表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

957/1156

初めての出征 ⑯

「何事か!」

 ピーシーズが壁を作ることで人々の足が止まる。

 私は敵意のようなものを感じなかったけど、ピーシーズは私たちに余人を近付けないのが職務だからね。


「フィオレ様にお願いがございます!」

「・・・お願いって何の件?」

 ピーシーズの少し手前で跪いた人々の代表者と思しき男性が声を上げた。

 なんか悪い予感がするんだけど、新領民たちには早く安定して欲しいと考えているだけに聞かないわけにも行かないな。


「あの勇ましき守護の巨人像を解体される予定だと聞き及びました!」

「・・・守護の巨人?」

 そんな名前で呼ばれてるんだ?

 思わず聞き直したけど、“獰猛くん”のことで間違い無さそうだよね。


「・・・それで?」

「途方も無く巨大な敵を恐れず撃退して見せた巨人の姿に希望を見た者が多くおります!」

「出来ることなら残していただきたく!」

 えっ!! 残すの!? それ、困るなぁ。


 “獰猛くん”についてはお母様から邪魔だから壊せって言われちゃってるし、レティアの町周辺には養成施設だけじゃなく作りたいものが多く有るからね。

 慰霊碑でも城壁との距離は物理的にギリギリなんだよ。

 それよりも近付いたら城壁が弓なんかの射程距離に入っちゃう。


 慰霊のための施設が原因で城壁の防御性能が落ちたら、犠牲者が増える結果になるかも知れなくて本末転倒じゃん。

 出来るだけ領民の要望には応えてあげたいと考えているけど、私みたいな素人でも分かるようなレベルで理に適わないものは、お母様たちに相談することも出来ない。

 中途半端に言葉を濁さずにハッキリと言ってあげた方が良いんだろうなぁ。


「・・・それは、ちょっと難しいかな」

「どうしてでございましょうか!」

 スッと引いてくれれば良かったんだけど、代表しているだけ有って簡単に引くことは出来ないんだろうね。


 私は問題を大きくして処罰を受ける人を出したいとは考えていないから、出来るだけ領民たちに対して真摯に向き合ってあげたい。

 だから、嘘偽りのないところを答える。


「・・・城壁に近すぎるんだよ。理解できると思うけど、城壁というものは町を守るために有って、近すぎると敵が攻撃の足掛かりにしたり、城壁を乗り越えるための足場にされかねないから。あの慰霊碑でも城壁からの距離はギリギリなんだよ」

「城壁から離せば良いのでしょうか!」

 粘るね。


 彼らは“獰猛くん”に「希望を見た」と言った。

 「希望」とは「安心」でも有る。

 強大な外敵に生きる場所や大切なものを奪われた領民たちにとって、巨大スライムと戦って自分たちの生活を守った“獰猛くん”に安心を覚えたのかも。

 その気持ちは分からなくもないな。


 でも、心情というものは道理をねじ曲げることも有るから軽々しく同調できない。

 かと言って、無視すれば心に溝を生むことも有るから扱いが難しい。

 経営者が一部の「お気持ち」に付き合って経営判断を間違えれば組織は腐敗するものだし、最悪の場合には組織そのものが崩壊する。

 私も統治者側である以上、感情論に流されるわけには行かないし、正面から向き合って、理を持って諭すしかない。


「・・・城壁外の空間も広さに限りが有ることは分かるよね? 今後、レティアの町の城壁外には色々なものが作られる予定だから、あんなに大きなものをいくつも置いておけないんだよ」

「レティアの町でなければ問題ないということでしょうか!」

 私の言葉尻を捉えたというわけでは無いんだろうけど、代表者の男性は思ってもみない返事を返してきた。

 んん? 「レティアでなければ」?

 私の首が傾ぐ。


「・・・それって、どういう意味かな?」

「私たちは住居の建設計画が進めばピーシス領へ移ることになっております! あちらの町であれば巨人像を置けませんか!」

 折衷案というわけでも無さそうだけど、具体的かつ落としどころとして妥当な提案に、目から鱗が落ちるような思いがした。

 なるほど? 


「・・・新領地かぁ。それは考えてなかったな」

 まあ待て。論点を整理してみよう。

 緊急措置とその場の勢いで作った“獰猛くん”について思い入れはないし、元・ネグレクト子の私としては前世の母親みたいで自分に対して微妙な心境にはなるけど、正直、どうでも良い。


 “獰猛くん”はただの土の塊で、生物でもないしね。

 むしろ、大人の事情的に闇から闇へ抹殺すべきとさえ考えている。

 お母様的には邪魔だから捨ててきなさいと。

 これはスペース的な問題だよね。


 レティアの防衛面としては、城壁の至近に“高所”が有っては不具合となりかねない。

 安全面としても街道際にいつ崩落してもおかしくないモニュメントが有っては危険極まりないし。

 ところが、領民的には“勝利の象徴”に勇気を貰って安寧を得られるから残して欲しいと。

 そして、レティアがダメなら新領地に置かせてくれないかと。

 新領地は旧領都の街道際も未開発の原野だらけで場所は有り余ってるしなあ。



初めての出征⑯です。


リクルートフラグ!?

次回、メリット!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こんばんは。 ん~…移動後に敵側(?)領地方向に正面を向ける→クソデカ物見櫓みたく改良するとか?
いざとなれば高さ50メートル級ゴーレムが戦ってくれるなんて 余りにも強力な武力を置いてたらそりゃ民衆には安心感出るよね 国家の平和ってのは強力な軍事力があるから成り立ってるんだし
壊すにしても体積が体積なので移動で済むならそっちのが良さそうではあるのよねぇ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ