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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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未来 ④

「・・・荒れ地の開墾って、普通、どうするの?」

「耕して堆肥を漉き込みます。ここの土はまだ固く締まっていないので改めて耕す必要は無さそうですが」

 ディディエさんが周囲の地面を見回す。

 ああ。まだ土が締まっていないから耕す手間は省けるのか。

 狩猟民の浅知恵は間違っていなかったらしい。


「・・・ふぅん。堆肥って馬糞で良いのかな」

「馬糞も寝かせる必要が有りますから、そのまま使えるわけでは有りませんが、荒れ地の開墾では定番ですね」

 寝かせる? ああ。アレだな。


「・・・そっか。発酵が必要だったね」

 大鋸屑おがくずや籾殻なんかの有機物と水を混ぜ込んで、バクテリアのエサを増やして寝かすんだよね?

 分解熱で真冬でも100度ぐらいまで温度が上がるとか見た気がする。

 つまりそれは、今の季節でも作り始められということだ。


 今は丁度、住居建設で大鋸屑もたくさん出ているはず。

 建設現場のゼロエミッションにも丁度良いよね。

 ディディエさんの答えに頷いていたダーナさんが補足をくれる。


「腐った落ち葉も堆肥に使えますが、土を集めるのが大変ですね」

「・・・そうなの?」

 腐った落ち葉って、文字通り腐葉土のことだよね?

 腐葉土といえば鉢植えの土に混ぜ込む堆肥の定番だったはず。


 山の中でも落ち葉が溜まっている場所によく有ったんだよ。

 小学校に入る前ぐらいの頃だっけな。

 腐葉土の中には昆虫の幼虫がたくさん住み着いているから幼児でも簡単に採れるし、奴らを何とか食べられないものかと、昔、ずいぶんと悩んだ記憶が有る。


 奴ら、白くてブニブニとした体で、食べた土がお腹の皮膚下に黒っぽく詰まってるんだよねぇ。

 お腹をプチッと潰してみて内容物を確かめたから間違いない。

 そして、腹を潰されたからといって、奴らは直ぐには死なない。


 動物でも魚でも腹を潰されれば大抵は死ぬから、その辺りのギャップに当時の私は何かを感じたんだろうね。

 クルンと丸まってワニワニと脚を動かしている幼虫を見て、さすがの原始人も、うおおおおっ!? って背筋が寒くなって生理的な理由で食べるのを諦めた。

 海外では貴重なタンパク源として奴らを食べる地域も有ると後で知って衝撃を受けたもんだよ。


 それを知った頃には小魚ぐらいは安定的に獲れるようになっていたから、手を出さずに済んだんだけどね。

 カゴ罠の技術を得られていなかったら、幼虫を食べていた世界線が有り得たのかも知れない。

 おっと。脱線しちゃってたな。

 腐葉土って、結構、その辺で見掛ける気がするけど採れないんだ?


「落ち葉もスライムが食べますから、量が集まらないんです」

「・・・森にはたくさん有るよね?」

 私の指摘にディディエさんたちが揃って首を傾げる。


「確かにそうですが、森の入口で集めるとしても危険では有りませんか?」

「・・・ふむ」

 危険・・・?

 危険って魔獣のことだよね。


 森の入口でも出る魔獣といえば触角ヘビか。

 触角ヘビは樹上から飛んでくるというか、落ちてくるから、土を掘って集める作業となれば下を向いてるし、危険といえば確かに危険だよね。

 でも、奴らは採掘場や直線道路にはあんまり出て来ない。


 あれって木を伐ったから獲物に近付くための枝が無くなったせい、とも考えられるよね。

 だったら、街道側から木を伐って行けば安全に土の採取が出来る場所を作れるんじゃ?

 住居建設でも備蓄していた木材を放出してるから補充の木材は必要だよね。

 専門外の話題でちょっとヒマそうにしているピーシーズへと顔を振り向ける。


「・・・ネイアさん」

「あ。はい!」

 突然の指名に余所見していたネイアさんが慌てて返事をする。


「・・・木を伐っての訓練、始めよっか」

「は・・・。あっ、はいっ!!」

 理解に数瞬を要したネイアさんがパッと表情を明るくした。

 待望の練習台解禁だよ。


 風ジェットカッターの練度を上げたいと要望を出してから、もう2ヶ月以上経ってるものね。

 伐採の許可はお父様から貰ってるし、建設予定の養成施設は計画を練れていないけど、かなりの敷地面積になるだろうから前倒しで伐採を始めても問題は無いはず。

 養成施設と一口に言っても具体的なイメージが湧かないんだけど、いい加減、計画を決めないと。

 誰か詳しい人から話を聞けないかな。


「土が必要なのに、森の木を伐るんですか?」

「・・・ぴっ!」

 予想していなかった方向から投げ掛けられた質問に、私の肩が跳ね上がる。

 またヤラレた!

 後ろを振り返れば、いつの間にか傍に来ていたミセラさんが首を傾げている。


「・・・き、北門を出てすぐの街道際から森を拓いていくから、そこの土を採れば良いよ。木が無くなれば触角ヘビの危険は減るだろうし」

「ああ。建設予定地の土地を拓く許可を得られていましたね」

 鼓動が跳ね上がってドキドキする胸を押さえつつ答えると、納得顔でミセラさんが頷く。

 ディディエさんたちに視線と話を戻す。


「・・・馬糞を寝かせるのって、どのぐらいの期間が必要なの?」

「木屑や籾殻を混ぜ込んで3ヶ月間ぐらいです」

「・・・春には間に合いそうだね」

 ギリギリでは有るけど、今は農閑期だし男性たちも余裕は有るだろう。

 ダーナさんが私に向けて小さく手を挙げた。



未来④です。


原始人回顧録!?

次回、ほうれんそう!?

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― 新着の感想 ―
と言うか、よくよく考えればこれだけ日常的に魔法を使っての日常作業が行われているなら普通の土魔法による土の増加くらいは農地整備の際に使われる事もあると思うのだけど、今まで誰一人として土が死んでいる事に気…
漬物なんかの植物性乳酸菌なんかでなんぼか発酵を促進してやれば....
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