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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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初めての出征 ⑥

「・・・城壁内にスライムが出たんだよ。70メテルぐらいあるデッカいヤツが」

「70メテル!? バケモノじゃないですか! そんなものとフィオレ様ご自身が戦われたのですか!?」

 つい大袈裟に最大値で言っちゃった自覚は有るけど、バケモノって言うほどバケモノかな?


 摺り下ろしたヤマノイモみたいにビローンと伸びていただけだろうし。

 いや。粘度的にはナガイモの方が近かった?

 どっちでも良いか。


 あの巨大スライムが一般的なファンタジー的お餅型フォルムに纏まって居れば、どのぐらいのサイズだろう?

 三つ折りか四つ折りに畳めば直径20メートルも無いぐらいじゃない?

 “獰猛くん”に目を向けたことで視界に入ったルナリアも、ピーシーズに囲まれて“獰猛くん”を指しつつ何やらみんなで盛り上がっている。


「・・・私が戦ったわけじゃないよ。戦ったのは、アレ」

「はぁ。アレが戦ったのですか」

 お? 信じてない? 

 現実感が無いのかな? まあ良いけど。


「・・・そんなわけで、予定よりも少しだけ遅れたのが悔しいから、私はもう少しだけ作業を続けて帰るよ」

 今日頑張っておけば、その分、明日のノルマが減って気が楽になるからね。

 作業を終えた数を数えてたわけじゃないけど、昨日の遅れは取り戻せているはず。

 私の宣言にエターナさんが心配そうに眉を顰める。


「あれほど大きなものを創り出されたばかりなら、早めに休まれた方がよろしいのでは?」

「そうですよ」

「・・・ピッ!? み、ミセラさん!?」

 不意に耳元で囁かれた声に飛び上がって驚いた。また油断した!

 バッと振り返れば、私のすぐ後ろでミセラさんが余所行きの澄まし顔をしていた。


「数日後に出征を控えられているのですから、今日は早めに作業を終えられる方が良いでしょう」

「・・・ええ~。でも、もうちょっとだけ続けるぐらいなら大丈夫じゃないかな」

 明明後日の作戦決行を確実なものとするには、最低でもノルマを達成しておく必要が有るんだから。

 私の反論にミセラさんは私ではなく技師さんへと顔を向けた。


「貴女、進捗はどうなっていますか?」

「この2日間の作業完了済みは合計で200ヶ所以上ですから、すでに予定数の3分の2は超えていますね」

 管理担当者である技師さんの進捗報告に頷いたミセラさんが私へ向き直る。


「ほら。遅れて居ませんよ。それと、奥方様から早めに帰るようにとご指示が出ています」

「・・・お母様が?」

 まさか、早くお説教したいから早く帰って来いと?


 そう言えば、お客様であるドネルクさんもその場の勢いで便利遣いしちゃったしなあ。

 ルナリアはダメ出しまでしてたし。

 下手をするとお婆様たちまで加わっての大お説教大会が開催される恐れも有る。

 私が背筋を震わせているとミセラさんがトドメを刺しに来た。


「あの大穴の件を交渉されるお約束をされたのでは?」

「・・・ハッ! そうだった!」

 そうだったけど、その話をしているときに居なかったはずのミセラさんが、なんで約束の件を知ってるの!? 


「そういうわけですから帰りましょうね?」

「・・・は、はい」

 お母様の名前だけでなく約束の件まで持ち出されては、私が抵抗を続けることは難しい。

 私に勝利したミセラさんは()かさずルナリアを取り込みに掛かる。


「ルナリア様?」

「今日はもう終わりで良いの? じゃあ、撤収!」

「「「「「はっ!」」」」」

 護衛任務で警戒し続けていたピーシーズからも即座に返事が返った。


 どうやら作業を続ける気マンマンだったのは私一人だったらしい。

 何となく敗北感を感じつつ領主館へ帰還した途端、ルナリアと私は浴室へ強制連行されて丸洗いを受ける。

 まだ早い時間帯なのにドレスに着替えさせられていると、執務室でも食堂でもなくティールームへ出頭するようにとメイドさんが伝言を携えてきた。

 それって、ドネルクさんが来てるからかな。


 時間の掛かるルナリアの髪が乾いて早々、2人で連れ立ってティールームへ入室する。

 予想通りドレス姿のエゼリアさんを隣に座らせたドネルクさんがお茶を飲んでいて、まだ早い時間だというのにアンリカさんまで含めた家族全員が顔を揃えていた。

 そこで忘れないうちにと相談事として大穴案件を提起すれば、お母様が綺麗な柳眉を顰めた。


「あの穴を残すだと?」

「・・・かなり水量が多くて穴から溢れ出そうだから、農業用の水路を作って灌漑に使いたいそうです。魚の養殖も出来るんじゃないかと」

 うーん・・・。ドネルクさんの手前、お仕事モードで話したけど、ちょっと厳しそう?

 予想以上にネガティブな反応が返って、どうしたものかと説得材料を頭の中で捻り出そうとしたところへ、ドネルクさんが口を開いた。


「魚の養殖というと、フィオレ湖のようにか」

「何だ? そのフィオレ湖とは」

 またそれか!


 ほら、お爺様たちやお婆様たちも眉を顰めてるじゃん!

 ていうか、あっちは地下水脈から魚が吐き出されてくるんだから養殖じゃないよね!?

 あれ? もしかすると、泥を吐かせるのにしばらく水槽で泳がせるから養殖ってことになってるんだろうか?



初めての出征⑥です。


フィオレ湖、浸透済み!?

次回、商売人!?

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― 新着の感想 ―
穴ぼこって城壁内にありますよね? 地下水で繋がってるなら侵入経路にならないでしょうか
そこで獲れた魚はフィオレフィッシュかな?(笑)
手形湖...だったっけか
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