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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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未来 ⑪

「おはよう! お爺様!」

「うむ。おはよう」

 先頭を切って食堂に飛び込んだ朝からフルスロットルのルナリアに、カトラリーをお皿に置いたハインズお爺様が目を細めて頷き返し、ルナリアの元気は一足先に朝食を摂り始めている家族全員にも向けられる。

 昨夜のドレス姿と違って今朝は乗馬服姿のエゼリアさんたちも含めた家族全員だよ。


「みんなも、おはよう!」

「・・・おはようございます」

「おはようございますにゃ」

 私たちの挨拶に家族全員が挨拶を返してくれる。


 和やかで穏やかで賑やかで平和な時間。

 こんな雰囲気が意外と嫌いじゃなかった自分自身に私が気付いたのは、レティアに来てからのことだ。

 元気一杯のルナリアに対して、私はといえば昨日の寝不足の反動か、夢一つ見ず泥のように眠りこけて今朝は寝過ぎ感で気怠さが有る。


 こっちの世界に来てからというもの、環境的な理由で早寝早起きの健康的な生活を強制されていたけど、元々は夜型で、パソコンの前で夜遅くまでゴソゴソするタイプだったから、私って生活リズムが崩れやすくて睡眠不足に陥りやすいんだよね。


 そうして元の健康的なリズムに戻そうとすると、こうやって寝過ぎ感で逆に寝足りないように錯覚するんだよ。

 私は、「明日は頑張らなきゃ!」と早寝すると却って調子が狂う、難儀なタイプだった。

 事実、寝足りない感から頭が起動しないだけで、体に不調が有るわけじゃないしね。


「お前たちは今日も住居建設作業だったな」

「・・・はい」

 どこかポケーッとしている頭でマルキオお爺様の確認に答える。

 挨拶を終えて席に着くと、カートを押してきたサーシャさんたちが私たちの前にも朝食が載ったお皿を配膳(サーブ)してくれる。


 今朝のメニューも厚切りベーコンとスクランブルエッグとヒヨコ豆の煮物だね。

 具だくさんのスープが添えられていて、温かいスープが寝ぼけた頭を覚ましてくれる。

 襟元にナプキンの端を突っ込んだルナリアが、パン籠の丸パンに手を伸ばしながら上座へ顔を向けた。


「お爺様たちは?」

「儂らはアレだ。書類が積み上がっておってなぁ」

 情けなく眉尻を下げるお爺様たちに、お婆様たちが笑い声を漏らす。


 ははぁ。今日はお爺様たちも領主執務室に缶詰めかな?

 今朝のお爺様たちは甲冑姿じゃなく貴族服姿だものね。

 かつては大陸中にその名を轟かせたフィジカル無双のハインズお爺様も書類には弱い。


「仕方あるまい。領民が10万も増えるんだ」

「やれやれだな」

 相変わらずの乗馬服姿でお母様が肩を竦めて、マルキオお爺様も首を振る。

 こちらも書類が天敵のお父様が、お爺様たちに目を向ける。


「ひと山超えたと見て良いか?」

「そうだな。まだまだ続くが、急場は凌げたと見て良かろう」

「簡易の住居建設が進んでくれたお陰で、受け入れは何とか回ってくれるだろう」

 お父様に問われたお爺様たちが見解を返し、逆に問い返す。


「食料はどうだ?」

「今のところ十分に行き渡っているが、フィオレの言う通り、持続性を考えれば農地の拡大は必須になりそうだな」

 お父様の見解に、お爺様たちの目が私に向く。


「すでに進めているのだったか」

「・・・堆肥の増産には着手しました」

 昨日、農家さんたちを捕まえておいて良かった。

 ホッとする内心を表に出さないように背筋を伸ばして答えると、表情を渋くしたお父様が首を振った。


「ただ、スライム避けの魔石が思ったように集まっていない」

「・・・えっ? そうなの?」

 買い集めると言っていたクズ魔石の件だよね?

 驚きに私の頭がシャッキリと覚醒する。


「冒険者の逃散が原因のようだ」

「・・・逃散ですか」

 冒険者が減っているせいで採りに行く人が少ないってことかな?

 「冒険者は役に立たない」って前にも言ってたっけ?


「徴用されるのを怖れて逃亡したのだろう。冒険者とは、そういうものだ」

「今回の内戦は規模が大きかったからな。国内を二分しかねんとなれば、王国民でも無いのに命は賭けられんだろうさ」

 鼻息で断ずるハインズお爺様に、お母様が肩を竦める。


「・・・ああ。なるほど」

 魔獣を狩る戦闘力が有るなら、と猟師さんたちと同じように非常呼集の戦闘要員として数えたくなる徴用する側の考えも分からなくもない。

 でも、徴用される冒険者側からすれば戦争に参加する動機がない。


 全く縁の無い赤の他人がケンカしている場面に取り掛かったからと言って、自分の命を危険に晒してまでケンカを止めに入る奇特な人がどれだけ居る?

 そんなの私だって関わりたくないよ。


 冒険者だって同じ気持ちに決まってる。

 冒険者は傭兵と違って戦争を生業にしている人たちではないと言ってたものね。

 まさか、内戦がこんなところにも影響するとは。


「そんな事情で冒険者ギルドにも魔石が集まっていないらしい」

 お父様の状況説明に頷いて納得を示す。だからと言って、農地の開墾を諦める理由にはならない。

 予定していた手段が使えないなら別の手段を考えるのが私たちの仕事だ。



未来⑪です。


スライム畑危機!?

次回、南岸!?

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― 新着の感想 ―
前々から思っているけど、いくら潜在価値的に安かろうともわざわざ追加の時間と労力を掛けてまで代替物である闇の魔石を収集するくらいなら高価であっても安定した生産手段のある風の魔石を使ってしまった方がコスト…
魔石は、まー骨みたいなものだからコピーできるかどうか微妙なところ(生物ではないが生物由来品) でもクズ魔石ならできそうな気もする クズ以下の砂魔石みたいな感じで(イメージは研磨用ガーネット(金剛砂))
冒険者不足→軍の新人育成推進→訓練としての森の開拓→農地用魔石定的確保 ?
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