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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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未来 ⑧

「いつから始める?」

「・・・ナーガ川上流への遠征後に王都への交代部隊に就く予定が有りますから、明日からでも早速」

 私の返事にお父様が首を傾げる。


「交代部隊と関係が有るのか?」

「・・・魔力の手を王都でテレサと王妃様に教えて貰うので、ピーシーズにお復習さらいして貰おうかと」

 何度か瞬きしたお父様が思案顔で僅かに眉根を寄せた。


「両殿下にも教えるのか」

「・・・拙いですか?」

「そういうわけでは無いが、外にまで出して良いのか?」

 ああ。お父様は私の心配をしてくれたのか。

 この話、前にもしなかったっけ? と思ったけど、私なら心配しなくても大丈夫だ。


「・・・誰彼構わず教えているわけでは有りませんし、大切な人たちを失ってから後悔したく有りませんから。それに、身を守る切り札として教えるわけですから、テレサたちも誰彼構わず教えたりしないでしょう」

「そうか・・・。そうだな」

 お父様と私も大切な人たちを共有しているからね。


 納得してくれたようで、お父様は優しい目で笑みを浮かべた。

 魔石の使用方法だって私は誰彼構わず教えているわけじゃないよ。

 ただ、予定していない他所へ漏れることも有るだろうし、私が気付いたことなら、そのうち誰かが気付くものだろう。

 技術とはそういうものだと私は考えている。


 漏洩しなかったとしても、技術の発展を目指して切磋琢磨していれば突き詰められた技術は似通ってくるものだし。

 敵陣営同士に分かれていたとしても、誰かがブレイクスルーを起こして敵が使った技術を目にすれば、そこから別の誰かが新たな気付きを得るのだろうね。


 電話だって飛行機だって、同時多発的に複数の発明家が同じものを発明したケースが有った。

 人間の限界一杯まで突き詰められた思考は、ほんの小さな気付きを得ることで誰もがブレイクスルーを起こす可能性が有るのだと。

 断片的にでも地球人類の技術発展の歴史を学んで知った私は、度々そう感じた。


 地球人類の歴史は、いたちごっこの歴史だったしね。

 互いに破壊と殺戮の脅威に晒され合っていたから、命懸けで敵情を探り、新たな技術を学び、(しのぎ)を削り合った。

 “ギリシア火”のように、徹底的に秘匿されたまま歴史の波間に消えていく例も有るには有ったけど、そんなものは極めて希だったんだよ。


 だから、技術の秘匿に恋々とするよりも、漏れるものだと割り切って次の技術を生み出す方向へ注力した方がマシだと振り切っていたのが、現代地球の最先端技術だったんじゃないかな。

 生き馬の目を抜くような技術開発競争は殺伐としたものにしか見えなかったけど、結果として人類全体が広く恩恵を受けるものでも有ったし。


 インターネットや電子レンジなんで、軍事技術から広く民生利用された技術発展の最たる例だよ。

 そんなインターネットのお陰で生き延びたのが前世の私だったしね。

 私の技術を元に誰かが気付きを得るのなら、私もその誰かの技術から新たな気付きを得れば良いだけだ。

 横っ面に視線を感じて目を向ければ、エゼリアさんがそわそわしている。


「私たちにも教えてくださるとエレーナとノイエラから聞いたのですが」

「・・・もちろん。エゼリアさんたちも武器を持てない場面が増えるよね? 覚えていって貰わないと」

 常に帯剣していたエゼリアさんたちにとって、丸腰で臨む社交の場(せんじょう)は、どれほど心細いものだろう。

 エゼリアさんたちのことだから、暗器ぐらいは仕込むのかも知れないけど、それはそれだ。


 社交の場に出なきゃならなくなることを指していると、エゼリアさんは気付いてくれたのだろうね。

 嬉しそうに微笑んで腰を屈めたエゼリアさんにギュッと抱きしめられる。

 全力で来たアンリカさんと違って、かなりの手加減を感じるエゼリアさんらしい抱擁だった。

 もうすぐ私たちは、それぞれの未来を目指して別々の道を往くことになる。


「フィオレ様。ありがとうございます」

「・・・うん」

 耳元で聞こえたお礼に頷き返す。


 エゼリアさんにもお世話になったからね。

 私が持っているものを教えることでエゼリアさんが身を守れるようになれば、私はそれで良い。

 お父様が心配してくれたように、教えたことで私の手札が減ったとしても、私もまた足を止めるつもりはないからね。

 エゼリアさんたちが前へ進むように私も前に進むんだよ。


「そう言えば、私も覚えるのだったな」

「・・・ハッ!」

 思案顔でお父様が顎先を撫でている。

 そうだった! お父様にも魔力の手を覚えて貰うんだった!


 手足と同じ数の4本も生やせば安定した体勢維持で上空まで上がれるから、敵陣の偵察を自分の目で直接行えると誘ったけど、偵察よりも大事なことが有る。

 魔力の手の防御力で生存率を高められることを、私自身がバンダースナッチの犬パンチを防いで実証しちゃったんだよね。


 こんなもの、お父様にも教え込むしか無いじゃん!

 お母様のために、絶対に生きて帰って来て貰わないと!

 うおおおおっ! めっちゃヤル気になってきた!


「・・・私も効率の良い教え方のコツが分かってきたから、エゼリアさんたちと一緒にお父様たちも覚えて貰えれば」

「そうだな。父上たちにも伝えておこう」

 柔らかく笑ってお父様が頷いた。


 おおっ! お爺様たちもか!

 そうだよね!

 そこでキョトンとしているアスクレーくんもだよ! 

 他人事みたいな顔はさせておかないからね!



未来⑧です。


それぞれの未来!

次回、着任!?

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