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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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開眼 ⑪

 頭の中で王国北部の地図を思い浮かべてみれば、グライアレー侯爵領ってリヒテルダート公爵領の南隣だったね。

 時代的には宰相さんのお父さんの時代のことかも知れないし、その頃だったら、グライアレー侯爵家は“中立派”だったんだっけ?

 そんなことをお爺様たちが言ってなかったっけ。

 貴族家関係の難解さは、さておき、慌てたのは見る間に血の気が引いて青くなったサーシャさんだ。


「何を仰いますか! 頭をお上げください! 御母堂様のお陰で我らは生きながらえることが出来たのです! 恩義を感じることこそ有れど、恨みに思うことなどございません!」

 溜息を吐いたマルキオお爺様がハインズお爺様に目を向ける。


「問題は無さそうだな」

「これも奇縁というものか」

 マルキオお爺様に話を振られたハインズお爺様も息を吐いた。


「・・・じゃあ?」

「良かろう。サーシャの逗留を認めよう」

 一族の長であるハインズお爺様の決断はウォーレス血族の決断であり、宰相さんの話を信じたということだ。

 お婆様たちもお父様たちも頷いている。

 ところが、問題なく職務に就けることになったサーシャさんの表情は浮かない。


「本当によろしいのでしょうか・・・」

「・・・何が?」

 サーシャさんに問うてみれば、不安そうに胸に前で手を握る。


「侯爵閣下の思惑は絶対の秘密だと私は教わって参りました」

「構わんだろう。この場にいる者が他所でサリトガ宰相との関係を漏らすことなどない」

 飲み込みにくいものでも飲み込んでみせるのがお父様だ。

 器の大きさではお母様も負けていない。


「文句の一つは言わせて貰うが、王宮のアホどもに悟らせなければ良いのだろう?」

「儂らはサリトガが悪ガキの頃から知っておる。昔と変わらぬと知れて儂らも安堵した」

 ハインズお爺様の総括にマルキオお爺様も頷いている。

 過去の経緯に決着が付けば、次は今後のことだ。

 割り切った様子のお母様がサーシャさんに目を向ける。


「サーシャ。お前をフィオレの側仕えの一人として付ける。細かいことは、ミセラ」

「はっ。教育はお任せを」

 丸投げされたミセラさんは動じることなく一礼で応える。

 怒濤のような展開に押し流されていくサーシャさんが、動揺を隠せないまま小さく手を挙げる。


「あのぉ・・・。お言葉は有り難いのですが、私は日に弱い体質のことも有って日中は満足に働けません。ご迷惑をお掛けすることになるかと」

「君らは夜しか活動しないのか?」

 正直な自己申告にお父様が首を傾げる。

 他人の迷惑を先に考えるサーシャさんの性格には好感が持てるね。


「しない、というよりも、出来ないと言った方が正しいと思います」

「ふむ。そうか」

 残念そうにお父様が頷く。

 先天性白皮症アルビノというものは、遺伝子的な色素欠乏症で立派な病気だ。


 日の下で無理やり働かせるのは拷問に等しい。

 しかしだ。

 私はサーシャさんたちの人生から、身体的障害の苦難を取り除いてあげられる可能性が有る手札を持っている。


「・・・サーシャさん。それなんだけど、このままウォーレス領の子になる気は無い?」

「は? フィオレ様、何を・・・?」

 サーシャさんが目を丸くして、執務室内の全員が私に注目している。


「・・・ウォーレス領の子になれば、一族の体質をどうにか出来ると思うけど。ウォーレス領にはエクラーダ人が多く入ったから、容姿が目立つことも無いし、北部地域よりも暮らしやすいんじゃないかな」

 “木の葉を隠すなら森の中”だよ。

 エクラーダ人と容姿が似ているなら、吸血種のサーシャさんたちが混じっても奇異の目で見られることは、ほぼ確実に無くなる。


 異物じゃなくなれば社会的排斥を受けるリスクは皆無に等しくなる。

 それはきっと、吸血種の人たちにとって大きな救済になる。

 ハインズお爺様の隻眼が私を見据える。


「フィオレよ。何をするつもりだ?」

「・・・特には何も。家畜の血を飲むのなら、別の血を飲めば解決するんじゃないかと」

 サーシャさんが領民になるなら、ウォーレス領領民強化計画の対象者だ。

 もしかすると、日光で肌が炎症を起こす症状を緩和できるかも知れないし、緩和できなかったとしても、領主館での夜勤専門要員―――、不寝番として働いて貰うことでアレーナさんたちの負担を軽減できる。


 宰相さんのことだから、吸血種とエクラーダ人の外見的近似性は考慮した上でのことだろうね。

 でも私なら、危険が有るかも知れない他領へ、行動に制限が付くような人たちを潜り込ませることは無いかな。

 そう言った意味で言えば、捨て駒になっても構わない人たちだと宰相さんは認識してるんじゃないだろうか。


 ”融和派”も王国民も関係なく人間を“盤面の駒”だと考えるのなら、宰相さんはサーシャさんを日中の活動に制限が有って生産性が低い人たちだと評価している可能性が有る。

 酷いとか可哀想とか、そんなのは何もかも横へ置いて、宰相さんという人は、ただただ為政者なのだろう。

 効率という面だけで冷徹に判断するのなら、理解できてしまう部分は有る。


 だったら、サーシャさんを手放すことに、宰相さんはそれほど抵抗感を持たないんじゃないかなー、なんて希望的観測を私は抱いている。

 連絡網が期待した機能を発揮するなら、所属の問題なんて気にしないでくれると良いなあ。

 諦めてくれないかなあ。

 あー。でも、宰相さんなら、何か交換条件を付けてくる可能性も高いかなあ。



開眼⑪です。


領民強化計画継続中!

次回、MIB!?

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宰相さんと理解り合ってる感ある 宰相さんがヒロインかな?
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