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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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開眼 ⑬

「あら」

 驚いたのはお婆様たちも同じだったようで、手招きされたノーアが近付くと捕食する烏賊イカ触椀しょくわんを思わせる動きでセリーナお婆様に捕獲された。


「よく出来ましたね」

「にゃ」

 セリーナお婆様の手と、横合いから伸びてきたシェリアお婆様の手に撫で繰り回されつつ褒められて、ノーアもご満悦だ。


 ノーアの髪はフワフワさらさらで、撫で心地が良いからね。

 癒やし(ヒーリング)効果が高いのだろう。

 その様子に目を向けたお爺様たちが目を細める。


「いよいよノーアも見込みが有りそうだな」

「どこまで育つか楽しみなことよ」

 ノーアの成長を喜ぶお婆様たちやお爺様たちとは対照的に、サーシャさんはガックリと肩を落としている。


「隠形まで見破られていたなんて・・・」

「・・・隠形かぁ。確かに効果ないかもね」

 落ち込んでいるサーシャさんには悪いけど、サーシャさんの体内に魔力がある限り存在を隠すのは難しいだろうね。


「えっ!? 隠形術を見破る手段が有るんですか!?」

「・・・にゅっふっふ。知りたいでござるか~? ウォーレス領の子になれば技術を身に付けられるし、日光や貧血に苦しまない健康な体になれると思うでござるよ~? たぶんだけど」

 ここぞとばかりにサーシャさんの耳元で囁く。

 そこまで落ち込むってことは、隠形術を身に付けるために頑張ったのだろうし破られた方法は気になるよね?

 

「わ、私には荷が重い判断です! 一族の者たちと相談させてください!」

「・・・ヘーキ、ヘーキ。サーシャさんが先に健康になったって何も問題無いって~」

「ああああっ! 耳元で誘惑しないでください!」

 私のリクルーター活動に目をバッテンにしたサーシャさんが頭を抱えた。

 お母様がヤレヤレと首を振る。


「サーシャ。お前自身の目でウォーレス領を見て、フィオレを見ると良い。“融和派”の有象無象は兎も角、少なくともグライアレー家とウォーレス家に対立する理由が無いことは明らかになった。今まで騙してくれた陛下と宰相とは少しばかり話し合う必要は有るが、お前たちの一族に害が及ぶことは無かろう」

「ふ、フレイア様・・・。出来ることでしたら何卒穏便にお願いいたします」

 サーシャさんたちは宰相さんにも恩義を感じてるってことだろうね。

 涙目で訴えるサーシャさんに、お母様は強気な笑みを向ける。


「心配するな。私ほどの平和主義者はこの大陸に居らん」

「は、はぁ・・・」

「どの口が言うのですか」

 お母様といえば大陸中に名前が知られた過激な魔法術師だからね。

 しかも、部隊の先頭を切って斬り込んでいく猛将だもの。


 何とも答えにくそうにモニョるサーシャさんに代わってシェリアお婆様からのツッコミ入っても、お母様は軽く片眉を上げただけでその笑みは揺るがない。

 お母様自身が平和主義者だということに私も異論はないけど、一方でお母様は犯罪の証拠など殴り倒してから探せば良いと言い切って、問答無用で実行してしまう人でもある。

 今度はシェリアお婆様がお母様にヤレヤレと首を振って、母娘のやり取りを暖かく見守っていたお父様がサーシャさんへと目を戻す。


「どこもかしこも自由に、というわけには行かないが、公に動く範囲内で君らの行動に制限を付けることはしない。フレイアが言ったように自分たちの目で確かめると良い」

「寛大なご配慮、痛み入ります」

 落ち着いたお父様の采配に、慌てて立て直したサーシャさんが真摯に頭を下げた。


 これでこの件は決着だね。

 無事にサーシャさんたちは職務に就けて、宰相さんが構築を命じた連絡網は機能を始める。

 一つの案件が片付いたと安心している私にお爺様たちの目が向く。


「フィオレよ。お前の見立てが正しかったな」

「うむ。これで長年の懸念が一つ片付いた」

 柔らかい目で言うマルキオお爺様のお褒めの言葉にハインズお爺様も頷く。

 宰相さんのことかな?

 昔の王様と宰相さんのことを、お爺様たちは懐かしそうに話していたからね。


「・・・いいえ。私は自分が気になったことを訊いてみたかっただけなので」

「それでもだ。王国の中枢が腐りきっていないことが知れただけでも大きい」

「我らは南部国境を離れるわけには行かぬからな。背後の憂いが減れば前を向いて戦える」

 そういえば、若い頃の王様と宰相さんは、結構な無茶をしてたとお爺様たちが言ってたな。


 強引な手段を執ってでも王宮や国内貴族たちを変えようと頑張っていた宰相さんに、お爺様たちは期待していたんだろうね。

 その宰相さんが“融和派”に取り込まれたように見えて、変わってしまったと失望していたものが変わっていなかったことが嬉しいのだろう。

 そして、それはお婆様たちも同じだったようだ。


「そうね。よくやったわ。フィオレ」

「“融和派”にしっかりと首輪が付いているのなら一安心です。治癒魔法術師の件で“融和派”も受け入れることに気を揉んでいましたが、少し気が楽になりましたよ」

「・・・心配事を増やして済みません」

 セリーナお婆様のお褒めの言葉にシェリアお婆様が説明を添えてくれた。


 私だって“融和派”の受け入れに不安がないわけじゃないからね。

 サーシャさんたちのように間諜が入ってくることは、もちろん、悪意を持って妨害しに来る人たちが居るかも知れない。

 採掘場への出入りも増えるんだし、どこの、とはいちいち言わないけど、防衛態勢の(あら)を探りに来る外国の間諜だって紛れ込むかも知れない。

 あらゆる意味で間違いなくリスクは増える。



開眼⑬です。


平和主義とは!?

次回、常在戦場!?

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