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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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初めての出征 ②

「“融和派”も大人しくしているみたいよね」

「・・・今、動くと損の方が大きいだろうからね」

「そうよね」

 有事体制下なら戦力の一極集中は避けるべきだろうけど、今の王国内は各地の貴族に未来への期待感が有って安定しているらしいしね。

 内戦で大損をした領地以外は、だけど。


「・・・気になるのは内戦で利権を失った何とかいう公爵家の動きぐらいかな」

「ロンドベール? 今は侯爵家よね」

 そうそう。それだよ。


 冒険者ギルドの魔獣素材利権を取り上げられて最も大損をしたのは、そのロンドベール公爵家だったはず。

 その利権を奪った形になっているのがドネルクさんだからね。

 神教会との直接的な接点も持っているから、“融和派”よりも危険な存在だと私は考えている。


 そんなのが“中立派”のボスだったんだよ?

 どこが「中立」なんだっての。

 しかも、ロンドベール家の領地は王都のすぐ隣だったはず。


 カレリーヌ様が不安を覚えるのも当然だし、何らかの暴発を起こす可能性は国内貴族の中で一番高いだろう。

 だからこそカレリーヌ様は、最も信頼の置ける直孫のドネルクさんに冒険者ギルドの掌握を任せたんじゃないかな。

 そんな危険な場所へエゼリアさんは嫁入りする。

 そりゃあ、セリーナお婆様だって専属の工作員やロス家の全面サポートを付けるよ。


「・・・とは言っても、ここで反発しても新しい体制から弾き出されるだけだから、そう簡単に動けないと思うんだけどね」

 “融和派”という隠れ蓑が無くなった今、動けば次の標的になる。

 ウォーレス家は本当に動くのだと証明されたのだから、よほどの馬鹿でも無い限りおかしな動きを見せれば潰されかねないと気付くはずだ。


 1週間や2週間、戦力が偏ったところで、内戦へ逆戻りする危険性は低いだろう。

 国内が平和で治安が安定しているなんて素晴らしいことだ。

 いつ後ろから襲われてもおかしくない状況では新たな試みは始めにくいからね。

 安心したようにルナリアが表情を緩める。


「平和なのは良いことよね」

「・・・うん。でも、“平和は次の戦争の準備期間”だからね?」

 甘いぞルナリアくん。


 地球人類の先進文明は数え切れないほどの血と肉と骨を礎に築かれたものだ。

 何千年間も同胞で殺し合いを続けた地球人類の格言に則るなら、安定している今こそ国力を高めて、いつの日か来るだろう決戦に備えなきゃ。

 ルナリアが嫌そうに眉根を寄せて私を見た。


「ええ・・・?」

「・・・そういう言葉が有るんだよ」

 口に出したのは初めてだったっけ? 


 どこの「言葉」なのか、ルナリアはすぐに気付いたようで、ディディエさんたちやピーシーズが居る場所では詳しく訊いてこない。

 ルナリアは地球から拉致されて来た勇者さんたちに同情的で、地球あっちの世界の歴史を知らないけど、拉致られてきた勇者さんたちもあっちの世界に居ることが幸せだったのかと言えば、私にもその答えは分からない。


 だって、私はこっちの世界に来て“人並みの幸せ”というものを初めて知ったからね。

 あっちの方が文明進度が進んでいるからと言って、そこに暮らす人間が幸せかと言えば、そんなことは決して言い切れない。


「そっかぁ・・・」

 残念そうにルナリアが空を見上げた。

 私も釣られて空を見上げる。

 夢を壊すようで可哀想だけど、平和なんて儚いものなんだよ。

 何たって、「儚い」という文字は「人の夢」と書くぐらいだからね。


 普段、あんまり難しいアレコレをルナリアと2人で話すことは無いんだけど、本質が真面目なルナリアは私が大人たちと話していることをちゃんと聞いていたようで、自分で考えて先行きの予測を立てられるようになっている。

 私が一緒に居られるときは良いけど、今後、色々な勢力がルナリアの取り込みを図るだろう。


 国内屈指のバックボーンと人脈と肩書きを持つルナリアは、そのぐらい美味しそうな魚に見えるはず。

 許嫁もいないフリー素材だしね。

 万が一にも私と分断された状況で、ルナリアが決断を迫られる場面が有り得るかも知れない。

 絶対に阻止するつもりだけど、そんなときにもルナリアが上手く切り抜けられるだけの知恵を付けておかないとね。

 

「フィオレ様。ご注意を」

「・・・えっ?」

 唐突にネイアさんから注意喚起の声を掛けられて視線を地上に降ろすと、穴ぼこだらけになった畑の方から農家さんたちがゾロゾロと歩いてくる。


「フィオレ様」

「・・・また何か有った?」

 連日のトラブルだから、ちょっと身構えてしまう。


「いいえ。そういうわけでは無いんですが、あの穴の件でご相談が」

「・・・良いよ。話してみて」

 そういえば、穴ぼこの周りから人の姿が絶えない様子は、モコモコ作業中にも目に入っていた。

 問題じゃないのに、穴ぼこの話?

 分からないなら聞いてみるしかないよね。


「フレイア様は埋め戻すと仰っていたんですが、フィオレ湖のように残していただけないものかと」

「・・・ちょっと待って! フィオレ湖って何!?」

 何の話か分からないけど、嫌な予感がする!

 ていうか、私の名前が出ることに嫌な予感しかしない!



初めての出征②です。


厄介事!?

次回、漁業権!?

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― 新着の感想 ―
あー、農業用水にもなるし養殖池にもできるしで悪くないのか?あたり一面が農地なら井戸を掘る手間もなくなったという感じか
いや、エビの養殖されても…
じゃ次はルナリア湖?
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