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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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開眼 ⑱

「他領まで巻き込んで新たな作物を作らせるのだったな? 輸送ギルドというのも面白い」

「・・・お爺様」

 マルキオお爺様も構想を前向きに捉えてくれてるんだね。

 輸送ギルドは原資となる馬を持つウォーレス領でしかできない事業だとしても、東部や北部の他領と交易する荷馬車は新領地を必ず通る。

 積荷を相乗りさせて貰ったりと物流網の恩恵を受けることは出来るだろう。


 王都方面へ向かうにも、、ウォーレス領からは「く」の字に曲がったルートしか選べなかったものが、新領地を避ける必要が無くなった分、直線に近いルート設定が出来るようになったんだよね。

 王都までの道中に有る他領も巻き込めば、街道整備まで含めた物流網の構築は進めやすくなるはずだ。

 何たって、流通量が増えれば税収が増えるのだから、他領も抵抗する道理がない。


「エゼリアたちに協力させると良いわ」

「・・・エゼリアさんたち?」

 セリーナお婆様が提案をくれた意味を考えてみる。

 エゼリアさんたちは力持ちだし優れた魔法術師でもあるから建設や開拓に協力して貰え―――、なんてわけは無いな。

 分かりやすいヒントをくれたのはお母様だ。


「手始めはルーベリア領とクローゼリス領だな。エゼリアとアンリカの立場を強くするのに手土産が必要だから、向こうの気候で栽培できそうな作物を持って行かせろ」

「・・・あっ。結婚か。―――、んん? ルーベリア領?」

 ただ、聞き覚えの無い領地名に首が傾ぐ。

 そんな名前の領地って習ったこと有ったっけ?

 私が理解できていないと見て取ったハインズお爺様が答えをくれる。


「ドネルクが新たに興した侯爵領だ。リヒテルダート公爵領の北東部を割譲することに決まったそうでな。あちらでも新たな作物は喜ばれるだろう」

「・・・そうなのですか?」

 ドネルクさん―――、騎士団長さんの領地は実家の領地を分割して作ったのか。

 結婚の件で手紙か何かでやり取りが有ったのだろうけど、私の知らない間に色々と変わってるんだな。

 内戦後に西部国境地域の地図も大きく変わっているはずだから、もう一度地理を勉強し直した方が良いかも。


「・・・リヒテルダート公爵領」

 宙に視線を泳がせて頭の中で王国の地図を広げてみる。

 確か、リヒテルダート領は王国領土の中央にある王都から真っ直ぐ北上した、黒龍山脈の麓に有ったはず。

 南隣のグライアレー領―――、宰相さんの領地との間にも小規模な山地が有って、山と山の間に挟まれた広大な平地って感じの土地がリヒテルダート領だよね。


 まあ、山脈の麓と行っても北部の荒涼とした森を100キロメートルぐらい踏み込まないと、山には入らないらしいんだけどね。

 日本の山と”魔の森”しか知らない私には、「荒涼とした」と但し書きが付く森というものがイメージし辛いんだけど、ロッキー山脈の麓みたいな感じかな?

 ぎゅうぎゅうに密集して木々が生えてるんじゃなく、カチカチに凍った岩だらけの大地に大木が疎らに生えてる感じのヤツ。


 ロッキー山脈って画像でしか見たことが無いけど、ヘラジカやグリズリーが獲れる辺りだったかな。

 ワナ猟に慣れた頃に、“世界最大のシカ”って日本で獲れないのかと思って調べたんだっけ。

 グリズリーか・・・。チッ。熊だな。

 懐かしそうに目を細めながらセリーナお婆様が首を振る。


「リヒテルダートは寒い土地ですからね。雪が降るし農業が弱いのよ」

「・・・雪ですか」

 山の麓に降水量が多いのは理解できるな。

 上昇気流で上空へ昇った水蒸気が気流に運ばれて、高い山にぶつかって温度が下がると雨雪になって降ってくる。


 セリーナお婆様の生家でもあるリヒテルダート公爵家は、王国貴族家に中でもウォーレス家と同じぐらい古くて、王国内でも王都がある王家直轄領の次に大きな領地だったと記憶している。

 アレだよ。

 王様の庶子だったレティア卿のお兄さん―――、当時の王子様の内、王位を継がなかった人が興した公爵家。


 主産業は酪農と小麦生産とパパ―――、ジャガイモ生産だったっけな。

 丸っきり北海道みたいな産出品構成だけど、栽培している地域が多い小麦もジャガイモも単価が安いからね。

 酪農以外はそんなに儲かる産品が無かったはず。

 物流が発達していないから、酪農もどこまで儲けられているのか怪しいものだけど。


「温暖な西部地域の王家直轄領の一部を下賜しようとする動きも有ったそうだが、グラウスが手放さんだろうし、ドネルクは北部地域を離れられんだろう」

「・・・離れられない?」

 グラウスさんって誰だっけ?

 手放さないってことはドネルクさんのご家族だろうけど。

 私の疑問にマルキオお爺様とセリーナお婆様が説明をくれる。


「ドレイクが南下してくることは希だが、ワイバーンは活動範囲が広い」

「ワイバーンは群れるのよ。酷いときには家畜を軒並みやられたわ」

「・・・ははぁ。魔獣の被害ですか」

 酪農が主産業で、その酪農も黒龍山脈に近いせいで飛龍―――、ワイバーンの被害をちょくちょく受ける土地だと。

 それはキツいなあ。

 酪農が被害を受けたときのために農業を強化したい考えは十分に理解できる。


「リヒテルダート領が“北部の勇”と呼ばれる所以だな。対魔獣戦闘においてはリヒテルダート領が我らにも勝る」

「・・・ワイバーンですか・・・」

 だから、他国と国境を接しているわけでも無いのにウォーレス領と肩を並べるぐらい領軍が強い、と。

 そんなお土地柄もあって、北部地域の“保守派”を纏めるガチガチの武闘派なんだな。



開眼⑱です。


ルーベリア侯爵夫人!(脳筋

次回、換金性!?

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― 新着の感想 ―
「上昇気流で上空へ昇った水蒸気が気流に運ばれて、高い山にぶつかって温度が下がると雨雪になって降ってくる。」 気象業務従事者です。 因果関係や日本語が不自然な文となっていますので、正しくは↓のようにな…
魔獣狩り…? カスミ網ならぬカスミワイヤーでも作って もしくはビールかトウモロコシ?
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