当たっている側近たちにお母様は顔を振り向けた。


「エレーナ。ノイエラ。焼け跡に残ったラクネの死体を1ヶ所に集めたい。土術式でイケるか?」

「枝葉が雑じっても構わないので有れば、大した手間ではないですね」

 なんという頼もしさ。

 土魔法が得意なエレーナさんとノイエラさんは、無茶振りとも思えるお母様の指示に平然と答えた。


「そうか。なら、集めてやれ」

「どこに集めます?」

「その辺りで良いんじゃないか?」

「承知しました」

 お母様が指し示したのは樹間が比較的広く空いた空間で、木々の幹を上手く避ければ小さな倉庫ぐらいなら建てられそうな広さが有る。


 エレーナさんやノイエラさんの土魔法は参考になるから見学させて貰う。

 目的地を確認するようにエレーナさんたちはお母様が指定した場所を見て回った。

 仮設住宅のときにも予定地を見て回ってたよね。

 あれってイメージを固める作業なんだろうね。


「・・・ほえー」

 そこからどうするのかと思えば、通常の土魔法のように地面へ魔力を浸透させたのが足元の地面から感じる魔力の変化で分かる。

 掌握した広範囲の土ごと対象物を引き寄せてくる感じかな?


 傍目に見れば強力な掃除機がゴミを吸い寄せているように見えた。

 ラクネの死骸やら何やらが地面の上をズゾゾゾって滑ってくるんだよ。

 驚きの吸引力! って感じで。


 バラバラに点在するものを拾い集めて回るよりも、1ヶ所に集まった山から必要なものをピックアップする方が圧倒的に早いのは、探して歩く時間が必要なくなるんだから当然だよね。

 ある種の感動を覚えつつ小山のように積み上がった死骸を見上げていると、私の背後から声が掛かった。


「嬢ちゃん」

「・・・何か有りましたか?」

 声で分かってはいたけど振り返ってみれば、やっぱりドネルクさんだった。


「いや。問題が有ったわけではないんだが、昼メシにはまだ少し早いがどうする?」

「・・・こういう場合、どうすることが多いんですか?」

 お昼ご飯?


 たぶん、今はまだ午前11時にもなっていないんじゃないかな。

 ちょっとどころか結構早いよね。

 戦時における通常判断がどうなのか、判断基準も理解していないのだから、どう指示を出すのが正しいのかが分からない。

 先人の知恵を訊けば、ドネルクさんはとても分かりやすい答えをくれる。


「早めに食わせることも多いぞ。何せ、この場所は敵の掃討が終わっているからな」

「・・・あ。そっか。掃討」

 小休止で有っても、どこに魔獣という危険要素が潜んでいるか分からない場所では、安心して休息を取れないよね。


 安心を得るためには先ず周辺の掃討を行って危険要素を排除する作業が必要になる。

 周辺を探索して排除を済ませるまでに30分間掛かると仮定して、お昼ご飯の準備は安全確認が終わってから始めるわけだから、食事を終えるには、さらに時間が掛かる。


 戦闘行為を終えた今の場所であれば、掃討作業そのものが不要で時間の短縮が出来るってことだよね。

 予期しない魔獣の襲撃が重なったことで行軍計画に遅れが出始めている現状では、時間を短縮できる知恵が本当に有りがたい。


 私が軍隊の合理性に感心していると背後からミセラさんが声を掛けてきた。

 今はドネルクさんと話している最中で、ドネルクさんの視線で私の後ろに誰かが居ることには気付いて居たから驚かされなかったよ。

 ミセラさんはちょっと悔しそうだったけど、ミセラさんの報告には、しっかり驚かされた。


「やってしまいますか? もうガルダは捌いておきましたが」

「・・・えっ? もう終わったの?」

 ミセラさんの言う「捌いておいた」とは、獲ったばかりのガルダの精肉作業のことだ。

 戦闘状況が終わってから、そんなに時間は経ってないよね?


「フィオレ様がラクネの処理をしている間に。拙かったですか?」

「・・・ううん。そんなこと無いけど」

 いつの間に、と思えば、ミセラさんたちは私たちが南岸側のラクネの処理を話し合っているときからガルダを捌き始めていたらしい。


 それって戦闘中に調理を始めてたってことになるんだけど、ミセラさんたちは準戦闘員の扱いだから良いのかな?

 お母様が咎めないってことは構わないんだろう。

 そのお母様からミセラさんに声が掛かる。


「ミセラ。血はどうだった?」

「数人に試させましたが、バンダースナッチよりも弱かったようです」

「だろうな」

 お母様の質問にミセラさんが結果を報告し、お母様も当然のように頷いている。


 コレはアレだな。

 ガルダを撃退することと、ラクネの第2波からお肉を守って事態を収拾すること以外に考えが至らなかった私の代わりに、私が興味を示すであろう実験をお母様が進めておいてくれたんだな。

 1つの結果を得られたことで、私の思考リソースが食われる要素が1つ減った。


 実際、バンダースナッチの血に慣れて効果の実感が薄れつつ有る人に血を飲ませたところで、目新しい結果が得られるなんて私は考えていなかったしね。

 そう考えていたからこそ、現に私自身がガルダの血を飲んでいない。

 予想通りの結果が出ると踏んでいたから、お母様は私に知らせることなく実験を進めたのだろう。



生態系の覇者②です。


休憩するためにも戦闘が必要!

次回、戦訓!?

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