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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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未来 ㉙

 体幹のバランスと足運びだけに意識を集中して、ズシン! ズシン! と歩いて行く。

 畑の表面にポコポコと空いた大きな手形は、私が魔力の手で巨大スライムをブッ叩いた痕跡だ。

 こうして見ると7つも手形が空いている。

 深さは5メートル以上有りそうだな。


 地下水が豊かなレティアの町だけ有って、地層から漏れ出した地下水は早くも穴の底を覆ってしまっている。

 ポドック領で見た湧水が貯まる速度よりも数倍早いよね。

 「レティアの町はどこに井戸を掘っても水が出る」とは聞いていたけど、本当に地下水が豊富なんだな。

 ナーガ川という水源が近いとはいえ、ここまで水量が多いとは思ってなかったよ。


 そのわりに“獰猛くん”という超重量が乗っかっても、踏み抜いて底が抜けるようなことも無さそうなんだよね。

 ズシン! ズシン! と、足を動かしていると、追い掛けてくる野次馬の数もだんだん減ってきた。

 一歩の歩幅が20メートルとして、一歩を踏み出す間隔は3秒間ほどかな。


 単純に考えて秒速7メートル弱だから、時速で言えば24キロメートルぐらいだよね。

 人間が走る速さとすれば結構な速度だもの、いつまでも付いては来られないだろう。

 短距離走のオリンピック金メダル選手が秒速10メートルぐらいだから、一般人が全力疾走するぐらいの速度だろうか。


 当然のことながら、2キロメートルも全力疾走で走れる人なんて、そうそう居ないはずだ。

 ヨシヨシ。足元に人が居なければ踏み潰す心配も無くなるのだから、私の心にも余裕が生まれてくる。

 足運びの制御に集中できて心に余裕が生まれれば安定性も増してくるもので、不安を感じる挙動が減ってくればルナリアの心にも余裕が生まれて駄弁るだけの余裕も生まれる。


「最初に較べて転けそうな不安が無くなってきたわね」

「・・・うん。慣れてきたのもあるけど、尻尾が効いてる感じかな」

 お母様もよく「慣れろ」と言うけど、慣れって本当に大事なんだなあ。


 私が今こうやって巨大な岩石の塊を動かせているのも、普段から魔力の手を使っていて慣れてるからだものね。

 改めて反復練習の重要さを実感する。私は「慣れ」というものに感心してるけど、ルナリアは別のものに感心したようだ。


「へぇ~。なんで付いているのか不思議だったけど、動物の尻尾にも意味が有ったのね」

「そうだねえ」

 全部が全部、バランスを保つために尻尾を使っている動物ばかりじゃないと思うけどね。

 時速24キロメートルで歩けば2キロメートルの距離なんて5分間ぐらいだよ。

 そうして、最初にして最後の関門がぐんぐん近付いてくる。


「城壁ね」

「・・・城壁だねえ」

 何の意図もない感想として口にしたのだろうけど、難関に挑まなければならない私としては、大事な試験前に「試験だぞ。試験」とプレッシャーを与えられているだけに過ぎないんだよね。

 緊張でお腹が痛くなるほど私は繊細なタイプじゃないけど、受験生にプレッシャーを与える行為はNGなんじゃないかな。


「城壁をどうやって越えるの?」

「・・・跨ぐしかないか」

 ”獰猛くん”を壊してしまうのでなければ、跨ぐのが最も現実的な手段だろう。

 一旦、壊してしまって、ホースで放水するように城壁を越えさせるのも一つの方法論だとは思うんだけどね。


 城壁を越えた後にまだ移動させなきゃいけないから、再び人型に整形する手間を考えれば人型を維持したまま城壁を跨ぐ方が楽なんじゃないだろうか。

 私の答えに想像力を働かせたらしいルナリアが現実的な疑問をぶつけてくる。


「足、短いけど跨げるの?」

「・・・足を伸ばせば何とか?」

 “獰猛くん”のフォルムは寸胴短足だからね。

 ルナリアの懸念はご尤もだけど、手足を伸ばす程度は私の想像力次第で何とかなるはずだ。


 なんてことを考えている間に城壁の前に到着した。

 足を止めて尻尾を支えに前傾姿勢を直立に戻す。

 直立のバランス維持だけに意識を割きつつ状況確認のために後ろを振り返る。

 “獰猛くん”の頭と私たちを引っ付けていた魔力の手の接続を解いて、後頭部側の地上を覗きに行く。


「・・・うわ。尻尾の跡が付いてる」

 巨大な石像が歩いた痕跡が、点々と続く足跡と何かを引き摺った跡として大地に刻まれてしまっている。

 あの引き摺った跡が尻尾によるものなのだろう。

 目抜き通り方面から一本の線となって、“獰猛くん”の足元まで続いているのだから間違いないはずだ。


「本当ね。これ、畑に戻せるのかしら」

「・・・ううっ。わ、私も協力するし」

 責任の一端を感じている私としては復興協力を惜しまないし、何とかなるはず。

 そうは答えたものの、足跡以外のダメージも想定以上に大きそうで、内心では正直ビビっている。


 その「想定外のダメージ」の原因を、地上を覗き込んで確認する。

 コレはアレだ。私がイメージした通り、特撮放射能大怪獣的な尻尾になってしまっている。

 長さは100メートルぐらい有りそう?

 奇っ怪な形状の背びれまで点々と並んで付いているから大怪獣系で間違いない。



未来㉙です。


事後確認!?

次回、ハードル!?

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― 新着の感想 ―
異世界の人々はこれを見て、ある種の“覚醒”を体験してしまうようだ。
○ジラの尻尾生やしたドー○くん... wwwwwwww
紅蓮とか使ってて今さらですが、これ移動式の攻城用の櫓として使えますね。 いや降伏勧告用の脅しとして有用?
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