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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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初めての出征 ⑨

 それは分かってる。

 それぞれの家に課せられた責務と事情が有ると理解はしていても、家族の結婚式をアリアナさんだけが見られないことに、私はどうしても引っ掛かりを覚えてしまう。

 アリアナさんも覚悟の上で大役を引き受けたのは疑う余地がないけど、改めて、アリアナさんに押し付けることになった責任を感じてしまう。


 いや。こんなことを考えるだけでも、アリアナさんの覚悟と決意を侮辱することになりかねないのも分かってるよ。

 こんなのは、ただの感傷だからね。

 もしも口に出したらアリアナさんとアンリカさんの2人ともから叱られるのだろう。

 つまり、私のお気持ちでどうなるものでもない。

 こっちの世界で信念を貫くことの難しさを、今さらながら感じてしまう。


「クローゼリス領での儀式には、私もルーベンス家として出席することになります」

「数日内にバルトロイもレティアに来るそうだから、アンリカの予定が決まるのはそのときだな」

 私と同じことを考えたのか、エゼリアさんが早くも儀式への出席を表明して、お母様が纏める。

 いや。お母様たちは“姉妹”として精一杯のことをしようとしてるのかな。


 ルーベンス家として、か。

 エゼリアさんたちが居なくなるなんて実感が無かったけど、いよいよなんだなあ、なんて感じてしまう。

 だって、降って湧いたような結婚話が怒濤の勢いで決まって、まだ1ヶ月経つか経たないかだよ。

 普通に考えればもの凄くハイペースに進捗しているんだろう。


 日本でも結婚式場の予約を1年近く前に入れた話をちょくちょく聞いたんだから、日本基準で言ってもかなり早いんじゃないかな。

 それだけドネルクさんやバルトロイさんの立場は重要で、王国内の状況は今も予断を許さないものなのだと示されている。


 私も何か協力できることはないのかな・・・。

 お母様だけでなくエゼリアさんたちにも本当にたくさんお世話になったもの。

 一足跳びに何かが出来るようになるなんて甘い考えを持って居るわけじゃないけど、何をすべきなのか、目指すべき先が定まっているだけでも道筋が変わる。


 例えば、何かの資格試験だってそうだろう。

 合格するために何を勉強すべきかが分かっていないと効率的に学べない。

 答えが見つからない問題にもどかしさを感じている間にも、話題は次へと移っていく。

 ティーカップをサイドテーブルに置いたドネルクさんがお爺様たちに目を向ける。


「ところで、ナーガ川上流への遠征に出ると聞いたんだが」

「うむ。上流の渡河地点に防塁を築く計画でな」

 マルキオお爺様の返事にドネルクさんが興味深そうに首を傾げる。


「どの程度、遡上する予定なんだ?」

「30キロメテル程度だな。数十年前にも計画は有ったのだが、かつてよりも成功の確率が高いと判断した」

 ハインズお爺様の返事にドネルクさんの目に理解の色が浮かぶ。


「昔、聞かせてくれた話だな。ガルダの襲撃でかなりの損害を被ったというあの件だろう? 成功の確率が高いというのは?」

「ガルダへの対処方法に目処が立った」

「ガルダは空を飛ぶからな」

 そう言いながらドネルクさんは私へと目を向けてくる。

 さっき飛んでるところを見せちゃったんだから、そりゃあ気付くよね。


「その遡上計画に、俺も参加して構わんだろうか?」

「お前は大役が控えている身だろう」

 ドネルクさんの申し出にハインズお爺様が眉を顰める。


「そうなんだがな。現役を離れた以上、前線に出られる機会は激減するだろう。頻繁ではなくとも北部ではワイバーンの襲撃を受けることが有る」

「ふむ・・・。ガルダの対処方法が北部でも活かせられるか」

「空を飛ぶ魔獣は対処が難しいからな」

 ドネルクさんが提示した理由にお爺様たちが理解を示す。


「それに、エゼリア嬢も計画に参加するのだろう? 俺が帰りを待つのでは立場が逆だ」

「僕も行きます!」

 イイことを言ってトドメを刺しに行った男前なドネルクさんに、今まで大人しくしていたアスクレーくんがサッと手を挙げて乗っかりに行く。


 計画参加を確実なものにしようとしたんだろうけど唐突だな。

 普段はマイペースな引き籠もりでも、守備範囲となれば意外な積極性を発揮するのはオタクの習性だからね。

 自ら社会復帰の意志を示すアスクレーくんに、お爺様たちやお婆様たちが表情を曇らせる。


「本当に行くつもりなのか?」

「絶対に行きます! フィオレの帰りを僕が待つのでは立場が逆でしょう!」

 アスクレーくんよ。

 大人たちの心配を撥ね除けに行くのは良いけど、ドネルクさんや私を出汁に使うのは、どうなんだろう?

 ドネルクさんも苦笑してるじゃん。


「アスクレー。ちょっと来てみろ」

「? はい」

 お母様に手招きされたアスクレーくんが席を立ってお母様へと歩み寄った。

 アスクレーくんの胸の前に手のひらを翳したお母様が意外そうな顔をする。


「ほう? 1日で随分と体内保有魔力量が増えたな」

「頑張りました!」

 ルナリアや私の前例で慣れているお母様が驚くほどってことは、相当増えてるんだな。

 エターナさんも「頑張っていた」と褒めていたぐらいだから、本当に頑張ったんだろう。

 これがオタクの執念か。



初めての出征⑨です。


私欲に忠実なのもオタクの習性!?

次回、道なき道!?

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― 新着の感想 ―
異世界+オタク=最強説 そういや最近はオタクなんだな昔はヲタクだったんだが
オタクやばwww
魔力は増えた ならあとは脳を筋肉におきかえていくだけだな
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