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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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未来 ③

 男性たちの視線を追えば、黒々とした土の上に背丈を伸ばし始めたばかりの苗が整然と並んでいる。

 これ、何か葉物の野菜だろうね。

 イネ科の植物ではないように見える。

 城壁移動のときに見た記憶よりも、青々とした苗たちは数センチメートルほど大きくなっている。


 もっと育たないと私には何の苗なのか分からないけど、春の作付けが始まる前には収穫期を迎えるのだろうね。

 農家さんにとっては重要な収入源だ。

 城壁移動の後で聞いたら、城壁外の畑は税金が安いらしくって、想像していたよりも補償が少なくて驚いたんだった。


 どのぐらい補償が少ないかと言えば、スライム避けに使った魔石代を回収できるぐらいの金額だって。

 荒れ地を開墾した分の労力はタダ働きだし、農業に適した土になるまで何年も掛かるという話は門外漢の私でも聞いたことが有る。

 土を作るのに要した年月も畑に植えた種や苗も丸損だよ。


 それでも土地を借りられて税金を安くして貰えるのならと農家さんたちが頑張って耕したのが、この畑。

 そんな畑を潰さずに済んで本当に良かったと思ったもの。

 かと言って、本来、城壁内の農地を想定しているのがウォーレス領の農政で、城壁外の土地を農地化したいと希望したのは農家さんたちだから、少ない補償でも出して貰えているだけラッキーなんだよね。

 冬撒きの作物が芽を出している畑に目を向けていた男性たちが足元の地面に視線を戻す。


「こっちの土地は暫く使わないってことらしいんで、畑に使って良いと領主館で許可をいただいたんです」

「・・・ほうほう。それで土を見てたんだね?」

 恐らくだけど、将来的に城壁内の都市計画で整理されるかも知れないから、簡単に許可が出たんじゃないかな。

 この人たちも、それを承知の上で収入を増やそうと耕すことにしたんだろう。


「そうなんですが、ちょっと土がおかしいって話になりまして」

「・・・何がおかしいの?」

 ここからが問題の本番か。

 逡巡を見せて男性たちが顔を見合わせる。


「何と言いますか。土が死んでるんです」

「・・・土が? どういうこと?」

 “土は生き物”とかいうフレーズは私もどこかで目にした記憶は有るけど、生憎、それがどういう意味なのか狩猟民族の私にはよく分からない。

 こういうときのために連れて来たディディエさんとダーナさんが、「土が死んでる」と聞いて反応した。


「私たちも見せていただいて構いませんか?」

「・・・お願い」

 踏めば足首まで埋まるぐらい柔らかい土の上に2人がしゃがみ込んだので、“光”の魔法で地面を照らしてあげる。

 手のひらに取った土を指先で摘まみ上げて凝視している2人の表情が難しくなる。


「これは・・・。ダーナ、どう思う?」

「まるで枯れた荒れ地の土ですね。―――、誰かスライムを見ましたか?」

 指の腹で摘まんだ土を磨り潰しているディディエさんがダーナさんに目を向けた。

 顔を上げたダーナさんの質問に、同じように難しい表情をしている男性たちが首を振る。


「いいえ。一匹も」

 何で、ここでスライム?

 男性たちの答えに、ディディエさんたちがさらに難しい表情になる。


「・・・スライムが関係するの?」

「直接関係するわけではなく、スライム避けをしていない土地にスライムが居ないということは、エサが無いのでは? と考えられるんです」

 なるほど、と、お腹にストンと落ちた。


 さすが開拓民の末裔。

 ダーナさんの明快な答えにディディエさんも頷く。

 それはスライムが食べるものすら無いぐらいに痩せた土って意味だろうか。


「荒れ地の開墾では、よく有るんですよ」

「・・・ははぁ。エサか」

 エサってことは有機物だよね。

 有機物が含まれた土が豊かな土で、含まれていない痩せた土の土地が荒れ地って分類になるんだろうか。


 コピペで複製した土には有機物が含まれていないってことになるのかな?

 思わぬところでナイフの複製との共通点が見つかっちゃったな。

 まあ良いや。

 有機物が含まれていないから「土が死んでる」ってことなのか。


 いや。”有機肥料”や”有機栽培”って文言は日本でもよく見たけど、”養分”って意味では無機物でも構わないんだろうし、それってご飯から栄養を摂るか健康サプリで栄養を摂るかの違いぐらいだろう。

 モコモコやっているときに土の質までは意識して無かったな。

 ちょっと白っぽい、とは思っていたけど、乾いた土だからだと思ってた。

 意識したとして質が変わったかといえば怪しいものだけど、「荒れ地の土」ね・・・。


 “光”の魔法に照らされている土に目を凝らしてみる。

 色は少し違うけど、この土を私の記憶に有る土に例えれば、山土とか真砂土とか呼ばれるものに近いんだろうか。

 山土とか真砂土っていうのは、よく学校の校庭なんかに敷き詰められてる土のことだよ。


 不純物が少なくて雑草が生えにくいと、カレーの社長さんだったか建設現場の職人さんだったかに教えて貰ったことが有ったっけ。

 ”不純物”って栄養素になる有機物のことだったんだな。

 こういう土の場合、どうするんだろう?

 “再生農地”とかタイトルが付いた動画のサムネを思い出す。


 固く締まって痩せてしまった土を豊かにするなら堆肥だよね?

 確か、サムネにも堆肥って単語が(おど)っていたように思う。

 農業に詳しくない私の浅知識でも引っ張り出せる答えといえば、そのぐらいだ。

 ここは開拓村で生まれ育った元プロ農民の意見を聞いておくべきだな。



未来③です。


元プロ農民の本領発揮!?

次回、浅知恵!?

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― 新着の感想 ―
複製じゃなくて魔力で土を生成した場合も同じ?
馬をたくさん育成してたと思うので馬糞堆肥でなんとかひとつ
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