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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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未来 ⑨

 私にとって家族の安全は何事よりも優先すべきものだ。

 みんなが無事に帰ってきてくれることは、私にとって最も喜ばしいことだ。

 眠気が完全に素っ飛んだ私が脳内で盛り上がっていると、お茶を取り替えて回っているミセラさんにセリーナお婆様が目を向けた。


「ミセラ? 例の件は決まったのかしら」

「選出を終え、ワールター様とヘイナー様の承認は得ております」

 セリーナお婆様の問いにミセラさんが即答で返した。

 んん? 選出?

 

「どの程度、仕上がっているのかしら」

「実務と作法は及第点ですね。現在は先方の情報を学ばせています」

 スラスラとミセラさんが答え、セリーナお婆様の向かい側で聞いていたシェリアお婆様が首を振る。


「完璧を目指すのは良いことですけれど、先方に着いてからでも出来るでしょうに」

「まあ・・・、そうですね?」

 ミセラさんらしい言葉の濁し方だけど、実務に作法で、情報?

 選出ってことは、ロス家の間諜の話かな。


「エゼリアとアンリカにも必要な情報でしょう。一緒に学ばせなさい」

「呼びますか?」

 シェリアお婆様の追撃にミセラさんがセリーナお婆様に確認を取る。

 薄らと笑みを浮かべたセリーナお婆様が老練さを感じさせる目をミセラさんに向ける。


「主従というものは、注意して観察すれば関係の深さが読み取れるものよ」

「なるほど。承知いたしました。では、早速、任務に就かせます」

 一礼を残したミセラさんが音も立てずに食堂から退出し、ほんの数分で戻って来た。

 扉を開けて脇に退いたミセラさんに続いて、初めて見るメイド服の女性が2人、食堂へ入室したきた。


「「失礼いたします」」

 揃って綺麗な一礼をしたメイドさんたちは二十歳にもなっていない年齢に見える。

 どこかに幼さが残る顔立ちは整っているけど、強い印象を残す特徴がないというか、心象が薄いというか、不思議な感じのする女性たちだった。

 数秒間ほどメイドさんたちを眺め回したセリーナお婆様が、1つ頷いて義娘たちに目を向ける。


「エゼリア。アンリカ」

「「はい」」

 姪っ子たちと戯れている場合ではなくなったエゼリアさんたちが、ご指名に従ってセリーナお婆様の下へ出頭する。

 足音も無くスススと移動する2人は頭の位置も揺れず、滑るように歩く。


「・・・ほほぅ」

 見送ったエゼリアさんたちの背中を眺めている私の口から感嘆の声が漏れる。

 2人とも鍛え上げられたメリハリの有るプロポーションで、長い騎士生活で姿勢も良いものだからドレスを着ていても立ち姿が映えるんだね。

 セリーナお婆様がメイドさんたちを手招いてエゼリアさんたちに引き合わせる。


「貴女たちに侍女を付けます。先方に連れて行きなさい」

「この子たちはロス家の?」

 メイドさんたちの顔をまじまじと見たエゼリアさんが、セリーナお婆様へと視線を戻す。


「侍女で有ると同時に連絡員でも有るわ。市井にもロス家の配下を潜り込ませてあるから上手く使いなさい」

「ありがとうございます。奥が―――、お、お義母様」

 いつもの調子で「奥方様」と言い掛けたのだろうエゼリアさんが、キッと目を向けたセリーナお婆様の目力で何とか修正した。


「よろしい」

 鷹揚に頷いて見せたセリーナお婆様が、目元を緩めた。

 へぇ。あのメイドさんたち、正真正銘の間諜なのか。

 結婚が決まって1ヶ月しか経っていないのに、もうすでにバックアップの間諜も嫁入り先に送り込んで有るって、とんでもなく動きが早いよね。


 破談したらどうするんだろう? なんてことは考えちゃいけないんだろう。

 ポロッと口から出たら拙そうだから忘れよう。

 私は何も考えなかった。いいね?


 ドネルクさんのルーベンス家は分家したばかりで、実質、セリーナお婆様の実家であるリヒテルダート家だし、バルトロイ様のクローゼリス家も遠縁だけど親戚だよね?

 時代の違いは有っても、ウォーレス家と同じで王家の傍系だ。

 なのに、間諜の侍女を付けるだけでなく市井にも間諜を送り込むものなのか。

 

「2人とも、ご挨拶を」

「エゼリア様にお仕えさせていただきます、アルナ・ヴェルデと申します」

「アンリカ様にお仕えさせていただきます、ウェンディ・ティレンと申します」

 ミセラさんに促されてメイドさんたちが自己紹介をする。


 2人とも金髪基調のリテルダニア王国の色だね。

 ウォーレス血統の末席に連なる人たちなのだと、色調だけでよく分かる。

 王国の色を持つのはエゼリアさんたちの嫁入り先も同じで、そこに同じ色調の間諜が紛れ込めば見分けなんて付かないよね。

 逆もまた然り、か。


 そう言えば、王都へ行ったとき、王様たちもウォーレス領内の最新情報を把握してたっけ。

 つまり、ウォーレス領にも多くの間諜が根付いて見分けが付かなくなってるわけだ。

 壁に耳あり障子に目あり、じゃないけど、これが貴族家同士の在り方か・・・。

 メイドさんと正対したエゼリアさんが小さく首を傾げる。


「ヴェルデ家というと、フィンさんのお嬢さんかしら」

「はい。フィンの次女にございます」

 エゼリアさんの質問にメイドさんがニコリと笑う。

 フィンさんちのアルナさん、ね。

 エゼリアさんはアルナさんのお父さんと面識が有るみたいだね。


「確かマリーナさんだったかしら。お姉さんは元気?」

「姉は王都邸に勤務しております」

「そうなのね。なるほどなるほど」

 王都邸と聞いてエゼリアさんが意味深に頷く。



未来⑨です。


諜報合戦!?

次回、乙女心!?

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